渡邊人事労務パートナー事務所便り27年4月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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正規雇用で何と、ひゃ!ヒャ!百万円?!

◆東京都の正規雇用上乗せ助成金
東京都が厚労省キャリアアップ助成金の正規雇用等助成金に独自の上乗せ助成金を行うという情報があり、これまでウオッチしておりましたところ、4月15日にその詳細がリリースとなりましたので、取り急ぎご案内いたします。

助成金額(中小企業の場合)
 厚労省の助成金額と同額を東京都が上乗せします。下記の金額は厚労省と東京都の助成金合計額です。

・有期契約→正社員転換:100万円
・有期契約→無期契約転換:40万円
・無期契約→正社員転換:60万円

1回の支給申請で百万円となるのは、かつて平成23年の就職氷河期で既卒者を採用した企業に対する3年以内既卒者採用拡大奨励金助成金100万円(今はありません)や、子育て期の従業員に短時間勤務制度を設けた企業に対する100万円(今は40万円に減額)と並ぶ大きな助成金額です。

◆助成金対象となる支給要件
助成金対象となる支給要件は多くありますが、特に重要な要件は次の通りです。
(1)東京労働局管内の事業所であること
(2)厚労省のキャリアアップ助成金が支給されることを前提とした上乗せであること
(3)昨年10月1日以降に無期転換・正社員
  転換した労働者に係るものであること
(4)管轄ハローワークへ支給申請をした日から2カ月以内に東京都へ支給申請を行うこと

◆助成金獲得に向けた企業の進め方
 この助成金を獲得するための企業の進め方を下記の通りご案内いたします。ご興味がおありになる方は詳細ご案内いたします。

(1)キャリアアップ助成金計画申請書をハローワークへ未提出な会社:
  まず、管轄ハローワークへキャリアアップ助成金計画申請書を提出し、東京労働局の確認印を得ることからスタートします。その後就業規則の見直しと労基署への届出を行い、正社員転換へと進みます。
(2)キャリアアップ助成金計画申請書をハローワークへ提出し確認を受けている会社:
  @正社員未転換の時:正社員としてふさわしい従業員を選定し、正社員としての雇用契約を締結します。正社員転換日から6カ月後にハローワークと東京都への支給申請となります。
  A正社員転換済みの時:正社員への転換が済んでいる時には、転換日から6カ月後にハローワークと東京都への支給申請となります。

◆キャリアアップ助成金は旨みのある助成金
 今回はキャリアアップ助成金の中で、正社員転換等コースについてスポットライトが当たっておりますが、この他にもキャリアアップ助成金は旨みのある助成金です。

 有期労働者をキャリアアップさせるために、OffJTとOJTを組み合わせた訓練を行うことで、訓練の仕方や内容にもよりますが、1名60万円〜100万円にもなります(人材育成コース)。また、訓練終了後は引き続き正社員転換コースの利用が可能です。

 また、本来は定期健康診断の対象外であるパートアルバイト4名に定期健康診断を受診させることで40万円の助成金(健康管理コース)もあります。

キャリアアップ助成金の各コース(正社員転換、人材育成、健康管理)いずれも、有期契約労働者に対して、身分の安定やキャリア形成、そして健康維持を図るものであり、非正規労働者に対する強力なサポートとなります。また、非正規労働者にとってもモラールの向上に繋がるものであり、皆様には有効にご利用されることをお勧めします。

当事務所から一言

この事務所便りは専ら企業の人事労務関係情報をお届けしておりますが、今月号の当事務所からの一言では、最近の安倍政権の強面ぶりについて、方面違いですが少し触れさせて頂きます。

 まず、マイナンバー制度ですが、ご承知の通りマイナンバーは法律で定められた行政手続きにしか使えないことになっております。具体的には、現在は@社会保障(年金・労働・医療・福祉)、A税、B災害対策の三項目です。そしてマイナンバーを利用することで「公平・公正な社会の実現」、「行政の効率化」、「国民性の利便性の向上」の3点を実現することになっております。しかしながら、政府は利用目的の拡大化を目指して18年から預貯金口座にマイナンバーをヒモ付けする方針です。当初は「任意」としておき、21年以降は「義務付け」とすることを目論んでおります。ヒモ付けされた預貯金口座では個人・法人とも預貯金財産は丸見えとなります。では当面「任意」だから開示を拒めるかというと、マイナンバーを登録しないと口座開設やネットバンキングを認めないという強硬論もでているそうであり、銀行も国からの行政指導があるときには従わざるを得ないことになります。

次に、国立大学に対して国旗掲揚・国歌斉唱を求めたことが記憶に新しいことです。国立大学は国が費用を出しているのだから国旗掲揚・国歌斉唱を求めるということは論理的であるとは思えません。もとより国旗掲揚・国歌斉唱は心から内発するものであり、国立大学であろうが私立大学であろうが、年寄りであろうが若者であろうが、日本人としてのアイデンティティから誇りをもって国旗掲揚・国歌斉唱するものと思います。国立大学へは金を出しているのだから国旗掲揚・国歌斉唱をすべきという論議は牽強付会と感じます。しかしながら国立大学の立場では、国に逆らって交付金で影響を受けたくないという思惑は当然出てくるでしょう。

更には、最近起こったテレビ報道(テレビ朝日古賀氏発言問題、NHKクローズアップ現代やらせ問題)で自民党が放送局を呼び出して事情聴取を行ったことは大人げない感を抱きます。また、権力を持つ者に対して不快な報道を行うマスコミを糾弾することは、極論を言えば、戦前の様な言論統制につながりかねません。放送局の立場では公共の電波を使うことから総務省の監督下にあり、政府の顔色が気になるところです。政府の顔色を伺う報道は決して国民のためには良くないと思います。

 いずれにしても、かつての古き良き自民党は懐が深く、これらの様にストレートに権力をむき出しにすることは無かったであろうことと対比すると、安倍政権の強面ぶりが一層強く感じられます。泣く子と地頭には勝てないのでしょうか。

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