渡邊人事労務パートナー事務所便り3月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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年金こぼれ話
皆様のところへも、日本年金機構から「年金記録確認のお願い」(年金記録の持ち主を探しております)というハガキが来ていることと思います。当初約5000万件といわれた宙に浮いた年金記録が現在でも約2200万件残っており、日本年金機構では最後の1件まで解消すると根気強く追跡調査を行っております。先月号では年金と税金の話を取り上げましたが、今月号では、当職が年金事務所で年金相談員のお手伝いをしていた頃に実際に取り扱った「見つかった年金記録」のお話を差し障りの無い範囲で披露させて頂きます。このこぼれ話を読まれた方が改めて年金記録を確かめられ、年金記録が復活されれば幸です。

◆「私年金出るのかしら?」
とても上品な70歳前位のご婦人が、ついでに立ち寄ったという感じでご相談に見えられました。お話を伺うとご主人は大学教授で、これまでご本人は加入期間が短いため年金を受給されておられませんでした(おそらく年金の必要性がなかったと思われます)。これまでの経歴を丹念にお聞きすると、結婚前後にある共済に加入していることが分かりました。これまでの記録をつなげてみると、なんと受給資格があることが分かり、早速その共済に年金記録を出してもらうことになりました。遡及計算の結果約300万円が支給されることとなりました。そのご婦人から丁寧な感謝の伝言を頂き当職も喜びを共に致しました。

◆「そんなに出るのですか?」
年金をすでに受給している男性のご相談を受け氏名検索を行ったところ、直ぐに年金記録に結びついていない同姓同名データが出てきました。実はその方のお名前がとても珍しいものであり、宙に浮いている年金記録はすべてお客様のものでした。日本全国を渡り歩いた当職は、その地で電話帳を開くと同姓同名が必ず何人かおりましたが、珍しいお名前は年金記録の照合には大変便利なことになります。新たに見つけられたそのお客様の年金記録が数多いため、約700万円が遡及して支払われることとなりお客様もそんなに出るのかと驚かれておりました。
この話を先輩社労士の年金相談員に伝えたところ、先輩はさらに上の1000万円レベルの経験をされたとのことですが、ご高齢のお客様の感情が高ぶり心臓麻痺でも起こされると大変なのでその場では金額を伝えなかったとのことでした。そのような配慮も年金相談員には必要なのでしょう。

◆年金記録が宙に浮く原因
なぜこのように年金記録が宙に浮くのでしょうか。元をただせば旧社会保険庁のずさんな管理体制が年金行方不明の主因であることは皆様ご承知の通りですが、年金記録が宙に浮きやすい仕組みにもあります。
まずは、年金記録で大切なことは、意外にも「フリガナ」なのです。たとえば「渡辺」では「ワタナベ」や「ワタベ」やの読み方がありますが何等かの処理の行き違いで、一人の人が「ワタナベ」と「ワタベ」の二つの基礎年金番号をもっていることがあり、一方の番号が宙に浮いていることがあります。年金相談員は同一誕生日の同一漢字の人で読み方を変えて宙に浮いた年金探しを行っております。
あるいは、若い頃の年金記録がご本人にもすっかり抜けてしまい、ある日気付いて届けられるケースもあります。この時には、出来るだけその会社の所在地や担当業務を思い出して頂き、本人の年金記録照合を行います。
また、結婚前の年金記録が抜けてしまっていることもあります。山田さんが高橋さんとご結婚されても、それまでの山田さんの年金記録が高橋さんにマッチングしていない場合もあります。年金相談表に「旧姓」を記載して頂くのは結婚前のデータが存在するか確認するためのものですので必ずご記載願います。

◆年金事務所は人生の縮図
今は自分の事務所業務の都合で年金相談員のお手伝いが叶わないのはとても残念ですが、年金相談員は社労士としてやり甲斐のある業務でした。そして、年金事務所は人生の縮図の感がありました。永い人生の結果としての年金ですので、年金受給時点で悲喜交々となります。
あるとき年配ご婦人の相談では、保険料納付記録がほとんどなく、数ヶ月だけ納付されておりましたのでお伺いのところ、ご主人が退職記念で支払ってくれたとのお話でした。年金はでませんとお伝えしたところ、自分の母親は年金もなくぼろぼろになるまで働いて死んでいった、自分もそうなるのでしょうかと泣き伏され、こちらまで辛くなってしまい弱りました。
年金受給できる方を拡大する年金機能強化法(平成24年8月成立、施行平成27年10月)により、年金を受け取れる受給資格期間がこれまでの25年から10年に短縮されることとなります。できる限り多くの方がこの法改正により救済されることを望みます。

平成26年度公的保険料の改定
平成26年度の公的保険料改定は次の通りです。改定があるものには4月以降ご留意ください。
◆変更ないもの
(1)健康保険
(2)厚生年金保険(毎年9月の改定です)
(3)雇用保険
◆変更あるもの
(1)介護保険(4月納付分より)
  1.55%→1.72%(これを労使折半)
(2)国民年金保険料(4月1日より)
月額保険料15,040円→15,250円

事務所より一言
 ソチオリンピックスもとうとう閉幕いたしました。様々な競技で多くの感動が生まれました。中でも注目を集めたのは、41歳という普通の競技年齢を遙かに上回る歳にもかかわらず、執念でメダルにたどり着いたジャンプの葛西紀明選手でした。チャレンジする姿に敬服してレジェンド葛西と言われておりますが、歳だけでみれば自分と似たところがあります。私も52歳で大学院に進学し、勢い余って労働法の弁護士を目指して58歳で法科大学院を受験(結果見事に母校に蹴飛ばされました)というズッコケぶりでした。自分では年齢なんのそのと思ってはおりますが、客観的に見ればあちらはレジェンド葛西、こちらはドン・キホーテ渡邊と思い至った次第です。
 また、多くの方が感嘆したのが、浅田真央選手のフリーの演技でした。私にはなぜか分からないのが、フリーの演技を行っている妖艶な浅田選手と、外国人記者クラブに招かれたときの幼げな浅田選手がとても同一人物とは思えないことです。フィジカルでは同一でもスピリチュアルでは別人物と思えます。おそらく氷上の見えない何者かが浅田選手を変身させるのではないかと考えております。
 そして、今回一番胸をうったのは金メダルが期待されながら4位に終わった高梨沙羅選手でした。惨敗に終わっても健気にインタビューに答える姿は痛々しいものがありました。しかし、皆様がご体得の通り人間が一番成長するのは、最も厳しく、辛く、淋しく、落ち込んだときであり、きっと高梨選手もこれで一回り二回り成長することと思います。今後も応援を続けたいと思います。

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