税制適格年金便り10月号をお届けします。税制適格年金移行・助成金の駆け込み寺です。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

企業にとり一番恐ろしいものは何でしょうか?

◆それはコンプライアンス違反です   
 昔から怖いものの代表は、「地震」「雷」「火事」「おやじ」が定番ですが、現代の企業にとって一番恐ろしいものは言うまでもなくコンプライアンス違反です。
  これまで営々と永年培ってきた企業信用がコンプライアンス違反で一瞬にして崩れ去ってしまう、それほど強烈な破壊力をもつものであり、コンプライアンス違反の事実があれば、故意であろうと不知のための過失であろうと言い訳が許されない厳しい社会的な要請事項です。
  私達はこれまで新聞報道で実に様々なコンプライアンス違反企業を見てきました。記憶に残る大きな食品関連事件では、2001年のBSE(牛海綿状脳症)問題に便乗し補助金詐取で解散に追い込まれた名門雪印食品、2007年には庶民には高嶺の花であった船場吉兆で食べ残し料理の再利用発覚による破産、昨年では汚染米を清酒の原料として利用していたことが露見し、130年の老舗を閉じ民事再生法を申請した美少年酒造があります。この他にコンプライアンス違反の多数を占める粉飾決算(1997年の山一証券倒産は粉飾決算のウルトラ版でしょう)も依然後を絶ちません。どの事例でも経営者は記者会見で平身低頭し、涙を流し、自殺者まで出る事件もありました。企業の規模に関わらずコンプライアンスが生命線であることは、やはり肝に銘じるべきことなのでしょう。

◆コンプライアンス違反が摘発されやすい社会環境となっております。
   最近の日本社会では、コンプライアンス違反が摘発されやすい社会環境となっております。これは、健全な市場流通を求める思潮が世間一般に広がり、違反者を許さず積極的に摘発するという傾向になっていること、そして個人ベースでは権利意識が強くなり、権利を侵害するものに断固たる処置を請求することによります。更には内部通報制度により、コンプライアンス違反を熟知する企業内部の者が当局等に訴えることで不祥事が発覚することも大きく影響しております。
   古い漢語ですが、「天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず」(小さな悪事でも天罰を免れることはできないという意味)が適合する最近の社会環境と思われます。

◆労働関係法令から見たコンプライアンス違反
(1)労働紛争案件
労働紛争案件は毎年大きく増加しております。これは、事業主の法令違反に対する様々な事由(時間外労働賃金の不払い分請求を始めとして、普通解雇・懲戒解雇・整理解雇の無効や労働条件引き下げ無効を求めることなど)が労働紛争案件となっております。
・平成21年労働関係民事通常訴訟3,218件(対前年32%増)
・平成21年労働審判受付件数3,468件
(対前年69%増)

労働紛争案件が増加する理由には、一昨年のリーマンショックによる日本経済の落ち込みとこれによる解雇や労働条件の引き下げが当然ありますが、この他に労働者の権利意識が強くなり、働いた分は当然請求するという労働者スタンスにもよります。また、労働者が秘かに自分の労働時間メモを作り、退職後に労基署に未払い賃金を請求した場合、使用者がきちんと労働時間管理を行っていないと判断された場合には全額支払うか、和解により一部を支払うことを余儀なくされますので日常の労働時間管理がとても重要です。補足ながら、最近労働基準監督署では時間外賃金未払い問題に対する厳しさが増しておりますのでご注意ください。

(2)厚労省によるコンプライアンス違反摘発
経済不況により失業労働者が増加することを回避するために、厚労省は「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」制度を実施中です。これは、不況下でも労働者を解雇することなく休業させ雇用を守る事業主に支給される助成金です(神奈川県では5,682事業所がこの助成金を受給しています)。しかるにこの助成金を受給しながらも、休業させている筈の労働者を働かせている会社があることから、厚労省は全国の事業所に立ち入り調査し、この企業名を本年11月以降公表することとなりました。企業名が公表されることは上記の通りコンプライアンス違反として今後のビジネスに大きな打撃となり、社会的な信用問題となり、延いては企業の存続に関わるかもしれません。法令遵守の経営スタンスを維持することが何より大切と思われます。


神奈川の最低賃金が改定されます。
全国平均730円、神奈川818円


◆全国平均17円の引上げ
厚生労働省の中央最低賃金審議会では、2010年度の地域別最低賃金(時間額)の引上げの目安を全国平均で15円にすると答申していました(現在の713円からから728円へ引上げ)。
その後、各地方最低賃金審議会による調査・審議が行われ、9月9日までにすべての地方最低賃金審議会で答申があり、引上げの目安は全国平均で17円となり、最終的な全国加重平均額は730円となりました。
神奈川県の最低賃金時給は818円、10月21日から改定となりますので、今後の賃金決定の下限にご注意ください。
因みに引上げ幅一位は東京の30円(時給821円)、二位が神奈川の29円(時給818円)であり、時給額自体でも東京と神奈川が一位と二位となっております。

◆「最低賃金」とは?
最低賃金は、使用者が労働者に支払わなければならない賃金額の最下限値です。
中央最低賃金審議会が定めた目安を基に47都道府県ごとに定められ、最低賃金に違反した使用者には罰金が科せられるとされています。


当事務所より一言
株式会社毎日コミュニケーションズでは、卒業予定の学生を対象として毎年調査している「あなたの就職活動を漢字1文字で表すと?」の2010年調査の結果を発表しました(今年で11回目となっています)。

◆「苦」が2年連続で1位
上記の質問について、1位から3位までの結果は以下の通りとなっています。
・1位「苦」(前年1位)
・2位「楽」(前年3位)
・3位「迷」(前年2位)

来年度開始となる「新卒者キャリアスタート事業助成金(新卒者採用で80万円程度の助成)」が就職を後押しして、「苦」しい思いをしている新卒者が救われてほしいと願っております。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

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