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社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

4月以降の「厚労省助成金」の
改正と新設・統廃合

◆助成金制度は雇用政策を映す鏡です
 厚生労働省の雇用関係助成金制度が毎年見直されますが、その改定は雇用政策を反映するいわば鏡のようなものであるといってよいでしょう。助成金制度を見ればその時々で国が事業主に求める雇用や人事制度が映し出されております。
 
世の中にいわゆる年長フリーターが多く存在し社会的問題となっているときに、かれらに対し安定的な職場を提供した中小企業事業主へ、若年者等正規雇用化特別奨励金として100万円という大きな金額を政策的観点から支給しておりました(昨年3月で終了しました)。
 
また、昨今の学卒就職超氷河期時代に既卒者を採用した中小企業事業主には、3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金として、これも100万円という大きな金額を政策的観点から支給しておりました(本年3月で完全終了しました)。

その一方で、子育て期間中の短時間勤務制度を導入し利用者が出てきた中小企業事業主には当初100万円が支給されましたが、世に普及し助成金申請案件が多くなり70万円に引き下げられ、さらに現在では40万円となっております。
これら事例のように、助成金はその時々の雇用政策に従い、事業主へのインセンティブを喚起するように、対象となる雇用や支給金額を見直します。貴社が新年度に新たな雇用や人事制度の見直しを図る際には、社会保険労務士の情報を利用しながら助成金に結び付けることをお勧めします。

◆平成25年度から新体系へ統廃合
厚生労働省は、本年4月から雇用関係助成金制度の一部について、既存の助成金で類似するものを統廃合するなどして、わかりやすく、活用しやすい制度体系に変更することを発表しました。

具体的には、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金のように類似する制度を統合して新設するものや(「雇用調整助成金」に一本化)、これまで対象者毎に分かれている試行雇用奨励金を一本化する等統合化の方向などを示しております。

しかしながら、受給資格者創業支援助成金(求職者が新たに起業したときに最大助成金200万円)や、正社員化推進奨励金(パートタイマーを正社員化すると1名あたり助成金20万円)はこの3月末で廃止となり、利用目前でタイムアップとなる事業主の方もいらっしゃるのではないかと危惧します。

◆永続的な助成金があります
多くの助成金が変遷を遂げているなかで、永続的ともいえる助成金があります。それは、特定就職困難者雇用開発助成金です。

特定就職困難者雇用開発助成金は、一般的に就職が困難とされる次の方々を雇用した時に支給される助成金であり、対象者や支給金額にほぼ変動がなく、また、助成金金額自体も大きなものとなっております。これらの方の雇用受け入れは社会的な要請に沿うことにもなります。
(1)60歳以上高年齢者の採用(90万円)
(2)母子家庭の母(90万円)
(3)障害者(135万円)
 (注)( )内金額は一般被保険者として
    雇用した中小企業事業主への助成
    金です。重度障害者雇用の場合助成金金額が更に大きくなります。

ブラック企業はいただけません
◆インターネットで「ブラック企業」検索
ブラック企業とはなんでしょうか。インターネットで「ブラック企業」を検索すると、次の定義が示されます(Wikipedia)

『入社を勧められない労働搾取企業を指す。英語圏では一般的にスウェットショップ(Sweatshop)と呼ばれている他、中国語圏では血汗工場(血汗工廠)とも呼ばれる。
ブルーカラー・ホワイトカラーや正規雇用・非正規雇用を問わず、末端の従業員に過重な心身の負担や極端な長時間の労働など劣悪な労働環境での勤務を強いて改善しない企業を指すようになっている。すなわち、入社を勧められない企業、早期の転職が推奨されるような体質の企業がブラック企業と総称される。』

◆「ブラック企業」名指しによるダメージ
 ブラック企業に関しては種々出版物もあり、ブラック企業の凄まじい労基法違反行為や従業員の精神を無神経に犯しメンタル障害を起こしてしまう実態が掲載されております。
 事実関係は別としても、「ブラック企業」として名指しされることの企業ダメージは甚大です。社会的知名度が高くなればなるほど、計り知れない影響を受けることとなります。同じくインターネットで「ブラック企業‘偏差値‘」なるものが高名企業実名入りで番付されております。高偏差値には労使トラブルで訴えられた企業等が並んでおり、偏差値の妥当性も伺えます。企業イメージが毀損されることは企業の存亡にかかわることになります。
 更には、ブラック企業の情報を何より必要としているのは新たに就職を求めている新人です。優れた人材が入らない企業には将来がないと言っても過言ではないでしょう。労働力は搾取するだけ搾取する、代替労働力は万年募集中という企業は今の時代には不適合と思われます。

◆「ブラック企業」の過労死裁判具体例
 (大庄事件 大阪高裁 23.5.25)
「ブラック企業」上位の東証一部上場大手居酒屋チェーンの過労死裁判です。
 従業員Xは入社後4か月後に心機能不全で突然死しましたが、過労死認定基準月平均80時間をはるかに超える時間外労働(毎月103時間〜141時)の結果であるとして労基署は過労死労災認定を下しました。驚くべきことは同社の賃金は本給123,200円(地域最低賃金)であり、役割給71,300円は月80時間の残業を行って初めて支給されるものの、残業が80時間より少ないとその分給与カットされるというものでした。
 裁判で会社側は自社の正当性を主張し、同業他社(ワタミフーズ等)事例も言及しましたが受け入れられず、社長を始めとした役員の不行為責任を認め、会社のみならず役員を
含め7860万円の損害賠償を命じました。
 同社ホームページでは、社長が様々な社会貢献を行っていることを誇っておりますが、その前に「労働者の生命・健康は至高の法益」(大阪高裁判示)であることを肝に銘ずる必要があるのではないかと思われます。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

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