渡邊人事労務パートナー事務所便り平成25年11月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

運送事業者に対する監督指導・送検の
状況


◆平成24年の監督指導・送検
厚生労働省から、自動車運転者(トラック、バス、タクシー等)を使用する事業場に対して行われた、全国の労働局や労働基準監督署による監督指導や送検について、平成24年の状況が公表されました。
自動車運転者を使用する6,007事業場に監督指導が行われ、何らかの労働基準関係法令違反が見つかったのは、全体の82.0%(4,924事業場)、改善基準告示違反があったのは、全体の60.6%(3,640事業場)でした。
違反の内容は、多い順に以下ようになっています。
<主な「労働基準関係法令違反」の内容>
(1)労働時間(54.9%)
(2)割増賃金(24.3%)
(3)休日(5.7%)
<主な「改善基準告示違反」の内容>
(1)最大拘束時間(48.9%)
(2)休息期間(35.9%)
(3)総拘束時間(34.9%)
(4)連続運転時間(30.3%)
(5)最大運転時間(17.3%)
また、重大または悪質な労働基準関係法令違反により送検が行われたのは80件でした。

◆「脳・心臓疾患の労災認定」は最多
自動車運転者は、依然として長時間労働が常態化しており、脳・心臓疾患の労災認定件数が最も多い職種でもあります。
平成24年度は83件の労災保険の支給決定がなされています。これは氷山の一角であり、交通事故などで亡くなった自動車運転者の中には、長時間労働が要因であった場合もあるのではないかと推測されます。また、物損事故で済んだような場合でも、修理の間、その車両が使用できなくなれば、業務には影響が及びます。
厚生労働省では、引き続き、自動車運転者を使用する事業場に対し、「労働基準関係法令などの周知・啓発に努める」としています。現在、取り組んでいる企業でも、今以上に、自動車運転者に対する労働条件の見直しと監督・指導への対応は重要な課題となってくるでしょう。


婚外子相続格差違憲判決で
注目を集める「寡婦控除


◆きっかけとなった判例
法律上婚姻関係のない両親から生まれた「婚外子」(非嫡出子)の相続について、「法律婚の子(嫡出子)の2分の1」とする民法の規定をめぐり争われた遺産分割審判において、2013年9月4日、最高裁大法廷は、「父母が婚姻関係になかったという、子供にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されない」とし、同規定は憲法に違反しているとして、無効とする判断を下しました。
この決定を受け、政府は、早ければ今秋の臨時国会で民法改正案を提出する見込みですが、相続に限らず多方面に影響が及ぶ可能性があります。その1つに、「寡婦控除」があります。

◆「寡婦控除」とは?
寡婦控除は、女性の納税者が所得税法上の要件を満たす場合に受けられる所得控除で、控除額は27万円(特定の寡婦は35万円)です。
所得税法上の要件とは、その年の12月31日時点において、(1)夫と死別もしくは離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族または生計を一にする子がいる人、(2)夫と死別した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。
いずれも民法上の「婚姻」を前提としているため、非婚女性には適用がありません。

◆適用要件緩和を求める動き
これによる影響は、所得税の負担増だけではありません。寡婦控除後の所得税をもとに算定される住民税や国民健康保険料、保育料、さらには公営住宅の入居資格やその家賃などにも及ぶため、婚姻している女性と非婚女性とでは均衡を失しているといえます。
そのため、日本弁護士会連合会(日弁連)では、国や地方自治体に対し「みなし寡婦」の取扱いを求める要望書を提出しており、一部自治体では非婚女性への適用を認めるところも出始めています。企業においてもこれらの動向に注意を払う必要があるでしょう。


快適な職場環境を実現するための
「職場のパワハラ」への取組み


◆急増する「職場のパワーハラスメント」
職場内でのいじめや嫌がらせ(パワーハラスメント/パワハラ)については、近年、労働局や労働基準監督署等への相談が急増するなど、社会的な問題として顕在化してきており、対応に悩む職場が増えています。
厚生労働省が平成24年度に実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、約4分の1の従業員が、パワハラを経験しています。
パワハラは、従業員個人にメンタル不調等を生じさせるだけでなく、職場風土の悪化等による生産性の低下、企業が職場環境配慮義務違反等を問われるリスク、企業イメージの低下など、企業にも大きなマイナスの影響を与えます。
これを防ぐためにも、予防・解決に向けた取組みを行うことが求められていますが、そのような取組みを行う企業は現在約半数にとどまっているようです。

◆厚生労働省の取組み
厚生労働省では、このような状況を受けて、企業の取組みの好事例などを紹介した『職場のパワーハラスメント対策ハンドブック』を作成しました。
この中では、製造業や建設業、社会福祉施設など様々な業種(全17社)の取組みが紹介されているほか、就業規則の規定例などが掲載されており、取組みが遅れている企業が活用できる内容となっています。
また、このハンドブックをもとに、無料の「パワーハラスメント対策支援セミナー」が全国約50カ所で開催されることとなっています。おおいに活用したいものです。

◆ハンドブックの入手方法
このハンドブックは、都道府県労働局や労働基準監督署等で配布するほか、ポータルサイト「あかるい職場応援団」(http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp)からも無料でダウンロードすることができます。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

このページの先頭に戻る