社会保険労務士渡邊武夫事務所便り9月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

いよいよ来月マイナンバー配布!

◆従業員への事前周知が大切です
 来月10月5日からマイナンバー配布が開始されます。マイナンバーは社会保障・税制・災害補償を貫通する唯一無二の個人番号であり、個人情報の更に上部に位置付けられております。

しかしながら従業員によっては12桁の数字が届いただけで、どうなるものでもないと思われる方も多分おられると思います。そうした従業員の方に、マイナンバーの重要性と会社との関わりをアナウンスする必要があります。そしてアナウンスの時期はマイナンバーが配布される今が最適であり、従業員への事前周知をお勧めします。従業員アナウンス用文例を改めてメール添付いたしますので、適宜修正の上ご利用をお願いいたします。

◆マイナンバープロジェクトチームの役割
 マイナンバーの重要性、取扱機密性そしてマイ
ナンバー漏洩時の社会影響等から中小企業と
いえどもマイナンバーは担当者だけでなく、会社
全体として取り組む課題です。

マイナンバー関連で取り決めるべき事項は沢山あります。例えば@従業員へのアナウンス、A基本方針と取扱規定の策定、Bマイナンバーの取得時期と取得方法の決定、C管理区域と取扱区域の区画設定、D就業規則の変更等数多くあります。これらの業務を遺漏無く推し進めるために社内プロジェクトチーム編成等により適正な処理を進めることをお勧めします。

◆マイナンバーの利用範囲の拡大
 今年9月3日にマイナンバー法が改正され、使用用途として、新たに銀行口座、特定健康診査・予防接種記録との紐付けが組み込まれることになりました。この改正法による銀行口座紐付けは現在任意ですが何時義務化されないとも限りません。

仮に銀行口座にマイナンバーを完全紐付けすれば、税務当局などは個人の資産を把握することが可能となり、個人資産が丸見えになりかねません。これもマイナンバーの持つ公平性(別な意味では恐ろしさ)と言えます。

また、現在財務省提案の消費税2%還付にマイナンバーを利用するケースでは、個人番号カードの納入数が必要数に追いつかないため時期的に延期の可能性があると言われております。

◆社会保険未加入事業所の補足
 マイナンバーから少し外れるかもしれませんが、税務当局と厚生労働省が現在保有データを付け合わせし洗い出し作業を行っている社会保険未加入事業所調査は未加入中小企業を浮かび上がらせる可能性があります。マイナンバーが定着すれば一層状況が明確になると思われます。
従業員から源泉所得を行っている会社数(つまり現在活動している会社)が税務当局データで250万社、一方、現在社会保険加入会社が厚労省データで170万社、差し引き80万社の相当部分が本来社会保険加入企業であると推測されております。そしてデータ付け合わせの上、未加入可能性のある会社へ年金事務所から照会状が発送され回答が求められております。

当職がある年金事務所担当者の方へ何気なく相談したところ、やはり無回答で放置している会社に対しては強硬な措置が執られることがあり、また、企業が大きければ尚更であるとの言い方でした。また、通常の会社では保険加入日は遡及しないが、悪質とみなされた会社は2年間目一杯遡及を行うとの話でした。このため、色々な事情はあるにしても法令通りの加入を行うこと、仮に照会状が来たら適切に回答を行うことをお勧めします。

改正派遣法成立・9月30日施行

◆難産だった改正派遣法
今回の改正派遣法は難産の末ようやく成立したと感じます。つまり、昨年の通常国会と臨時国会に法案が提出されましたが、条文ミスと衆議院解散で廃案になり、今国会も日本年金機構の個人情報流出問題で審議が停滞して、ようやく9月30日施行の運びとなりました。

今回の改正派遣法は従来の労働者派遣制度を大きく転換させるものであり、派遣労働者在籍企業は改正法の点検をお願いします。

◆大きな変更点
(1)派遣の受入期間が事実上なくなります。これまで派遣労働者に任せる仕事は最長3年間に制限されておりましたが、派遣法改正により、人を入れ替えれば同じ仕事をずっと派遣に任せることが可能になりました。
(2)「専門26業務」の概念が無くなりました。派遣最長3年制限の例外として、これまで「専門26業務(秘書・通訳等)」は期限なしとされておりましたが、26業務と一般業務との線引きが曖昧で労使間トラブルの種にもなっておりました。
(3)派遣元で無期雇用であれば派遣先での期間制限はなくなります。
最低賃金が引き上げられます

◆最低賃金が全国的に大幅アップ
 今年の最低賃金は全国的に大幅アップとなりました。関東各都県の最低賃金をご案内いたします。

東京 :907円(+19円)10月1日より適用
神奈川:905円(+18円)10月17日より適用
埼玉 :820円(+18円)10月1日より適用
千葉 :817円(+19円)10月1日より適用

◆最低賃金違反にご注意下さい
最低賃金額に近い額で雇用契約を結んでいる従業員が多い事業場では、引上げ後の最低賃金額を上回る額が支払われているかご確認下さい。
時間給を計算してみると最低賃金額を割り込んでしまっているケースが、アルバイト・パートタイマーはもちろん、正社員の場合であっても散見されます。
時給制の場合にはわかりやすいのですが、月給制や日給制の場合は、賃金額を労働時間数で割り戻して時間給を算出し、最低賃金額と比較してみてください。例えば東京都の月給者(月間労働時間160時間)の場合、改正後の月給が145,120円未満であれば最低賃金違反となります。

賃金額が最低賃金額を下回る場合には刑事罰が定められており(最低賃金法40条、50万円以下の罰金)、悪質な場合には書類送検の可能性もあります。「引上げにきちんと対応できていなかった」という“うっかりミス”が多い部分ですので、10月の引上げ前に、再度、最低賃金額関連の管理について見直しすることをお勧めします。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

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