社会保険労務士渡邊武夫事務所便り10月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

次はストレスチェック!
◆ストレスチェックって何?
 会社の人事・経理業務ご担当の方は、現在マイナンバー業務でお忙しいのではないかと拝察します。このような中で今年12月1日より、更にストレスチェックが導入されます。またやらなければならないことが増えることになりますが、法令で定められればやはりキチンと対応する必要があります。

 ストレスチェックと聞くと、メンタル不調者を早期に発見し適切な対応を行うこと(いわゆるスクリーニング)と思いがちですが、実は違うのです。労働者のメンタルヘルスケアは次の通り第一次予防から第三次予防に分かれますが、ストレスチェックは第一次予防に位置付けられます。

第一次予防:ストレスチェック
労働者自身の気付き、対処の支援、職場環境の改善
第二次予防:スクリーニング
メンタ不調者を早期に発見し適切な対応を行うこと
第三次予防:職場復帰支援
メンタル不調者となった者の職場復帰支援


◆ストレスチェックの対象企業
 対象労働者が50人以上の事業場に対してストレスチェックが義務化されます。50人未満は努力義務です。なお、雇用期間が1年未満の者や、通常労働者の所定労働時間の4分の3未満の者は対象外となります。

◆何時までに何をしなければならないの?
 今年12月1日から来年11月30日までの適宜の時期に、ストレスチェックを行うことになります。つまり、会社の定期健康診断に併せて行うとか、会社の全体会議があるときなど、一番適切な時期に合わせれば良いことになります。ただし、例えば入社式の後などは、新人には本当の意味でのストレスはまだ生じておりませんので、ある程度時期をずらすことをお勧めします。
なお、ストレスチェックの後の面接指導や全体評価のプロセスは必ずしも11月30日前に終了させる必要はなく、拙速対応よりは社内体制の完備時期を優先するべきでしょう。

◆ストレスチェック進行プロセス
 ストレスチェックは大きく分けて4段階の進行プロセスとなります。

T 実施前
・衛生委員会で調査審議
・労働者への説明・情報提供
U ストレスチェック
・実施者(医師・保健師)によるストレスチェック
・ストレスチェックの結果を労働者へ直接通知
・結果を受けた従業員のセルフケア
・結果を受けた従業員発意による面接申し出
(ここまでを来年11月30日までに実施)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
V 面接指導
・面接指導対象者に対する申出勧奨
 (実施者→面接指導対象者)
・労働者から面接指導申出 
 (労働者→会社)
・医師による面接指導
・必要に応じて就業上の措置
 (例)就業場所の変更、作業転換、
   労働時間短縮、深夜業減少等
W 分析と評価
・結果の集団的分析と報告
 (実施者→会社)
・集団的分析を職場環境改善に活用
・面接指導状況の確認

◆産業医と衛生委員会の重要性
 ストレスチェックは従業員が50名以上の会社でこの12月から義務化となりますが、従業員が50名以上の会社は同時に産業医の選任と衛生委員会(場合によっては安全衛生委員会)の設置が法令で求められます。
ストレスチェックにおいては、その産業医と衛生委員会が重要な役割を担います。まず、産業医はストレスチェックの実施者としてストレスチェック業務をおこないます。なぜならばストレスチェックの個人別データは会社の人事権限を持つ者は触れてはいけないものとされており、産業医や保健師等がストレスチェック実施者となります。また、面接指導が望ましい社員に対して面接指導の勧奨や実際の面接指導の重要な役割を担います。
また、衛生委員会はストレスチェックの実施に関する会社方針を決定し、11項目の重要事項(ストレスチェックの周知方法、実施体制、労働者不利益防止等)を調査審議し規定化することになります。産業医と衛生委員会はストレスチェックの両輪といえます。

◆ストレスチェックを実効あらしめる方策
 ストレスチェックは、事業主が費用負担を行い、従業員の心理負担を調べる検査であり、世界で初めての試みです。折角のストレスチェックを実効あらしめるためには、従業員がストレスチェックの意味を正しく理解し、自分の心の負荷状態を正確に申告し客観的に評価すること、そしてセルフケア或いは面接指導を受けることにあります。そのためには、面接指導を受けた者に対して不利益扱いをしないという会社の強いメッセージが不可欠になります。会社に対する疑心暗鬼から、全く異常のないような回答を行っている内にメンタル不調が爆発し、世間を震撼させる事件を起こすこともあり得ます。その場合でも会社は被害先への使用者責任や労働者への安全配慮義務が問われる可能性もあります。第一次予防としてのストレスチェックを積極的に活用したいと思います。
 
◆ストレスチェックは外部機関への委託もOK
 ストレスチェックの個人別データは個人に帰属する情報であり、本人の承諾無しに会社の人事権限を持つ者は閲覧できません。これがストレスチェックの悩ましいところです。また、実際に会社が実施者や実施補助者、産業医等全ての体制を整備することが現実的に困難なことも想定されます。このため、厚労省は「外部機関チェックリスト」を発表し業務委託を行う場合の指針を公表しております。外部機関毎にサービス特徴やアピールポイントがありますが、価格にポイントを置いていくつかの外部機関を紹介いたします(開業社労士専門誌SR39号から抜粋)

*(株)アドバンテッジリスクマネジメント
  約2千円〜4千円/ 1人・年間
*NECソリュージョンイノベータ(株)
  年間50万4千円(全機能実装プレミアム版)
*損保ジャパン日本興亜ヘルスケアサービス(株)
  100名で約30万円〜
*(株)オービックビジネスコンサルタント
  100名で11万円〜

当職が外部機関委託を検討する場合、価格水準だけではなく、やはり高ストレス者への適切な対応と面接指導の専門家の存在を重視することをお勧めします。また、産業医が外部機関の選定に関わることが望ましいと思われます。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

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