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社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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税制適格年金便り1月号

労働者派遣法の改定を考える  
貴社では労働者派遣を利用されておりますか。あるいは今後派遣労働者への切り替えや雇用調整のため派遣受け入れをお考えですか。その場合にはこの事務所便りの記事が参考になるかもしれません。

◆労働者派遣法改定の背景
2008年9月のリーマンショック以来100年に一度と言われる未曾有の経済不況の中で、派遣労働者の派遣契約や期間雇用社員の労働契約打ち切りが社会問題となりました。職を失い、家を失い、最悪自殺する人等をジャーナリスト達は大きく取り上げ、労働者派遣制度の存在自体が悪であるかの如き一部報道もありました。
このような情勢の中で、日本労働組合総連合会(連合)と協調路線をとる民主党が政権党となったことから、マニュフェストに従い労働者派遣法の見直しを厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会に諮り、12月28日(木)に答申が出されました。
その答申の内容を見ると、労働者派遣制度を大きく制約(禁止規定・みなし雇用申込規定を新設)するものとなっております。本年の通常国会に提出し可決されれば労働者派遣制度を労働力需給調整制度として用いているわが国の企業に大きな影響がでることが想定されます。
◆改定内容の注目点
 改定内容の中で注目すべき大きな変更点は下記の通りです。
・法改正で出来なくなること  
1.製造業務への派遣原則禁止・・一部例外規定はあるものの、法令改定で製造業への派遣が禁止されれば、製造業とりわけ中小企業への影響は大きいと言わざるをえません。  実施日は法令公布の日から3年以内の政令で定める日とされております。

2.登録型派遣の原則禁止・・登録型派遣とは、派遣事業会社が予め労働者を登録しておき、派遣を行う段階で労働者と雇用契約を締結する(即ち派遣が決まるまで労働者は労働契約が無い)ものをいいます。派遣事業会社と労働者が常に雇用契約を維持する常用型派遣と異なり、登録型は労働者が不安定な立場に置かされるため、一部例外を除き原則禁止対象となりました。
しかしながら、登録型派遣はこれまで短期・一時的な労働受給機能として有効に機能していることや、労働者側も登録派遣を望む者が多い中において法令で禁止すること自体適切か議論が行われてきたところです(日経新聞等は反対論を展開していました)。法令が実施されれば中小企業の人材集めへの影響が懸念されるところです。
実施日は法令公布の日から3年以内の政令で定める日とされておりますが、企業や派遣労働者への影響を勘案して更に2年間の暫定措置(即ち5年以内の法令で定める日の実施)とされております。

・法改正でみなし雇用申込規定が新設
違法派遣の場合における直接雇用の促進・・違法派遣であることを知りながら派遣労働者を受け入れている派遣先企業の場合、派遣先会社は派遣労働者へ労働契約を申込んだとみなす規程が設けられます。即ち違法派遣労働者を受け入れた会社は、その労働者に雇用契約を申し込んだとみなされることとなります。派遣で受け入れたつもりが社員雇用に転じることであり、事業主にとり怖い話となります。安易に違法派遣を受け入れることは重大な問題に繋がりますのでご用心が必要です。
実施日は法令公布の日から6カ月以内の政令で定める日とされております。
「確定拠出年金」の
使い勝手が良くなる?

貴社では社員退職金規程がおありでしょうか。社員退職金規程がある限り会社には原則として退職給付債務が発生しますが、退職給付債務が発生しない企業年金制度として「確定拠出年金」制度があります。
もし、貴社が退職給付債務から解放されたいと思われているならばこの事務所便りの記事が参考になるかもしれません。
また、貴社が平成24年3月末廃止期限となっている税制適格年金をまだ廃止されておらず、新たな退職積立金の移転先を探されておられる場合もこの記事が参考になるかもしれません。

◆「適年」の受け皿として
厚生労働省は、「確定拠出年金制度」(日本版401k)を拡充するため、関連法の改正案を本年の通常国会に提出する方針を明らかにしています。

同省では、今でも多くの中小企業が採用している「適格退職年金制度」(2012年3月末に廃止予定)の受け皿として、この確定拠出年金が大いに活用されることを期待しているようです。この背景には「税制適格年金」を未だ廃止していない企業が多く、早期移行を促す意味もあると思われます。

◆確定拠出年金の特徴と導入の背景
確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額で年金給付額が決定される年金制度です(拠出掛金が確定・給付額は未確定のため確定拠出年金と言われます)。
厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金制度(拠出掛金が未確定・給付額は確定のため確定給付年金といわれます)は、給付額が約束されるという特徴がありますが、離転職時の年金資産の持ち運びが十分確保されておらず労働移動への対応が困難であることなどが指摘されていました。
そこで、企業年金の新たな選択肢として、2001年10月に確定拠出年金制度が導入されました。
 確定拠出年金の一番の特徴は、企業年金に自己責任の概念を導入したことです。つまり年金資産の運用成果は全て加入者(従業員)に帰結されるため、事業主に退職給付債務は発生しないこととなります。

◆予定されている主な改正内容
確定拠出年金には拠出者で分類し2種類あります(1.企業のみが掛金を拠出する「企業型」、2.個人のみが掛金を拠出する「個人型」)。来年予定されている改正はこのうち「企業型」に関するものであり、主な内容は次のとおりです。
(1)従業員による掛金拠出も認める(ただし従業員の掛金は企業の拠出額以下とする)。これはそもそも本家米国401kでは従業員の拠出(マッチング拠出)が認められていることにならったものです。マッチング拠出掛金に対しては税制上の優遇措置が生じるため従業員にとり魅力のある改定と言えます。
(2)加入年齢を引き上げる(積立期間の上限を「60歳」から「65歳」に変更する)
なお、「企業型」の確定拠出年金の導入件数は、2008年3月末時点で3,043件(加入者数311万人)です。

◆果たして加入件数は増えるか?
確定拠出年金は、運用次第で個人の年金受給額は増減するものの、企業にとっては、掛金追加負担を求められることが基本的にはないというメリットがあります。
一方で確定拠出年金は制度開始時に従業員教育が前提となることや、加入者が60歳になるまで年金受給ができないことも考慮しなくてはなりません。
いずれにしても企業年金制度を改定する際にはそのメリット・デメリットを従業員に適切に説明することが必要です。
上記の改正により、厚生労働省のねらい通りに加入件数が増えていくのか、注視したいと思います。

「中小企業緊急雇用安定助成金」の
変更点について


もし貴社がこの景気低迷の中でも従業員を解雇せず、休職や出向で雇用維持に努めてされておられるなら、この事務所便りの記事が参考になるかもしれません。

◆民主政権で何が変わった?
民主政権に変わり、雇用関係に関しても様々な動きがあります。ここでは、中小企業にとって影響の大きい「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更点を取り上げます。

◆「中小企業緊急雇用安定助成金」の
変更内容
「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件が次のように緩和されています。
(1)助成金対象の拡大
これまで、出向労働者を出向元に復帰させた後、6カ月を経ずに再度出向させた場合には助成金の対象外であったものが、対象とされました。これは、平成22年11月29日までの時限措置とされています。
(2)生産量要件の緩和
生産量要件(従来は「売上高・生産量の最近3カ月間の月平均値がその直前3カ月または前年同期に比べ5%以上減少していること」)に加えて、「売上高・生産量の最近3カ月間の月平均値が前々年同期に比べ10%以上減少し、直近の決算等の経常損益が赤字であること」が加えられました。この要件は、対象期間の初日が平成21年12月2日〜平成22年12月1日の間にあるものに限られます。

 当事務所より一言
皆様明けましておめでとうございます。穏やかで素晴らしいお正月をお迎えになったこととお慶び申し上げます。
日本経済は二番底の懸念はあるものの、次第に経済諸データも立ち直り、また株価も回復基調にあります。今年は是非明るい経済環境に転じ企業経営が順調になるよう願っております。
今月号で確定拠出年金改定の話題を取り上げましたが、当事務所は税制適格年金移行と退職金制度構築を主力業務としております。企業年金について疑問があれば何なりとご照会ください。

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