渡邊人事労務パートナー事務所便り4月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

3月11日発生した東日本大震災で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申しあげます。被災地の方を始めとしてわが国日本が一日でも早く元気になってほしいと祈るばかりです。
今回の事務所便りは、東日本大震災の影響で実施された計画停電により企業稼働がストップした場合の、従業員に対する賃金支払いや大震災による事業活動縮小対応策に関する情報を掲載しております。


計画停電時の賃金支払いについて

◆賃金支払いの判断基準

従業員自身は働くことが出来るにもかかわらず、使用者側の事情により働かせることができない場合、賃金支払いは次の判断基準で決定されます(労基法26条)。

1.使用者に責があるとき(例えば、不況による一時帰休、資材不足による休業
→休業手当支払いが必要

2.使用者に責がないとき(例えば天災事 変、労働安全衛生法によるボイラー検査期間中の休業
→休業手当支払いは不要

◆休業手当の金額とは

月給制社員の場合、休業の事由発生日前3カ月に支払われた賃金総額を、その期間総日数で割り算した一日当たり賃金(平均賃金)の100分の60以上の金額です。

(例)月給30万円、休業前3カ月の総日数90日のときの休業手当日額

30万円×3月÷90日=1万円(100%日額)
1万円×60/100=6,000円・・・休業手当日額

法令上の休業手当は100分の60以上であり、就業規則等で全額支払う定めがあるときにはこれに従います。
 
◆今回の計画停電の考え方

 今回の計画停電で電力が供給されないことによる休業時間帯の賃金については、事業主に責任がない、即ち従業員に対する休業手当支払いは不要との通知が厚生労働省から出されました(平成23年3月15日基監発0315第1号)。 
 また、計画停電時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められる場合についても、これを使用者の責とはいえず、この場合も休業手当は不要とされております。例えば、一部時間帯の計画停電が一日の一連の作業工程全体に影響を及ぼす場合には、その日を休業とするようなケースが想定されます。
 また、計画停電が予定されていたため休業日としていたものの、実際には計画停電が中止されたときには、計画停電の予定・内容・公表時期等を踏まえて、使用者の休業回避可能性を判断し、休業手当の必要性を判断することとされております。
 使用者が休業手当を支払う必要がないとされたとき、従業員は有給休暇で対応するか、欠勤控除を受けることとなります。ただし、使用者の判断で休業日についても賃金を支払うことは当然問題ありません。

大震災被害の事業活動縮小対応策
(中小企業緊急雇用安定助成金の活用)


2008年9月のリーマンショックにより世界が金融恐慌に陥る中で、わが国では雇用維持を目的として、中小企業緊急雇用安定助成金制度(大企業は雇用調整助成金制度)が出来ました。
この助成金は、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方が、従業員を解雇せず雇用を維持する場合に休業手当の原則5分の4(中小企業の場合)が支給されるものです。厚生労働省から今回の東日本大震災における助成金の利用通知が出されております。

例えば
○計画停電の実施を受けて事業活動が縮小
○交通途絶のために、従業員が出勤できない、原材料が入手搬出できない、来客がない。
○風評被害で観光客が減少。農作物の売上が減少

ただし、東日本大震災を直接的な理由(避難勧告・避難指示など法令上の制限を理由としたもの)による事業活動の縮小については助成金支給の対象外となります。
中小企業緊急雇用安定助成金制度の利用は事前申請が前提となりますので、これに該当する事業主の方は早急に所轄の労働局またはハローワークでお手続きください。
また、すでに他の事由でこの助成金を利用されておられる事業主も対象となりますので、ご利用検討をお勧めします。


  当事務所より一言
私の会社員時代の同期入社であり、大学の同窓でもあるI君が仙台に住んでおり、今回の東日本大震災で無事か案じて電話やメールをしておりましたところ、連絡がつき家族も家も無事で元気でいることに本当に安心しました。彼とは久しぶりで懐かしく色々話しをしましたが、とても興味深い話を聞きました。

仙台といえば伊達藩青葉城が有名ですが、昔の伊達の殿様はきっちりとリクス管理をしたお城のロケーションをしていたとのことです。昔から経験的に津波リスクを知っていた伊達藩では決して津波の危険のある所に居城を構えず、そして青葉城恋歌で知られる広瀬川が近くに流れて水の心配もない、そして川には魚がおり食料になる、燃料になる木材は山に行けば豊富だ、つまり昔からインフラに配慮したお城構えをしていたと聞いて、なるほどと得心しました。

現在の私達は今回のような想像を絶する災厄は考えない、あるいは考える必要がないとの前提で行動してきましたが、その考えが驕りであったことが今回の地震と津波、そして福島原発の事故でいやというほど教えられました。今更ながら、人間が自然を思うまま克服することは出来ないという大きな教訓を実感します。


社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

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