渡邊人事労務パートナー事務所(助成金センター)事務所便り12月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

セクハラ事件の怖さ

最近の報道で、アテネ・北京五輪柔道の金メダリスト内柴選手が、セクハラ事件で勤務先の大学を解雇されたとの報道がありましたので、今回セクハラ事件の怖さを取り上げました。

◆セクハラ事件の特性
セクハラ事件はその性格上当事者のみしか事件の真実を知り得ないので、本件の実際がどうなのか分からないということがあります。ただし、一つ間違いなくいえることは、内柴氏は今回の事件公表と解雇で社会的な立場を喪失し、かつて栄光の金メダリストであったということすら許されない様な状況になったということです。今後訴訟等の展開があるかもしれませんが、一度疑念をもたれると致命的になることがあります。

◆私自身のセクハラヒヤリハット
セクハラ事件の度に私自身のことで思い出すことがあります。私が損保営業の管理職であった時に、部下で女性問題社員がおりました。管理職としての役責上、その女性問題社員に指導と改善を行うために呼び出しました。皆の面前で叱るのも可哀想との配慮で、偶々空室となっていた支店長室で諄々と諭しました。そして最後に「あなたのお仕事は何ですか」と問いました。私の話を聞いて反省した部下女子社員から当然「お客様のために働きます」との回答を期待していたのですが、「私の仕事は契約書の機械入力業務です」と開き直ったので、もう一度諭したところ、泣いて支店長室から出て行きました。あとから考えると、私と彼女は密室におりました。そして彼女は泣いて支店長室から突然出て行きました。傍から見ると密室の中で何があったか誰も見ておりません。もし彼女が悪意をもって、私が彼女に無理矢理体を触ったので逃げて出てきた等セクハラの訴えを行ったら、事件として大変なこととなったことに気づきぞっといたしました。それ以来このような局面の時には女性と二人だけで密室で話すことは避けております。心配し過ぎと思われるかもしれませんが、それだけセクハラの疑惑を持たれないよう注意をしなくてはならないことと思っております。

◆合意でもセクハラとされることがありうる
今回の事件ではお互い合意であったと内柴氏は主張しているとの報道もありますが、過去のセクハラ事件では仮に合意であってもそこに至る経緯や置かれた立場の上下支配関係でセクハラとされた事件があります。内柴氏は世間のセクハラに対する厳しさに無知であったのかも知れません。内柴氏が金メダルを2個もとる偉業を成し遂げるためには、本当に言葉では言えない汗と涙と精進の連続の日々であったと思いますが、それがたった一度のセクハラ事件で全てが水泡となってしまいました。真にセクハラの怖さを感じさせます。
セクハラ事件の加害者である被告男性の主張(「逃げられた筈、抵抗できた筈」、「事件後も一緒に食事をした」、「継続的な性行為があった」)等の抗弁が却下されセクハラとされた裁判例が幾つもあります。

◆セクハラは深刻な被害を及ぼす
私たちはセクハラが異性(法令では男女ともに相手方になります)に深刻な被害を及ぼすことを真に理解する必要があります。それと同時に、加害者自身もセクハラにより社会的な名誉や地位を抹殺される可能性があることを肝に銘じるべきであると今回の事件は示しております。

「専業主婦」の年金制度見直し方向

◆2012年にも見直しを実施
現在公的年金制度について様々な論議が行われております。その論議の中心は主婦の年金問題です。厚生労働省は、2012年にも専業主婦の年金制度を見直す方針を示しています。
具体的には、夫が支払った保険料(会社員の厚生年金や公務員の共済年金)の半額を妻が負担したとみなし、夫と妻で年金を2等分して給付するというものです。ただし、夫婦合算の保険料負担や年金受取額は変わりません。

◆「不公平」との批判に対応
会社員や公務員を夫に持つ専業主婦は「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を支払わなくても基礎年金を受け取ることができます。このため、保険料を支払っている自営業者の妻などからこれまで「不公平だ」との批判を受けています。
今回の見直し案は、婚姻期間中に夫が支払った保険料は夫婦が一緒に支払ったとみなし、主婦も保険料を納付したと位置付けることで不公平感を和らげるのが主眼です。
実はこの年金2等分の考え方は夫婦離婚ですでに実質導入されております。平成20年4月以降、専業主婦であった妻が夫と離婚したときには、夫の厚生年金記録の半分は妻に自動分割されることとなっております。この自動分割は法令で定められているため夫の承諾は不要です。専業「主夫」の場合も同じ考え方となります。

◆加入者全体で専業主婦の分を負担
専業主婦が基礎年金を受け取ることができるファンドは、夫の保険料の他に、働く女性や単身者など厚生年金加入者から出ております。今回の見直し案では、負担と給付の総額を変えないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の支給ファンドを負担する実態は変わりません。
第3号被保険者が保険料納付を要しないとされたのは、昭和61年の年金大改定の時です。この大改定に対する有識者の声として「この大盤振る舞いが致命的な失敗であった。この結果、毎年1.8兆円もの保険料収入が失われた。第3号被保険者から保険料徴収することは負担増ではなく負担の公平化である」(八代尚宏国際基督教大学客員教授)と第3号被保険者から新たに保険料を徴収すべきとの声もあり、また、社会保障財政の逼迫もある中で将来に亘って制度維持が出来るかは疑問のあるところです。

年次有給休暇の取得日数・取得率は?

◆労働者30人以上の企業が回答
厚生労働省は、平成23 年「就労条件総合調査」の結果を10月下旬に公表しました。 この調査は、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的としています。
調査対象は常用労働者30 人以上の企業であり、平成23 年1月1日現在の労働時間制度、賃金制度などの状況について4,296 企業が有効な回答を行いました。

◆年次有給休暇の取得状況
1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均17.9日(前年17.9日)であり、そのうち労働者が取得した日数は8.6日(同8.5日)となっています。取得率は48.1%(同47.1%)です。
企業規模別に取得率をみると次のようになっており、規模別では取得日数・取得率ともに前年をわずかに上回ったケースが多いですが、まだまだ国際的には低水準だと言えます。
・1,000人以上…55.3%(前年53.5%)
・300〜999人…46.0%(前年44.9%)
・100〜299 人…44.7%(前年45.0%)
・30〜99人  …41.8%(前年41.0%)

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫

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