渡邊人事労務パートナー事務所便り25年1月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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皆様明けましておめでとうございます。新年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
この新たな年が皆様にとり更なる飛躍の年となるよう祈念申し上げます。
毎月皆様にお届けの渡邊人事労務パートナー事務所便りも引き続きご愛読賜りますようお願い申し上げます。

復興特別所得税の徴税がスタート
◆1月から徴税開始
東日本大震災の復興財源に充てるための復興特別所得税がこの1月から開始となります。平成25年1月1日から平成49年12月31日までの25年間に発生する所得について復興特別所得税が徴税されますが、試算によれば税額規模が7.5兆円になるとされております。
25年という歳月を考えたとき、復興特別所得税が終わるまで命が持たないと苦笑されるご年配もおられる一方で、今年生まれた赤子も将来復興特別所得税を払うことになることを考えたら実に長期間の特別税であるといえます。

◆復興特別所得税の納税義務者
復興特別所得税は所得税の源泉徴収義務者が所得税と併せて徴収することになります。このため所得税の源泉徴収義務者が復興特別所得税の納税義務者となります。つまり従業員の給与から源泉徴収を行っている事業主は復興特別所得税の納税義務者ともなりますので毎月の給与計算に留意が必要です。
本年1月以降は源泉所得税に復興特別所得税を加えることから、若干ですが給与からの源泉所得税控除額が増額します。従業員からの問い合わせも想定されますので復興特別所得税控除が開始したことの社内通知等も必要かと思われます。

◆復興特別所得税の計算方法
 従来源泉所得税は次の計算式で求めておりました。
支払金額等×税率(%)= 源泉徴収すべき所得税額

今回の復興特別所得税を加えた税率は、これまでの税率に102.1%を掛けて求めます。つまり従来の税率が5%ならば5.105%、10%ならば10.21%が復興特別所得税を含めた源泉税率となります。源泉徴収額が1万円の従業員では210円、2万円では420円が復興特別所得税による源泉徴収増加月額となります(1円未満端数切り捨て)。

喫煙者は採用に不利な時代に!?
◆「喫煙者は採用いたしておりません」
総合リゾート運営会社の星野リゾートの採用ページが話題になっています。採用ページを開くと最初に「あなたはタバコを吸いますか」の質問があり、YESをクリックすると「喫煙者は採用しません」とのメッセージと理由が掲げられております。いわば門前払いされることとなります。
同社では社員の喫煙が作業効率や施設効率を低下させ、職場環境を悪化させるものであり、企業の競争力を弱めることになるので、喫煙者を採用しない旨を宣言しています。

星野リゾートが異色の超高級ホテルを各地で運営している企業であり、特殊事情があるとはいえ、掲げた理由は興味深いものがあります。
喫煙者の作業効率が悪い理由として、喫煙のために時間を取ることや喫煙できないことによる中毒症状により潜在能力を低下させることを指摘しております。また、施設効率の面では、喫煙者がいれば職場を分煙化する必要があるが、そのようなスペースがあるならば顧客サービスに利用すべきであると述べております。更に、職場環境に関しては、喫煙習慣のある社員には喫煙のための場所が設置され、より頻繁に休憩が認められるということは、喫煙習慣のない社員から見ると不公平に感じる問題を指摘しております。
以下『』内は同社ホームページの引用です『「なぜニコチン中毒の社員だけを企業は優遇するのか」とアルコール中毒の社員が主張したら、従業員食堂の横に社員用のバーを設置するのでしょうか。ニコチンが切れて集中できないという状況は、アルコールが切れて手が震えるという状況と差はありません』

喫煙者に大変手厳しい内容ですが、首肯出来る部分もあります。今後の企業生き残りの観点から喫煙者の採用は行わないという企業が今後星野リゾートに限らず出てくることが想定されます。

◆喫煙率低下の大きな流れ
「平成23年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、現在習慣的に喫煙している人の割合は、20.1%(男性32.4%、女性9.7%)で、前年度より微増したとのことです。しかし、「平成24年 全国たばこ喫煙者率調査」(JT)によると、平成24年の成人喫煙率は、成人男性は32.7%で、ピーク時(昭和41年)より55ポイントも減少しています。成人女性については10.4%で、ほぼ横ばいだそうです。タイミングとしては、喫煙習慣による採用拒否を実施しやすい時期にあるのかもしれません。

◆喫煙の管理=企業のリスク管理
こうした流れは今後も続くのでしょうか。アメリカでは喫煙の有無や肥満度などが昇進に影響すると言われています。我が国でそこまで積極的に評価の対象にすることは少ないとは思いますが、「自身の健康管理ができていない」という印象を評価者に与えるようであれば、評点に影響し関係ないとも言い切れません。
また、昨今取り沙汰されている、長時間労働・過重労働に関連して、これらが喫煙とセットになった場合、脳・心臓疾患が重症化したり死亡率がアップしたりすることが知られています。喫煙自体は個人の自由だとしても、それが長時間労働等に絡んでくると企業の安全配慮義務が問われるリスクにつながるのです。
よって、「社員の健康管理=企業のリスク管理」という面からも、喫煙の管理は経営の重要課題となってくると思います。

◆採用時の確認
なお、星野リゾートでは、現在喫煙者でも、入社時にタバコを断つことを誓約すれば採用選考に進むことはできるそうです。サービス業界としては堅いことばかり言っていられないためでしょう。ただし、私が同社の人事部長ならば誓約書を提出してもその者は採用しないでしょう。なぜならば、誓約書と引き替えに止められる程タバコの魔力は小さなものではないこと(今は止めましたが、実は私はロングピースの愛煙者でした)、禁煙でストレスを抱える社員を採用するより最初から喫煙習慣のない社員を優先すること、また、そのうち何時か喫煙行為で社員の懲戒処分・解雇処分で手間暇がかかることが予測されるためです。いずれにしても、今後色々な面で喫煙者にとり大変厳しい風向きとなることに間違いはありません。

事務所移転のご連絡
本年1月7日より、事務所便り冒頭表記の通り、東京都新宿区西新宿7丁目に事務所を移転いたします。JR新宿駅西口から徒歩5分にありますのでお近くにお立ち寄りの際はお声を掛けて頂きますようお願い申し上げます。

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