2024年8月号|新宿区の助成金申請代行・就業規則作成なら、社会保険労務士法人渡邊人事労務パートナーズにお任せください。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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2024年08月号

最低賃金が今年も大幅上昇・要チェック

◆改めて「最低賃金」制度とは
 
最低賃金は、最低賃金法に基づき国が定めるもので、使用者は、労働者にその金額以上の賃金を支払わなければなりません。都道府県別に最低賃金が定められ、この地域別最低賃金以上の賃金を支払わない場合、罰則が科せられます。

 新しい最低賃金は毎年10月1日に切り替わりますが、これに気付かずうっかり最低賃金を割り込む事業所があります。特に、最低賃金を基準とした賃金体系を組んでいる事業所は法令違反とならないように新しい最低賃金で賃金体系を組み直すことが必要です。

◆最低賃金の上昇

以下都道府県の最低賃金となる新しい時給をお示しいたします。対前年度で+50円です。

東京都1,113円 ⇒ 1,163円
神奈川1,112円 ⇒ 1,162円
千葉  1,026円 ⇒ 1,076円
埼玉  1,028円 ⇒ 1,078円
北海道  960円 ⇒ 1,010円
 
◆正社員とパートの賃金格差

最低賃金の引上げはパートタイマーに恩恵となります。それでも今の日本の正社員(フルタイム労働者)とパートタイマーの最低賃金格差は世界全体で見れば乖離が大きいとされております。両者の最低賃金比較で、フランスと韓国の60%台、英国やドイツの50%台に比較して、日本は46%です(OECD23年発表)。

◆今後の動向

中小企業にとり最低賃金の大幅引き上げは負担の大きいことになります。しかしながら、最近の物価上昇を背景にして、「2030年代半ばまでに全国平均1500円」が新たな目標として打ち出されております。人材争奪の中で時給を引き上げなければ働き手が集められません。今後も最低賃金の上昇を見越した経営が必要になります。最低賃金引上げに見合った生産性向上ができない企業は市場から退場を迫られる可能性もあります。

役職定年が熟年離婚のきっかけに?!

◆役職定年とは

日本では役職定年制度を導入している企業が多くあります。役職定年とは役職に応じて定年を定め、就業規則に定めた年齢に達した社員はその役職から退かせる制度です。例えば、60歳で部長職の役職定年を迎え、その後65歳の定年退職までは別の職位・ポストで勤務するという運用を行います(参与・考査役等の名目で部下や指揮命令権がなくなります)。この制度の本当の目的は、高齢者の賃金抑制です。職位や部下を剥奪した上で賃金まで大幅に引き下げます。あるデータによれば半数近くが年収50%未満までになっているそうです。

◆役職定年の実情

小職が在籍した損保会社でも役職定年制度がありました。日の当たる上席で大きなデスクを独り占めしていた部長が、ある日突然一般職員と同じデスク群の末端に座る異常な光景です。部長の時には、勤務時間中医療機関を受診する時に、「ちょっと外してくる」で済んだものが、役職定年後は、自分より相当年下の課長職に対して、体のどこの具合が悪く、緊急性があるので時間中の受診許可を頂くというお願いをすることになります。相当な屈辱であろうと感じました。更に最大の苦痛は残酷なまでの賃金引下げです。運用の仕方にもよるのでしょうが、この役職定年制度は現代版姨捨山と傍目で見ておりました。

◆役職定年を契機とした熟年離婚

世間では金の切れ目が縁の切れ目と良く言いますが、今ではサラリーマンの金の切れ目である役職定年が熟年離婚の契機だそうです。同居期間が20年以上の「熟年離婚」割合が23.5%と統計上過去最大となり、この原因として役職定年制度が上げられております。

かつての熟年離婚は夫の定年がきっかけと言われておりましたが、近年は定年年齢が伸びる中で、サラリーマン終盤で突然収入が激減する役職定年が夫婦の危機となるケースが目立つそうです。

具体例として、役職定年となり改めて老後資金を計算した夫が、これまでの貯金が足りないと妻を咎めて暴力をふるうことで愛想をつかした妻からの離婚請求や、一方では、役職定年を迎えて生活レベルを下げるよう頼んだ夫に対して、それはあなたのせいで自分には関係ないと拒否されたことで夫からの離婚請求等様々なケースが報道されております。

どんなに賃金が下がろうと添い遂げる固い契りのご夫婦がいる一方で、打算で繋がっているご夫婦もいることでしょう。打算ファーストご夫婦の心中には離婚マグマがくすぶっており、役職定年・収入激減を契機に一挙に大爆発を起こすのではないのでしょうか。

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