2022年2月号
産業雇用安定助成金が面白そう
◆産業雇用安定助成金とは
顧問先から産業雇用安定助成金ご利用のお話がありましたので色々調べたところ、事業主様にとり旨味のある助成金と思われますので、皆様に情報ご提供します。
産業雇用安定助成金とは、新型コロナ感染症のために一時的な事業縮小を行う事業主の方が、社員を在籍出向させることで雇用を維持する場合、出向元と出向先双方の事業主に対して、出向に要した賃金や経費を助成金するというものです。
これを噛み砕いて言えば、新型コロナにより余剰社員を抱えている事業主(出向元)が、他の事業主(出向先)へ社員を出向させた場合、当該出向社員の賃金を国が負担しますよ、そしてそれに係る所要費用も定額負担しますよという、新機軸の助成金です。
◆産業雇用安定助成金の狙い
新型コロナの影響により現在は企業毎に人手余剰と人手不足の偏りが見られます。ある企業では人手が余剰なのに、別な企業では人手不足の傾向が顕著です。この橋渡しを促すのが産業雇用安定助成金です。
余剰社員出向出し(派遣元)
↓ 在籍出向(出向期間最長12月)
余剰社員出向受け(派遣先)
上記の仕組みを作ることで日本の労働力の円滑な移動と、余剰社員の解雇を回避させることになります。この仕組みを促すインパクトが産業雇用安定助成金です。
なお、申請にあたり出向元では事業活動が縮小していること(例えば、最近1か月の売上データが1年前等の同じ月より5%以上減少)が求められます。
◆助成金の内容
ここでは中小企業でこれまで解雇者を出していない場合を例示します。
(1)賃金助成:対象労働者賃金に支給する賃金の10分の9助成(1日上限12,000円)
賃金の負担者として派遣元、派遣先、または夫々分担する等の出向契約がありますので、その契約に基づく負担者に対する助成が行われます。
(2)出向初期費用:出向元、出向先夫々に1名当たり10万円(つまり出向者1名合計20万円)
出向に際し出向元と出向先で初期経費が発生すれば、定額1名当たり10万円が夫々支給されます。
この初期経費10万円は実費であることは要求されていません。例えば出向先職場見学で交通費300円を出しても1名当たり10万円が支給されます。
また、現在苦境とされる下記特定産業界に対しては出向初期費用が1名当たり出向元、出向先夫々
15万円(つまり合計30万円)に増額されます。
・運輸業・郵便業(産業分類H)
・宿泊業・飲食サービス業
(産業分類M)
・生活関連サービス業
(産業分類N)
◆出向先と出向元に密接な関係がある時
企業によっては、代表者や役員構成により、親会社、子会社、兄弟会社と呼ばれる、いわば密接な間柄のある企業があります。
それでは、それら密接な関係のある会社間での派遣元・派遣先出向の取り扱いはこの助成金ではどうなるのでしょうか。
令和3年8月1日までは、密接な関係のある会社間ではこの助成金は全く対象外でした(それ自体は極めて妥当なことと思います)
ただし、現在の新型コロナの産業界に与える深刻度から、賃金助成に限り対象となりました。つまり、密接な関係のあるグループ会社へ社員を出向させても、社員の賃金助成が行われる大きな改定がありました。厚生労働省のこの助成金に対する強い取り組み姿勢が伺えます。同時にそれだけ厳しい雇用情勢が背景にあるとも言えます。
事務所から一言
2月22日の日経新聞報道によれば、当初今年3月末で終了予定であった雇用調整助成金特例制度が5月末まで延長になるとのことでした。今年1月と2月までは上限額11,000円、3月は9,000円の特例で、その後は従来通りとなるか注視しておりましたが、やはりコロナの猛威が収束せず、特例が継続しそうです。
社会保険労務士として、やはりコロナ関連業務に時間を割いております。雇用調整助成金申請は元より、今回トピックスで取り上げました産業雇用安定助成金、小学校休業対応助成金等々様々な対応があります。これに加えて新型コロナ罹患に係る傷病手当金支給申請を行っておりますが、その中の医師の診断書部分ではコロナの恐ろしさを実感させられます。1日でも早くコロナが収束して、安心して生活できる日を祈っております。
顧問先から産業雇用安定助成金ご利用のお話がありましたので色々調べたところ、事業主様にとり旨味のある助成金と思われますので、皆様に情報ご提供します。
産業雇用安定助成金とは、新型コロナ感染症のために一時的な事業縮小を行う事業主の方が、社員を在籍出向させることで雇用を維持する場合、出向元と出向先双方の事業主に対して、出向に要した賃金や経費を助成金するというものです。
これを噛み砕いて言えば、新型コロナにより余剰社員を抱えている事業主(出向元)が、他の事業主(出向先)へ社員を出向させた場合、当該出向社員の賃金を国が負担しますよ、そしてそれに係る所要費用も定額負担しますよという、新機軸の助成金です。
◆産業雇用安定助成金の狙い
新型コロナの影響により現在は企業毎に人手余剰と人手不足の偏りが見られます。ある企業では人手が余剰なのに、別な企業では人手不足の傾向が顕著です。この橋渡しを促すのが産業雇用安定助成金です。
余剰社員出向出し(派遣元)
↓ 在籍出向(出向期間最長12月)
余剰社員出向受け(派遣先)
上記の仕組みを作ることで日本の労働力の円滑な移動と、余剰社員の解雇を回避させることになります。この仕組みを促すインパクトが産業雇用安定助成金です。
なお、申請にあたり出向元では事業活動が縮小していること(例えば、最近1か月の売上データが1年前等の同じ月より5%以上減少)が求められます。
◆助成金の内容
ここでは中小企業でこれまで解雇者を出していない場合を例示します。
(1)賃金助成:対象労働者賃金に支給する賃金の10分の9助成(1日上限12,000円)
賃金の負担者として派遣元、派遣先、または夫々分担する等の出向契約がありますので、その契約に基づく負担者に対する助成が行われます。
(2)出向初期費用:出向元、出向先夫々に1名当たり10万円(つまり出向者1名合計20万円)
出向に際し出向元と出向先で初期経費が発生すれば、定額1名当たり10万円が夫々支給されます。
この初期経費10万円は実費であることは要求されていません。例えば出向先職場見学で交通費300円を出しても1名当たり10万円が支給されます。
また、現在苦境とされる下記特定産業界に対しては出向初期費用が1名当たり出向元、出向先夫々
15万円(つまり合計30万円)に増額されます。
・運輸業・郵便業(産業分類H)
・宿泊業・飲食サービス業
(産業分類M)
・生活関連サービス業
(産業分類N)
◆出向先と出向元に密接な関係がある時
企業によっては、代表者や役員構成により、親会社、子会社、兄弟会社と呼ばれる、いわば密接な間柄のある企業があります。
それでは、それら密接な関係のある会社間での派遣元・派遣先出向の取り扱いはこの助成金ではどうなるのでしょうか。
令和3年8月1日までは、密接な関係のある会社間ではこの助成金は全く対象外でした(それ自体は極めて妥当なことと思います)
ただし、現在の新型コロナの産業界に与える深刻度から、賃金助成に限り対象となりました。つまり、密接な関係のあるグループ会社へ社員を出向させても、社員の賃金助成が行われる大きな改定がありました。厚生労働省のこの助成金に対する強い取り組み姿勢が伺えます。同時にそれだけ厳しい雇用情勢が背景にあるとも言えます。
事務所から一言
2月22日の日経新聞報道によれば、当初今年3月末で終了予定であった雇用調整助成金特例制度が5月末まで延長になるとのことでした。今年1月と2月までは上限額11,000円、3月は9,000円の特例で、その後は従来通りとなるか注視しておりましたが、やはりコロナの猛威が収束せず、特例が継続しそうです。
社会保険労務士として、やはりコロナ関連業務に時間を割いております。雇用調整助成金申請は元より、今回トピックスで取り上げました産業雇用安定助成金、小学校休業対応助成金等々様々な対応があります。これに加えて新型コロナ罹患に係る傷病手当金支給申請を行っておりますが、その中の医師の診断書部分ではコロナの恐ろしさを実感させられます。1日でも早くコロナが収束して、安心して生活できる日を祈っております。