2023年１１月号
年収の壁が気になる時期となりました
毎年年末になると、パート社員の方から「年末まであと幾らまで働ける？」と聞かれることがあります。年末はいわゆる年収の壁が気になる時期です。
ある会社の年末給与計算のこと、顧問先社員様の限度額のこのご質問に対して年収１０３万円の壁を前提に回答したところ、実はご本人の意図は１００万円の壁でありご迷惑をお掛けしたことがあります。錯誤の結果収入は50，775円増加しましたが、住民税年間分7，300円が掛かることになりました。差引43,475円収入増加となるからそれで良いとはなりませんでした。皆様夫々自分が守りたい年収の壁があるようです。
◆年収の壁が政治課題になっています
最近ヤフーニュースを見ると突然岸田首相の画像が出てきて、年収の壁問題に鋭意取り組んでまいりますという決意表明がありました。首相自ら広報するだけ年収の壁は大きな社会問題になりました。
その一番大きな要因はパート・アルバイトが多く働くと課税や公的保険加入を余儀なくされ、実質手取りが下がる社会制度にあります。
◆年収の壁の色々
１００万円の壁
パート・アルバイト給与収入が１００万円を超えると住民税課税対象となります。来年6月に予定されている所得税減税で非課税世帯には手厚い処遇が予定されており意識すべき壁となります。
１０３万円の壁
この壁が主婦にとりとりわけ関心のある壁でしょう。１０３万円を超えるとパートで働くご自身に所得税が掛かる壁です。同時に、主婦がこの壁を超すとご主人の家族手当に影響する（無くなる）会社も多いので注意が必要です。一般的な会社の賃金規定で、家族手当支給基準を「配偶者の収入が非課税額以下であること」と設定していることが多く
１０３万円の壁を超すと家族手当が支給ストップになります。例えば毎月２万円支給されていた家族手当が突然ゼロになれば、誰だって１０３万円を超して働く気にはなれません。
家族手当支給基準は会社独自の裁量と判断で決定できるものです。年収の壁対策に取り組んでいる政府は年収の壁と家族手当不支給連動の見直し要請をするところです。
１０６万円の壁
社員数１００人超企業では、年収１０６万円（月収８万８千円、ただし残業代・賞与・通勤費は除外します）を超える社員はパート社員でも社会保険加入義務が生じます。社会保険料は金額的負担が大きく社員の意識する大きな壁です。
今年９月２７日に発表された政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」によると、事業主様が社員の新規加入社会保険料負担軽減のため「社会保険適用促進手当」を支給した場合、新設制度「キャリアアップ助成金・社会保険適用時処遇改善コース」で助成金が受けられます。
１３０万円の壁
企業規模に関わらず年収が１３０万円を超えると世帯主の被扶養者から外れ自分が健康保険と年金制度の加入者となる義務が生じます。自分で保険料負担をする１３０万円の壁もプレッシャーの大きな壁です。会社勤めのパートの方は新たに会社の被保険者となります。
１０６万円の場合と同様、事業主様は新設制度「キャリアアップ助成金・社会保険適用時処遇改善コース」で助成金利用可能です。また、１３０万円の壁に関しては、１３０万円超過が一時的なものであるという事業主様の証明書を日本年金機構へ提出することにより２年間限度で加入猶予が認められます。
１５０万円の壁
最後は１５０万円の壁です。これはパート社員に直接影響するものではなく、その世帯主が配偶者特別控除を得られる壁です。パート社員の年収が１５０万円以下ではその世帯主は配偶者特別控除満額３８万円を受けられる壁です。
事務所より一言
夜の徒然にNetflixを見ましたら、「ジョン・ゴッティ」のドキュメンタリーが出てきました。ジョン・ゴッティはニューヨークマフィアの大ボスであり、組織犯罪の大物逮捕を目指すFBIとジョン・ゴッティのいたちごっこが続きます。ジョン・ゴッティは３度逮捕されても陪審員の買収等様々な手を使い、その都度釈放されるのでテフロンゴッティ（傷のつかないゴッティ）と称えられます。ジョン・ゴッティは最終的には４度目の逮捕で釈放なしの終身刑となり2002年に刑務所で死亡しております。
私がこのドキュメンタリーを見て感じたのは、ジョン・ゴッティは無罪釈放になる度に益々ヒーローとなるのです。何度目かの逮捕の時には市民暴動が起こったとのことです。日本では考えられません。これを見てふと思ったのは、アメリカの前大統領が検察から起訴される毎に支持率が上昇することです。これは最早国民性の違いではなかろうかと思うに至りました。
日本は昔から勧善懲悪の文化です。善い事を推奨し悪いことは懲らしめなくては気が済みません。テレビドラマ水戸黄門が典型でしょう。徳川家のご印籠を掲げると悪代官が「ヘヘェー」とひれ伏す場面で溜飲が下ります。胃の消化も良くなります。世界の社会・文化は実に異なるものだと感じます。
ある会社の年末給与計算のこと、顧問先社員様の限度額のこのご質問に対して年収１０３万円の壁を前提に回答したところ、実はご本人の意図は１００万円の壁でありご迷惑をお掛けしたことがあります。錯誤の結果収入は50，775円増加しましたが、住民税年間分7，300円が掛かることになりました。差引43,475円収入増加となるからそれで良いとはなりませんでした。皆様夫々自分が守りたい年収の壁があるようです。
◆年収の壁が政治課題になっています
最近ヤフーニュースを見ると突然岸田首相の画像が出てきて、年収の壁問題に鋭意取り組んでまいりますという決意表明がありました。首相自ら広報するだけ年収の壁は大きな社会問題になりました。
その一番大きな要因はパート・アルバイトが多く働くと課税や公的保険加入を余儀なくされ、実質手取りが下がる社会制度にあります。
◆年収の壁の色々
１００万円の壁
パート・アルバイト給与収入が１００万円を超えると住民税課税対象となります。来年6月に予定されている所得税減税で非課税世帯には手厚い処遇が予定されており意識すべき壁となります。
１０３万円の壁
この壁が主婦にとりとりわけ関心のある壁でしょう。１０３万円を超えるとパートで働くご自身に所得税が掛かる壁です。同時に、主婦がこの壁を超すとご主人の家族手当に影響する（無くなる）会社も多いので注意が必要です。一般的な会社の賃金規定で、家族手当支給基準を「配偶者の収入が非課税額以下であること」と設定していることが多く
１０３万円の壁を超すと家族手当が支給ストップになります。例えば毎月２万円支給されていた家族手当が突然ゼロになれば、誰だって１０３万円を超して働く気にはなれません。
家族手当支給基準は会社独自の裁量と判断で決定できるものです。年収の壁対策に取り組んでいる政府は年収の壁と家族手当不支給連動の見直し要請をするところです。
１０６万円の壁
社員数１００人超企業では、年収１０６万円（月収８万８千円、ただし残業代・賞与・通勤費は除外します）を超える社員はパート社員でも社会保険加入義務が生じます。社会保険料は金額的負担が大きく社員の意識する大きな壁です。
今年９月２７日に発表された政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」によると、事業主様が社員の新規加入社会保険料負担軽減のため「社会保険適用促進手当」を支給した場合、新設制度「キャリアアップ助成金・社会保険適用時処遇改善コース」で助成金が受けられます。
１３０万円の壁
企業規模に関わらず年収が１３０万円を超えると世帯主の被扶養者から外れ自分が健康保険と年金制度の加入者となる義務が生じます。自分で保険料負担をする１３０万円の壁もプレッシャーの大きな壁です。会社勤めのパートの方は新たに会社の被保険者となります。
１０６万円の場合と同様、事業主様は新設制度「キャリアアップ助成金・社会保険適用時処遇改善コース」で助成金利用可能です。また、１３０万円の壁に関しては、１３０万円超過が一時的なものであるという事業主様の証明書を日本年金機構へ提出することにより２年間限度で加入猶予が認められます。
１５０万円の壁
最後は１５０万円の壁です。これはパート社員に直接影響するものではなく、その世帯主が配偶者特別控除を得られる壁です。パート社員の年収が１５０万円以下ではその世帯主は配偶者特別控除満額３８万円を受けられる壁です。
事務所より一言
夜の徒然にNetflixを見ましたら、「ジョン・ゴッティ」のドキュメンタリーが出てきました。ジョン・ゴッティはニューヨークマフィアの大ボスであり、組織犯罪の大物逮捕を目指すFBIとジョン・ゴッティのいたちごっこが続きます。ジョン・ゴッティは３度逮捕されても陪審員の買収等様々な手を使い、その都度釈放されるのでテフロンゴッティ（傷のつかないゴッティ）と称えられます。ジョン・ゴッティは最終的には４度目の逮捕で釈放なしの終身刑となり2002年に刑務所で死亡しております。
私がこのドキュメンタリーを見て感じたのは、ジョン・ゴッティは無罪釈放になる度に益々ヒーローとなるのです。何度目かの逮捕の時には市民暴動が起こったとのことです。日本では考えられません。これを見てふと思ったのは、アメリカの前大統領が検察から起訴される毎に支持率が上昇することです。これは最早国民性の違いではなかろうかと思うに至りました。
日本は昔から勧善懲悪の文化です。善い事を推奨し悪いことは懲らしめなくては気が済みません。テレビドラマ水戸黄門が典型でしょう。徳川家のご印籠を掲げると悪代官が「ヘヘェー」とひれ伏す場面で溜飲が下ります。胃の消化も良くなります。世界の社会・文化は実に異なるものだと感じます。