2021年12月号
社会保険加入者範囲が拡大します(令和4年10月1日〜)
今年新年のお屠蘇を飲んだばかりなのに、今はもう師走。年月が経つのは実に早いものです。ことしも色々お世話になりました。来年も宜しくお願いいたします。これからも皆様のご参考になる事務所便りを目指します。今月号では令和4年度の労働保険・社会保険に関する主な法改正情報を取り上げております。
◆社会保険加入者範囲が拡大します(令和4年10月1日〜)
法人事業所の場合、一般社員の四分の三以上時間勤務者が加入対象となっています。つまり、一般社員の週労働時間を40時間とすると、週30時間以上労働者が社会保険加入とされております。
この他に、下記規定に全て合致する方は、週30時間未満といえども社会保険加入が義務付けられております。この規定が令和4年10月1日に適用拡大強化されます。これは事業主様には大きな影響のある改定です。
(現行) (強化内容)
・週労働時間20時間以上→同左
・月額給与8.8万円以上→同左
・従業員500人超→従業員100人超
・勤務期間1年以上の見込み条件→撤廃
今の日本で従業員500人超の企業はかなり名の通った企業に限られますが、それが 100人超になると、掛けられた法の網に多くの企業が掬い取られます。そして、法改正で新たに対象となった企業は、週労働時間20時間以上かつ月額給与8.8万円(年間106万円)の社員に新たに社会保険を加入させることが義務付けられることになります。更には、令和6年10月からは、100人超基準が50人超企業まで引き下げられるため、多くの日本の中小企業が社会保険料負担増に向き合うことになります。
これらの制度改革は社会保険制度の充実と短時間労働者に対する年金保障拡大という大義名分があります。しかしながら、現実的な話では、中小事業主側では社会保険料が増大となることや、社員側では新たな保険料負担を嫌うことや、配偶者の被扶養者のままでいたいという思いもあり、一筋縄で制度定着するとは思えません。
◆年金受給繰り下げ年齢が75歳へ拡大(令和4年4月1日〜)
これまで年金受給繰り下げは70歳まででしたが、来年4月1日から75歳に拡大されます。通常65歳受給開始のところ、繰り下げにより以下の通り年金額が増額となります。
70歳まで待つと→42%増額
75歳まで待つと→84%増額
以前私が年金相談員を委嘱されていた時に何歳で受給するのが一番得かというご質問が多くありましたが、こればかりは寿命との関係のためお答えが出来ないとご説明しておりました。寿命と受給年金額の損益分岐点だけでみれば、70歳まで繰り下げた方は82歳以上、75歳まで繰り下げた方は87歳以上生きれば繰り下げ選択が正しかったことになります。ただし、こればかりは誰にも予測のできない選択でしょう。
◆育児介護休業法の改定(段階的改定)
(1)育児休業の環境整備(令和4年4月1日〜)
会社の育児休業制度に関する社員への適切な情報提供、育児休業を取得するか否かの意向確認が必要になります。
(2)「産後パパ育休」が新設されます(令和4年10月1日〜)
これまでのパパ育休とは別に、母親の産後8週間の期間で4週間(2回分割取得も可)父親が育休を取れる制度(「産後パパ育休制度」)が新設されます。
(3)就業規則や労使協定の見直しが必要
上記育児介護休業法の改定により、就業規則の見直しが必要になります。また、現在勤務期間1年以上という育休取得条件が外され要件緩和されるため、労使協定の見直しも必要になります。
◆傷病手当金制度支給方法の見直し(令和4年1月1日〜)
傷病手当金支給方法が見直しになることは、本年8月号事務所便りで速報しておりますが、来年1月1日から本件に関する健康保険法が改定となりますので改めてご案内いたします。
新しい制度改定では、職場復帰期間はノーカウントとして、実際に会社を休業した1年6ヶ月を通算して受給出来ることになります。
つまり、法令施行日前日の令和3年12月31日時点で傷病手当金支給開始から1年6か月を経過していない場合は、改正法に基づく支給期間通算の適用が受けられます。
事務所からひと言
先日、思い立って鎌倉市内にある杉本寺(すぎもとでら)を訪問いたしました。杉本寺は坂東33観音霊場巡りの1番目、発願の由緒ある古刹です。
これまで四国八十八か所を幾度も巡拝している経験から、坂東33観音霊場巡りは関東近郊を巡ればよいので簡単に結願(けちがん)できると安易に考えておりましたが、実にとんでもないことを始めたと後になり分かりました。神奈川、埼玉、群馬、栃木、茨城、千葉の遠隔へき地で鉄道も不便な地にあるお寺を巡る大変な巡拝で、やはり難行苦行に変わりはありませんでした。ただ、その難行苦行に魅かれるのもお寺巡りの醍醐味でもあります。
杉本寺は坂東33観音霊場巡りのスタートのお寺であり、今回改めて結願のお礼でお参りいたしました。杉本寺のご本尊は十一面観音様です。頭の上正面に3つの優しいお顔、左側に3つの怒ったお顔、右側に3つの怖いお顔、うしろに笑った1つのお顔があります。これはその日によって変わる私たちの心と行いに合わせて、観音様が最も適したお顔で導きお救い頂くことを意味しているそうです。例えば私が皆様の安寧を心から祈念している時には優しいお顔、物事が上手くいかずイライラしている時には怖いお顔、心根がフラフラして落ち着かないときには、そんなことでどうすると笑いながら戒められているのかも知れません。
仏教徒でもとても嬉しいメリークリスマス!
楽しいクリスマスをお過ごし下さい。
◆社会保険加入者範囲が拡大します(令和4年10月1日〜)
法人事業所の場合、一般社員の四分の三以上時間勤務者が加入対象となっています。つまり、一般社員の週労働時間を40時間とすると、週30時間以上労働者が社会保険加入とされております。
この他に、下記規定に全て合致する方は、週30時間未満といえども社会保険加入が義務付けられております。この規定が令和4年10月1日に適用拡大強化されます。これは事業主様には大きな影響のある改定です。
(現行) (強化内容)
・週労働時間20時間以上→同左
・月額給与8.8万円以上→同左
・従業員500人超→従業員100人超
・勤務期間1年以上の見込み条件→撤廃
今の日本で従業員500人超の企業はかなり名の通った企業に限られますが、それが 100人超になると、掛けられた法の網に多くの企業が掬い取られます。そして、法改正で新たに対象となった企業は、週労働時間20時間以上かつ月額給与8.8万円(年間106万円)の社員に新たに社会保険を加入させることが義務付けられることになります。更には、令和6年10月からは、100人超基準が50人超企業まで引き下げられるため、多くの日本の中小企業が社会保険料負担増に向き合うことになります。
これらの制度改革は社会保険制度の充実と短時間労働者に対する年金保障拡大という大義名分があります。しかしながら、現実的な話では、中小事業主側では社会保険料が増大となることや、社員側では新たな保険料負担を嫌うことや、配偶者の被扶養者のままでいたいという思いもあり、一筋縄で制度定着するとは思えません。
◆年金受給繰り下げ年齢が75歳へ拡大(令和4年4月1日〜)
これまで年金受給繰り下げは70歳まででしたが、来年4月1日から75歳に拡大されます。通常65歳受給開始のところ、繰り下げにより以下の通り年金額が増額となります。
70歳まで待つと→42%増額
75歳まで待つと→84%増額
以前私が年金相談員を委嘱されていた時に何歳で受給するのが一番得かというご質問が多くありましたが、こればかりは寿命との関係のためお答えが出来ないとご説明しておりました。寿命と受給年金額の損益分岐点だけでみれば、70歳まで繰り下げた方は82歳以上、75歳まで繰り下げた方は87歳以上生きれば繰り下げ選択が正しかったことになります。ただし、こればかりは誰にも予測のできない選択でしょう。
◆育児介護休業法の改定(段階的改定)
(1)育児休業の環境整備(令和4年4月1日〜)
会社の育児休業制度に関する社員への適切な情報提供、育児休業を取得するか否かの意向確認が必要になります。
(2)「産後パパ育休」が新設されます(令和4年10月1日〜)
これまでのパパ育休とは別に、母親の産後8週間の期間で4週間(2回分割取得も可)父親が育休を取れる制度(「産後パパ育休制度」)が新設されます。
(3)就業規則や労使協定の見直しが必要
上記育児介護休業法の改定により、就業規則の見直しが必要になります。また、現在勤務期間1年以上という育休取得条件が外され要件緩和されるため、労使協定の見直しも必要になります。
◆傷病手当金制度支給方法の見直し(令和4年1月1日〜)
傷病手当金支給方法が見直しになることは、本年8月号事務所便りで速報しておりますが、来年1月1日から本件に関する健康保険法が改定となりますので改めてご案内いたします。
新しい制度改定では、職場復帰期間はノーカウントとして、実際に会社を休業した1年6ヶ月を通算して受給出来ることになります。
つまり、法令施行日前日の令和3年12月31日時点で傷病手当金支給開始から1年6か月を経過していない場合は、改正法に基づく支給期間通算の適用が受けられます。
事務所からひと言
先日、思い立って鎌倉市内にある杉本寺(すぎもとでら)を訪問いたしました。杉本寺は坂東33観音霊場巡りの1番目、発願の由緒ある古刹です。
これまで四国八十八か所を幾度も巡拝している経験から、坂東33観音霊場巡りは関東近郊を巡ればよいので簡単に結願(けちがん)できると安易に考えておりましたが、実にとんでもないことを始めたと後になり分かりました。神奈川、埼玉、群馬、栃木、茨城、千葉の遠隔へき地で鉄道も不便な地にあるお寺を巡る大変な巡拝で、やはり難行苦行に変わりはありませんでした。ただ、その難行苦行に魅かれるのもお寺巡りの醍醐味でもあります。
杉本寺は坂東33観音霊場巡りのスタートのお寺であり、今回改めて結願のお礼でお参りいたしました。杉本寺のご本尊は十一面観音様です。頭の上正面に3つの優しいお顔、左側に3つの怒ったお顔、右側に3つの怖いお顔、うしろに笑った1つのお顔があります。これはその日によって変わる私たちの心と行いに合わせて、観音様が最も適したお顔で導きお救い頂くことを意味しているそうです。例えば私が皆様の安寧を心から祈念している時には優しいお顔、物事が上手くいかずイライラしている時には怖いお顔、心根がフラフラして落ち着かないときには、そんなことでどうすると笑いながら戒められているのかも知れません。
仏教徒でもとても嬉しいメリークリスマス!
楽しいクリスマスをお過ごし下さい。