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社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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2024年07月号

定額減税ダブル取り!?

 税制法令は、実に綿密な構成と但し書きそして例外規定があり、素人が読んでもチンプンカンプンです。学生時代に租税法論とやらを選択しましたが、条文を読めば読むほど分からなくなりました。税法とは国民からお金を召し上げる法律であるだけにそれだけ厳格かつ正確な規定が必要なのでしょう。

 ところが、今年6月開始の定額減税では一人で二人分8万円のダブル取りが可能と報じられており税法に穴が開いているようです。

 これまでも事務所便りで取り上げております通り、年収の壁を意識し所得税が取られないように年収を103万円以下に抑えているパート女性は世の中に多くおられます。この方の定額減税では、夫の同一生計配偶者とされて、夫の所得税・住民税が4万円軽減されます。これとは別に、年収100万円超のパート女性でも住民税は課税されますので、ご自分が定額減税の対象となり定額減税4万円を軽減されことになります。つまり、年収100万円超130万円以下のパート勤務では定額減税合計8万円のダブル取りが可能になります。

では、その分は返しなさいと国が言うかといえば、どうやらそうではなさそうです。ダブル取りがないように完璧性を求めると地方自治体の事務負担が過大になるので返却は求めないそうです。思わぬ利得となる方も多いでしょう。

それにしても岸田首相は定額減税に固執する癖があるようです。支持率アップを狙った政策でしょうが、私に言わせえると大変な悪手です。一度の減税のために会社の皆様に大きな負担を掛けております。そして今回の抜け穴です。給与明細に定額減税を明記せよなど余計なお世話です。これでは支持率など低迷一方です。凄まじい鈍感力です。

それにしても令和2年の現金一律10万円支給は国民が大歓迎しました。あの時の様に、国民が銀行通帳を度々記帳したことはなかったでしょう。国家財政論議は別として、国民に希望を持たせることも大切な政策と思います。

今年の年末調整も定額減税が影響

6月1日以降に支払う給与等の定額減税決定では皆様には一苦労されたところですが、今年の年末調整においても対応は発生します。例えば、令和6年6月2日以後に採用した従業員は月次減税を行っていないので、年末調整で定額減税額の控除(年調減税)を行うほか、令和6年7月以降に子どもが生まれ扶養親族の人数が増えた場合、定額減税額増額は年末調整または確定申告により精算することになります。
 また、当初は月次減税額の計算に含めた同一生計配偶者がその後就職等し、令和6年分の合計所得金額が48万円超となった場合には年調減税額の計算から除外しなくてはなりません。

 これらのことから、令和6年分年末調整書類が変更になります。年末になり慌ただしい思いをしないように事前の周知や、早めの書類配付および回収などが望ましいでしょう。

別居の老親を健康保険被扶養者にするための手続き

 先日顧問先社長からのご依頼で、別居の老親を協会けんぽ被扶養者にしたいとのご要請があり、早速電子申請を行いましたところ受理されませんでした。日本年金機構へ照会のところ、現在は規定が厳しくなり、子供(顧問先社長)が老親を扶養している証明、例えば老親への銀行振込証明等を添付すること、そして、年間扶助額は老親年間収入(90万円)を上回る額である証明提出が出るまで受け付けられないとの回答でした。

 このため、顧問先社長から老親へ10万円送金した通帳のコピーと、「今後毎月10万円送金予定」(年間120万円)として申請し、ようやく受理されました。以前はこのような厳格運用はなかったと記憶しており、年々被扶養者認定が厳しくなっております。

 以前のことですが、中国から嫁ぎ日本国籍を取得した奥様の老親に対する中国国内でも利用できる健康保険証が発行された寛大さが嘘の様です。

 協会けんぽで被扶養者認定が厳格さを増す背景には、被扶養者が何人増えようと保険料は被保険者一人分で済むことがあります。極端な話ですが、協会けんぽで標準報酬月額が同じであれば、老親2人・配偶者・子供3人の7人家族と、独身者一人でも保険料は同一です。それだけに、被扶養者認定は厳格になるのでしょう。

一方、国民健康保険料では被扶養者人数もカウントされます。私が顧問先の関係で関与した東京土建組合でも同様でした。被保険者でも被扶養者でも人数に比例して医療受診リスクは増加しますので、こちらの方がリスクに相応した保険料と言えます。

事務所から一言

 最近企業のコンプライアンス精神が大変劣化している様に思えます。私は損害保険会社の出身ですが、在職時に金融庁から金融機関に対しコンプライアンス違反の鉄槌が下され、徹底した社内教育が行われた時代でした。勿論料率談合などはもっての外でしたが、今では大手損保がカラオケルールで「密談」と報じられております。呆れてものが言えない思いです。

また、たとえ同一企業グループでも個社の個人情報は厳格なファイアウォールで守ることは基本中の基本ですが、日本を代表する三菱UFJが顧客情報を関連企業で共有したことには言葉を失います。喉元過ぎれば熱さを忘れるとはこの事を言うのでしょうか。今一度コンプライアンスを徹底する時期と思います。

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