税制適格年金便り2月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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ここまできた新卒者雇用対策助成金

◆「就職氷河期」を下回る大卒内定率
文部科学省が平成23年1月18日発表した前年12月1日現在の大学生の就職内定率は、68・8%と10年前頃の「就職氷河期」と呼ばれた時期を下回り過去最低を更新。約3割の学生が、就職先が決まらないまま年末を迎えた状況が浮かび上がりました。大学卒業目前でも就職先が決定していない新卒者の心中はさぞかし辛いのもがあると思われます。
この深刻な社会情勢を緩和するために、リクルート等人材サービス会社は、通常であれば4年生の正式内定が出揃う10月から就職支援対象を3年生に切り替えるところを、今年は継続して4年生の就職支援体制を行い、内定率の底上げを産学協同で目指すとのことです。また、東電では既卒3年までは新卒扱いに拡大とするとの報道もあります。

◆助成金による新卒雇用支援の拡大
厚生労働省では、これまで3年以内既卒未就職者が労働マーケットに円滑に吸収されるように、助成金制度を通して事業主に雇用拡大を働き掛けておりました。
これまで当事務所便りでも、以下の3年以内既卒者採用に対する助成金をご案内しておりますが、これはあくまでも3年以内既卒者採用に対する助成金でした。
1.「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」・・・当初のトライアル期間3ヶ月間毎月10万円。正規雇用となり3カ月経過後に50万円が支給されます(合計80万円
2.「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」・・・直ちに正社員として採用後、6カ月経過後に100万円支給

しかしながら、新卒者の就職内定率が過去最低となっていることから、本年限りの緊急措置として、この春新卒する者を雇用した場合でも上記助成金の対象とすることが今般決定されました。

◆事業主にとっての本助成金の意義
経営資源は「人」「物」「金」「情報」であると言われますが、「人」は経営を左右する最も大きな経営資源です。
企業では、社員採用の正否が会社の将来を決するといっても過言でなく、中小企業であれば尚更のこととなります。その意味で今回の助成金は労働マーケットに優秀な幹部候補生が未就職で存在し、しかも現実に採用したら特例的に多額な助成金が支給されることから採用検討企業にとっては好機であると言えます。厚生労働省の新卒雇用支援策に乗って助成金を受給することも悪くはないと思います。

◆新卒者に求めたい意識改革
就職内定率が過去最低とは言いながら、それでは新卒者がなりふり構わず就職活動を行っているか疑問があります。
「40社受けて面接は2社」という就職難を伝える同じ記事の中には「ハローワークに集まる名もない中小企業は敬遠してしまう」「親からは今年は無理しなくても良いと言われている」等新卒者の厳しさに欠けた姿勢も報じられております。また、本助成金を利用するためハローワークに求人を行っても未だ反応がない中小企業もあります。
世の中に栄枯盛衰が必ずあるように、中小企業でも大きく成長するところもあれば、今は大企業でもあえなく消滅するところも数多くあります。新卒者には現時点での企業規模だけで判断するのではなく、自分のやりたいことをやらせてくれる自分に合った社風の企業で頑張ろうという気概を求めたいと思います。

「一般事業主行動計画」の義務化企業が拡大します(101人以上企業)

◆「一般事業主行動計画」とは?
この「一般事業主行動計画」は、次世代育成支援対策推進法(平成15年7月に成立・公布)に基づき、企業が労働者の仕事と子育ての両立を図るために、雇用環境の整備や子育てを行っていない労働者も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたり、(1)計画期間、(2)目標、(3)その達成のための対策と実施時期について定めるものです。
現在は従業員数301人以上の大企業にのみ策定・届出が義務付けられていましたが、今年4月以降は、策定・届出が努力義務とされている従業員数101人以上の企業にも策定が義務付けられることとなっています。
各企業の取り組み内容は「両立支援のひろば」http://www.ryouritsushien.jp/
で一覧できますが、企業の主な取り組み事項としては、育児休業制度の職場徹底や、母性保護重視、事業所内に妊産婦や産後職場復帰者への相談窓口設置、法令で定められた以上の休暇付与等となっております。
また、一定条件をクリアーした企業には次世代認定マーク(愛称:くるみん)を使用することが認められ、商品・広告・求人広告等で子育てサポート企業であることをアピールできるメリットもあります。

◆中小企業による策定・届出は約1割
近年、労働者の「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が叫ばれていますが、「一般事業主行動計画」を策定・届出を行っている中小企業が10.9%(3,901社)であるとする調査結果を発表しました。



当事務所よりひと言
当事務所のエントランス両側はお客様や道行く方に愛でて頂くように季節の花々を並べておりますが、一度は枯れた花でも、時季が来るとそれぞれ見事に咲いてくれます。花の強靭な生命力には本当に驚かされます。そして、当事務所には出番をまつ植木鉢が数多く並んでおります。
 いよいよ春を迎え、季節が穏やかになった時には、多くの花が咲き揃ってくれることを今から楽しみにしております。

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