協会けんぽ健康保険料率の改定
◆本年3月より保険料率が引上げされます
本年3月(翌月納付企業では4月納付分)から、協会けんぽの保険料率が引き上げられます。その理由として、協会けんぽでは医療費が伸びる一方で、景気低迷による保険料の下降を掲げております。月収40万円(税引き前)の被保険者の場合で毎月の保険料が本人・事業主ともに300円から400円の引上げとなる計算であり、企業経営上の圧迫要因となります。
◆協会けんぽ改定保険料率
改定保険料率は次のとおりであり、保険料負担は本人と事業主の折半となります(単位%)
神奈川 9.33→9.49
東京 9.32→9.48
千葉 9.31→9.44
埼玉 9.30→9.45
◆その他の保険料改定
(1)介護保険料率(40歳〜64歳)
平成23年3月以降
1.50% → 1.51%(保険料折半)
(2)雇用保険料率は変更ありません。
従来通り15.5/1000(一般企業の場合)
事業主負担:9.5/1000
本人負担 : 6/1000
高額医療費における患者の立替払いが
不要に
◆2012年度から全面スタート
本年1月号の事務所便りで、「高額療養費制度はとても有難い制度です」と題して高額療養費制度のご紹介をいたしました。病院の入院手術費用や、薬局の投薬費用がどんなに高額になっても、保険治療であれば、患者は一定限度の費用支払いで済む制度です。これはどの保険制度にも共通であり、万一の病気には大変頼りになる制度です。
しかしながら、高額療養費は原則患者が3割負担分を一旦立替払いし、数カ月後に還付されるものです。例えば1カ月の医療費や投薬費用合計額が100万円の時は、3割負担分30万円を窓口で支払い、高額療養費制度による本人負担限度額87,430円(一般所得者の場合)との差額212,570円は後から還付される制度でした。
厚生労働省は、がんや難病などの高額な治療薬が増え、患者の立替えの負担が大きくなっている現状を踏まえ、「高額療養費制度」について、上限額を超える部分の患者の立替払いをなくす方針を示しました。つまり病院窓口で一時に多額の医療費を支払う必要がなくなる訳です。
2012年度から、すべての医療機関・薬局で対応させる方針のようです。
◆「限度額適用認定証」を利用しましょう
それでは、2012年度までは病院窓口で立替払いを行い、還付を待たなくてはならないのでしょうか?そのような時には「限度額適用認定証」を利用しましょう。
入院等の前に、自分の加入する保険者から所得区分の記載されている「限度額適用認定証」の発行を受け、医療機関・薬局の窓口に提示すれば自己負担の上限額までの支払いで済み、超過分の医療費については、医療機関・薬局が患者に代わって保険者に請求します。
因みに、医療費・薬剤費合計が1カ月100万円(3割負担で30万円)の場合、次の通りの支払い限度額で済むこととなります。
1.上位所得者(月収53万円以上)→15万5千円
2.一般所得者→87,430円
3.低所得者(住民税非課税)→35,430円
◆治療薬などが高額化の傾向
最近は、がんや難病などの治療薬が高額になる傾向があります。例えば、血液がんの一種の慢性骨髄性白血病の治療薬の場合は、1カ月あたりの薬代が約33万円から約55万円かかるそうです。
患者が一度に多額の現金を用意する必要がなくなる今回の制度変更は非常に有効です。2011年度は一部の医療機関・薬局で対応可能となり、2012 年度からはすべての医療機関・薬局で対応できるようです。
「継続雇用制度導入」の特例措置が
まもなく終了
◆特例措置は3月末まで
現在、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、65歳未満の定年を定めている事業主は、「高年齢者雇用確保措置」(定年の定めの廃止、定年年齢の引上げ、継続雇用制度導入のいずれか)を実施しなくてはなりません。
このうち、「継続雇用制度の導入」については、希望者全員を対象とするか、労使協定により対象者の基準を定めなければなりませんが、現在は特例措置として、中小企業(300人以下)の場合は、対象者の基準を就業規則で定めることが可能です。
この措置は、今年3月31日で終了します。中小企業では、対象者に関する基準を就業規則で定めている場合、労使協定により基準を定めた旨を就業規則に定め、労働基準監督署への届出を行わなければなりません。
主婦の年金問題
◆最近の国会で論議されていること
最近国会で主婦の年金問題がマスコミ等報道でも大きく取り上げられておりますが、これは年金制度の根幹を揺るがす問題です。
サラリーマンの妻は国民年金3号被保険者ですが、夫が独立自営業となり、或いは妻自身の年収が130万円以上の時は1号被保険者としての届出と保険料納付を行わなければなりません。この際の届出欠落や保険料の納付漏れの場合の厚労省課長通達が国会で問題指摘されました。国民年金を受給するには基本的には25年の保険料納付期間が必要ですが、保険料月額1万5千円とした簡単なモデルケースで例示します。
◆モデルケース
5年間主婦(3号被保険者)、その後ご主人の脱サラで20年間は1号被保険者の場合
(1)1号被保険者となったと同時に法令通り届出と保険料納付を行ったとき
・・・支払済保険料360万円
(2)これまで全く届出を行わず、20年後に遡及可能な2年間分のみを支払ったとき
・・・支払済保険料36万円
厚労省は(2)の主婦の保険料納付額を緊急避難的に(1)の主婦と同一とみなす課長通達を出しました。これは(2)に該当する主婦が100万人ともなり無年金者救済を行うこと、同省にも制度周知不足の責があるとの判断によります。
◆覆った厚労省課長通達
今回の様な年金制度の根幹の問題を厚労省が課長通達で行ったこと、さらには正直者が損をする様な通達に強い道義的批判があり、同通達は撤回されました。大部分の社労士は極めて当然の撤回と判断することでしょう。年金制度はこれからも波乱含みであると思われます。
◆本年3月より保険料率が引上げされます
本年3月(翌月納付企業では4月納付分)から、協会けんぽの保険料率が引き上げられます。その理由として、協会けんぽでは医療費が伸びる一方で、景気低迷による保険料の下降を掲げております。月収40万円(税引き前)の被保険者の場合で毎月の保険料が本人・事業主ともに300円から400円の引上げとなる計算であり、企業経営上の圧迫要因となります。
◆協会けんぽ改定保険料率
改定保険料率は次のとおりであり、保険料負担は本人と事業主の折半となります(単位%)
神奈川 9.33→9.49
東京 9.32→9.48
千葉 9.31→9.44
埼玉 9.30→9.45
◆その他の保険料改定
(1)介護保険料率(40歳〜64歳)
平成23年3月以降
1.50% → 1.51%(保険料折半)
(2)雇用保険料率は変更ありません。
従来通り15.5/1000(一般企業の場合)
事業主負担:9.5/1000
本人負担 : 6/1000
高額医療費における患者の立替払いが
不要に
◆2012年度から全面スタート
本年1月号の事務所便りで、「高額療養費制度はとても有難い制度です」と題して高額療養費制度のご紹介をいたしました。病院の入院手術費用や、薬局の投薬費用がどんなに高額になっても、保険治療であれば、患者は一定限度の費用支払いで済む制度です。これはどの保険制度にも共通であり、万一の病気には大変頼りになる制度です。
しかしながら、高額療養費は原則患者が3割負担分を一旦立替払いし、数カ月後に還付されるものです。例えば1カ月の医療費や投薬費用合計額が100万円の時は、3割負担分30万円を窓口で支払い、高額療養費制度による本人負担限度額87,430円(一般所得者の場合)との差額212,570円は後から還付される制度でした。
厚生労働省は、がんや難病などの高額な治療薬が増え、患者の立替えの負担が大きくなっている現状を踏まえ、「高額療養費制度」について、上限額を超える部分の患者の立替払いをなくす方針を示しました。つまり病院窓口で一時に多額の医療費を支払う必要がなくなる訳です。
2012年度から、すべての医療機関・薬局で対応させる方針のようです。
◆「限度額適用認定証」を利用しましょう
それでは、2012年度までは病院窓口で立替払いを行い、還付を待たなくてはならないのでしょうか?そのような時には「限度額適用認定証」を利用しましょう。
入院等の前に、自分の加入する保険者から所得区分の記載されている「限度額適用認定証」の発行を受け、医療機関・薬局の窓口に提示すれば自己負担の上限額までの支払いで済み、超過分の医療費については、医療機関・薬局が患者に代わって保険者に請求します。
因みに、医療費・薬剤費合計が1カ月100万円(3割負担で30万円)の場合、次の通りの支払い限度額で済むこととなります。
1.上位所得者(月収53万円以上)→15万5千円
2.一般所得者→87,430円
3.低所得者(住民税非課税)→35,430円
◆治療薬などが高額化の傾向
最近は、がんや難病などの治療薬が高額になる傾向があります。例えば、血液がんの一種の慢性骨髄性白血病の治療薬の場合は、1カ月あたりの薬代が約33万円から約55万円かかるそうです。
患者が一度に多額の現金を用意する必要がなくなる今回の制度変更は非常に有効です。2011年度は一部の医療機関・薬局で対応可能となり、2012 年度からはすべての医療機関・薬局で対応できるようです。
「継続雇用制度導入」の特例措置が
まもなく終了
◆特例措置は3月末まで
現在、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、65歳未満の定年を定めている事業主は、「高年齢者雇用確保措置」(定年の定めの廃止、定年年齢の引上げ、継続雇用制度導入のいずれか)を実施しなくてはなりません。
このうち、「継続雇用制度の導入」については、希望者全員を対象とするか、労使協定により対象者の基準を定めなければなりませんが、現在は特例措置として、中小企業(300人以下)の場合は、対象者の基準を就業規則で定めることが可能です。
この措置は、今年3月31日で終了します。中小企業では、対象者に関する基準を就業規則で定めている場合、労使協定により基準を定めた旨を就業規則に定め、労働基準監督署への届出を行わなければなりません。
主婦の年金問題
◆最近の国会で論議されていること
最近国会で主婦の年金問題がマスコミ等報道でも大きく取り上げられておりますが、これは年金制度の根幹を揺るがす問題です。
サラリーマンの妻は国民年金3号被保険者ですが、夫が独立自営業となり、或いは妻自身の年収が130万円以上の時は1号被保険者としての届出と保険料納付を行わなければなりません。この際の届出欠落や保険料の納付漏れの場合の厚労省課長通達が国会で問題指摘されました。国民年金を受給するには基本的には25年の保険料納付期間が必要ですが、保険料月額1万5千円とした簡単なモデルケースで例示します。
◆モデルケース
5年間主婦(3号被保険者)、その後ご主人の脱サラで20年間は1号被保険者の場合
(1)1号被保険者となったと同時に法令通り届出と保険料納付を行ったとき
・・・支払済保険料360万円
(2)これまで全く届出を行わず、20年後に遡及可能な2年間分のみを支払ったとき
・・・支払済保険料36万円
厚労省は(2)の主婦の保険料納付額を緊急避難的に(1)の主婦と同一とみなす課長通達を出しました。これは(2)に該当する主婦が100万人ともなり無年金者救済を行うこと、同省にも制度周知不足の責があるとの判断によります。
◆覆った厚労省課長通達
今回の様な年金制度の根幹の問題を厚労省が課長通達で行ったこと、さらには正直者が損をする様な通達に強い道義的批判があり、同通達は撤回されました。大部分の社労士は極めて当然の撤回と判断することでしょう。年金制度はこれからも波乱含みであると思われます。