社会保険未加入で建設業営業停止!
◆社会保険加入の厳格化
今年2月26日の日経新聞報道「社会保険未加入は営業停止(建設業向け 国交省対策)」に 肝を冷やされた建設業者の方もいらっしゃったことでしょう。会社が社会保険に加入しないと、営業停止の厳しい措置が今後予定されているという宣告です。そして、実際にその通りの法令改正が行われ、本年7月から施行されております。今月号は建設業の社会保険加入厳格化について取り上げました。
◆なぜ厳格化されたのか
建設業界はいわゆる重畳的下請け構造(元請け、下請け、孫請け)にあり、小規模業建設業者ほど本来加入すべき従業員の保険制度(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の利用を見送りあるいは無視する傾向があります。
この結果従業員が正当な福利厚生の恩恵を享受できないばかりでなく、若年労働者が建設業界への入職を差し控え技能労働者が育たないことや、福利厚生費用を負担しない業者が競争上有利になってしまう矛盾した経済構造があり、これを改善するために社会保険加入の厳格化となったものです。
◆法令改定内容(加入厳格化対策)
建設業者に対し社会保険加入を促進させるための主要法令改定は次の3項目です。
1.経営事項審査での評価の厳格化
本年7月実施
保険未加入企業に対して経営事項審査の減
点評価が大きくなります。
(例)健保・厚生・雇用全て未加入の企業の場合 現行▲60点→ 改定後▲120点
(注)経営事項審査とは公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模・経営状況などの客観事項を数値化するものであり業者選定基準となるものです
2.許可・更新申請書に保険加入状況の書面添
付が必要となります。
本年11月実施
建設業者が当局に対し許可・更新申請を
行う際に保険未加入であれば、当局から加入指導が行われ、それでも未加入の時には許可・更新が受けられなくなります。即ち建設業を営業するためには否応もなく保険加入をすることとなります。また、建設業免許期限は5年ですから、5年後の11月には保険未加入建設業者は一掃されることが当局の目論見です。
3.施行体制台帳に保険加入状況の記載が必要となります。
本年11月実施
重畳的下請け工事において、特定建設業者 (元請け)と下請け企業の保険加入状況を記載することが必要となりました。再下請け業者がいる場合でも特定建設業者へ保険加入状況報告が必要となります。この手続きが適正におこなわれていることを確認のため、元請け企業に対する当局立ち入り検査規定も用意されております。
◆社会保険厳格化について考える
今回の建設業の社会保険加入厳格化の
目的と趣旨に反論の余地はありません。し
かしながら、企業の生殺与奪と死活問題に繋がる変更が僅かな省令(建設業法施行規則)の改定だけで出来ることに関し、やり方自体に一種の怖さを感じます。
これが建設業のみならず、許認可権限を盾にして、許認可権限を有する他の業界に対しても同様のことが施行された場合、その業界は当局の指導に従わざるを得ないこととなります。やはり許認可権限は役人の権力源泉の一つであることを実感いたしました。
会社・事業成功の10のポイント
◆三浦工業・タマホーム等16社からヒアリング
日本経済団体連合会(経団連)は、2011 年9月に「事業創造検討部会」を設置し、独自のビジネスモデルにより事業を成長させ、市場において高いシェアを確保する企業等(16 社)からヒアリングを行いました。
このヒアリング結果をとりまとめ、今年6月に「各社の事業成功の10の要因」として発表していますが、貴社では、以下のうちいくつ当てはまりますか?
◆「事業成功の10の要因」の内容 (1)優れた経営者の存在、独自の経営理念の徹底
多岐にわたる能力を備えた創業者・経営者が適切な経営判断により会社を牽引し、独自の経営理念を社内に徹底し、組織としての一体感を醸成している。
(2)時代の変化への対応
ニーズを先読みする嗅覚、製品・サービスに落とし込む発想力、事業を遂行する実行力を有している。
(3)自社の製品・技術・サービスへのこだわり
製品・技術・サービスの質の維持と向上に取り組み、顧客の獲得・定着につなげている。
(4)既存の技術・製品・サービスとの差別化・独自化
従来からの発想を転換することができ、顧客や現場視点での発想を有し、研究開発等により差別化・独自化を図れている。
(5)中核事業を基にした事業の多角展開
中核事業で培った技術やノウハウを基に、関連する多分野へと事業を展開している。
(6)事業形態や市場環境に応じた海外展開の推進
研究開発・生産・販売など様々な形での海外展開を行っている。
(7)優秀な人材の確保・育成・活用
経験者や高齢者を積極的に採用し、海外を含めた教育研修を実施し、社員のやりがいを高める工夫を行っている。
(8)独自の会社組織、社内制度、企業文化
従業員が働きやすい環境をつくり、組織運営を効率化し、社員の結束の強化を図り、人材を有効活用している。
(9)外部との連携・外部の力の活用
異業種や海外を含む企業・大学・研究機関との連携・協力を通じて事業を拡大している。
(10)ブランドイメージ・知名度の向上
メディア媒体・ポスターなど多様な広告宣伝活動を行い、認知度やイメージを向上させている。
報告書に更なるご興味がおありになる方は、経団連の起業創造委員会報告書「オンリーワンで市場を拓く」をご参照下さい。選定された16の企業毎に「強みとする事業」「事業成功の理由」が掲載され、事業分析の結果を上記の10要因に集約しており、経営者の皆様にはご参考になる部分もあると思われます。
所長より一言
先日軽井沢にあるホテル鹿島の森へ無料一泊旅行に言って参りました。銀座に本店のあるT真珠で百万円規模の買い物をしたお客様向けに企画された無料ご招待旅行です。家内の友人が行けなくなったため、こちらに旅行の声がかかり参加して参りました。
百万円規模の真珠を購入するご婦人は、きっとドレッシィーなマダムに違いないと、私も失礼の無いように髭を剃り込め、頭髪の乱れもないようにして集合場所に赴きましたところ、辺りを見回すと、なんと巣鴨のとげ抜き地蔵周辺から直行されたような60歳台以上のご婦人が殆どでした。しかも24組中夫婦連れは私達も含めて僅か3組です。
一体これはどういうことなのだろうと、社会現象考察を行いました。考えるに、30歳台、40歳台、さらには50歳台位までは、子供の教育費用や住宅ローン負担で喘いでいる方が殆どであり、真珠などはとうてい高値の花なのでしょう。60歳位になり、子供も独立し、ご亭主の年収も一定水準となり、また退職金など出たときにようやく真珠の輝きが目に入るのでしょう。ようやく手に入れた貴重な真珠はこれまで頑張ってきた一生のご褒美であり、そう考えると微笑ましい気持ちになります。
勿論、若い年代でも、数百万円の真珠を何気なく購入されるセレブ層もおられると思いますが、その方達はこのようなサービス旅行には参加されないでしょう。もしその方達が軽井沢に出向かれるときには、きっとあの星のや特別室クラスを自前で予約し、愛車のベンツ等高級車で乗り付けられることと思います。
それにしても夫婦連れが3組だけの少なさはどういうことなのでしょう。お友達同士の女性は実に楽しそうに旅を楽しんでおります。一方幾星霜を経た夫婦連れの場合言葉は不要という雰囲気があります。どうやら女性は女性同士の旅の方が楽しめることを承知しており、ご亭主はさておき気の合った仲間を誘っているのでしょう。私も家内から、突然の旅行話で空いている友達がいないから、仕方なく一緒に行って欲しいとのご神託にやむなく従った次第です。
別な見方では、ご主人達は奥方がまさか百万円規模の真珠を購入していることをご存知ないのかもしれません。一緒に誘えばなぜこのような招待を受けたのか問い詰められるので言わぬが花を決め込んで、女性友達からの誘いを受けたことにしているのかも知れません。毎日吉野屋の牛丼並、時には奮発して大盛りで凌いでいるご主人にとり、奥方が百万円の真珠を買っていると知ったら卒倒してしまうでしょう。
このような考察を行っている内に軽井沢のホテル鹿島の森に到着しました。実に素晴らしいホテルであり、従業員のおもてなしの心も行き届いております。天皇陛下もこのホテルで1週間ご滞在されたとの話です。鹿島建設のゴルフ用地をホテルに転じたとのことであり、緑に囲まれた環境は心休まる思いです。夕食はホテルオークラ系のフランス料理フルコースで出されるお料理のすべてが美味でした。
こちらが費用を全くださないのに、このような楽しい思いをして良いのだろうかとの後ろめたい思いでホテルを後にいたしました(実際ホテル内では真珠特別販売会が開催されておりました)。
その1週間後、T真珠から妻にパッケージが届きましたが、中には何と大粒のまばゆい真珠を配した銀のネックレスがありました。妻曰く「買っちゃった!エヘヘ・・・」
古の賢人は上手い諺を言ったものと痛感しました「タダほど高いものはない!」
◆社会保険加入の厳格化
今年2月26日の日経新聞報道「社会保険未加入は営業停止(建設業向け 国交省対策)」に 肝を冷やされた建設業者の方もいらっしゃったことでしょう。会社が社会保険に加入しないと、営業停止の厳しい措置が今後予定されているという宣告です。そして、実際にその通りの法令改正が行われ、本年7月から施行されております。今月号は建設業の社会保険加入厳格化について取り上げました。
◆なぜ厳格化されたのか
建設業界はいわゆる重畳的下請け構造(元請け、下請け、孫請け)にあり、小規模業建設業者ほど本来加入すべき従業員の保険制度(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の利用を見送りあるいは無視する傾向があります。
この結果従業員が正当な福利厚生の恩恵を享受できないばかりでなく、若年労働者が建設業界への入職を差し控え技能労働者が育たないことや、福利厚生費用を負担しない業者が競争上有利になってしまう矛盾した経済構造があり、これを改善するために社会保険加入の厳格化となったものです。
◆法令改定内容(加入厳格化対策)
建設業者に対し社会保険加入を促進させるための主要法令改定は次の3項目です。
1.経営事項審査での評価の厳格化
本年7月実施
保険未加入企業に対して経営事項審査の減
点評価が大きくなります。
(例)健保・厚生・雇用全て未加入の企業の場合 現行▲60点→ 改定後▲120点
(注)経営事項審査とは公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模・経営状況などの客観事項を数値化するものであり業者選定基準となるものです
2.許可・更新申請書に保険加入状況の書面添
付が必要となります。
本年11月実施
建設業者が当局に対し許可・更新申請を
行う際に保険未加入であれば、当局から加入指導が行われ、それでも未加入の時には許可・更新が受けられなくなります。即ち建設業を営業するためには否応もなく保険加入をすることとなります。また、建設業免許期限は5年ですから、5年後の11月には保険未加入建設業者は一掃されることが当局の目論見です。
3.施行体制台帳に保険加入状況の記載が必要となります。
本年11月実施
重畳的下請け工事において、特定建設業者 (元請け)と下請け企業の保険加入状況を記載することが必要となりました。再下請け業者がいる場合でも特定建設業者へ保険加入状況報告が必要となります。この手続きが適正におこなわれていることを確認のため、元請け企業に対する当局立ち入り検査規定も用意されております。
◆社会保険厳格化について考える
今回の建設業の社会保険加入厳格化の
目的と趣旨に反論の余地はありません。し
かしながら、企業の生殺与奪と死活問題に繋がる変更が僅かな省令(建設業法施行規則)の改定だけで出来ることに関し、やり方自体に一種の怖さを感じます。
これが建設業のみならず、許認可権限を盾にして、許認可権限を有する他の業界に対しても同様のことが施行された場合、その業界は当局の指導に従わざるを得ないこととなります。やはり許認可権限は役人の権力源泉の一つであることを実感いたしました。
会社・事業成功の10のポイント
◆三浦工業・タマホーム等16社からヒアリング
日本経済団体連合会(経団連)は、2011 年9月に「事業創造検討部会」を設置し、独自のビジネスモデルにより事業を成長させ、市場において高いシェアを確保する企業等(16 社)からヒアリングを行いました。
このヒアリング結果をとりまとめ、今年6月に「各社の事業成功の10の要因」として発表していますが、貴社では、以下のうちいくつ当てはまりますか?
◆「事業成功の10の要因」の内容 (1)優れた経営者の存在、独自の経営理念の徹底
多岐にわたる能力を備えた創業者・経営者が適切な経営判断により会社を牽引し、独自の経営理念を社内に徹底し、組織としての一体感を醸成している。
(2)時代の変化への対応
ニーズを先読みする嗅覚、製品・サービスに落とし込む発想力、事業を遂行する実行力を有している。
(3)自社の製品・技術・サービスへのこだわり
製品・技術・サービスの質の維持と向上に取り組み、顧客の獲得・定着につなげている。
(4)既存の技術・製品・サービスとの差別化・独自化
従来からの発想を転換することができ、顧客や現場視点での発想を有し、研究開発等により差別化・独自化を図れている。
(5)中核事業を基にした事業の多角展開
中核事業で培った技術やノウハウを基に、関連する多分野へと事業を展開している。
(6)事業形態や市場環境に応じた海外展開の推進
研究開発・生産・販売など様々な形での海外展開を行っている。
(7)優秀な人材の確保・育成・活用
経験者や高齢者を積極的に採用し、海外を含めた教育研修を実施し、社員のやりがいを高める工夫を行っている。
(8)独自の会社組織、社内制度、企業文化
従業員が働きやすい環境をつくり、組織運営を効率化し、社員の結束の強化を図り、人材を有効活用している。
(9)外部との連携・外部の力の活用
異業種や海外を含む企業・大学・研究機関との連携・協力を通じて事業を拡大している。
(10)ブランドイメージ・知名度の向上
メディア媒体・ポスターなど多様な広告宣伝活動を行い、認知度やイメージを向上させている。
報告書に更なるご興味がおありになる方は、経団連の起業創造委員会報告書「オンリーワンで市場を拓く」をご参照下さい。選定された16の企業毎に「強みとする事業」「事業成功の理由」が掲載され、事業分析の結果を上記の10要因に集約しており、経営者の皆様にはご参考になる部分もあると思われます。
所長より一言
先日軽井沢にあるホテル鹿島の森へ無料一泊旅行に言って参りました。銀座に本店のあるT真珠で百万円規模の買い物をしたお客様向けに企画された無料ご招待旅行です。家内の友人が行けなくなったため、こちらに旅行の声がかかり参加して参りました。
百万円規模の真珠を購入するご婦人は、きっとドレッシィーなマダムに違いないと、私も失礼の無いように髭を剃り込め、頭髪の乱れもないようにして集合場所に赴きましたところ、辺りを見回すと、なんと巣鴨のとげ抜き地蔵周辺から直行されたような60歳台以上のご婦人が殆どでした。しかも24組中夫婦連れは私達も含めて僅か3組です。
一体これはどういうことなのだろうと、社会現象考察を行いました。考えるに、30歳台、40歳台、さらには50歳台位までは、子供の教育費用や住宅ローン負担で喘いでいる方が殆どであり、真珠などはとうてい高値の花なのでしょう。60歳位になり、子供も独立し、ご亭主の年収も一定水準となり、また退職金など出たときにようやく真珠の輝きが目に入るのでしょう。ようやく手に入れた貴重な真珠はこれまで頑張ってきた一生のご褒美であり、そう考えると微笑ましい気持ちになります。
勿論、若い年代でも、数百万円の真珠を何気なく購入されるセレブ層もおられると思いますが、その方達はこのようなサービス旅行には参加されないでしょう。もしその方達が軽井沢に出向かれるときには、きっとあの星のや特別室クラスを自前で予約し、愛車のベンツ等高級車で乗り付けられることと思います。
それにしても夫婦連れが3組だけの少なさはどういうことなのでしょう。お友達同士の女性は実に楽しそうに旅を楽しんでおります。一方幾星霜を経た夫婦連れの場合言葉は不要という雰囲気があります。どうやら女性は女性同士の旅の方が楽しめることを承知しており、ご亭主はさておき気の合った仲間を誘っているのでしょう。私も家内から、突然の旅行話で空いている友達がいないから、仕方なく一緒に行って欲しいとのご神託にやむなく従った次第です。
別な見方では、ご主人達は奥方がまさか百万円規模の真珠を購入していることをご存知ないのかもしれません。一緒に誘えばなぜこのような招待を受けたのか問い詰められるので言わぬが花を決め込んで、女性友達からの誘いを受けたことにしているのかも知れません。毎日吉野屋の牛丼並、時には奮発して大盛りで凌いでいるご主人にとり、奥方が百万円の真珠を買っていると知ったら卒倒してしまうでしょう。
このような考察を行っている内に軽井沢のホテル鹿島の森に到着しました。実に素晴らしいホテルであり、従業員のおもてなしの心も行き届いております。天皇陛下もこのホテルで1週間ご滞在されたとの話です。鹿島建設のゴルフ用地をホテルに転じたとのことであり、緑に囲まれた環境は心休まる思いです。夕食はホテルオークラ系のフランス料理フルコースで出されるお料理のすべてが美味でした。
こちらが費用を全くださないのに、このような楽しい思いをして良いのだろうかとの後ろめたい思いでホテルを後にいたしました(実際ホテル内では真珠特別販売会が開催されておりました)。
その1週間後、T真珠から妻にパッケージが届きましたが、中には何と大粒のまばゆい真珠を配した銀のネックレスがありました。妻曰く「買っちゃった!エヘヘ・・・」
古の賢人は上手い諺を言ったものと痛感しました「タダほど高いものはない!」