2016年8月号|新宿区の助成金申請代行・就業規則作成なら、社会保険労務士法人渡邊人事労務パートナーズにお任せください。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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これも労災事故!

◆最高裁で逆転判決
職場の歓送迎会に参加した後、残業のため帰社中に交通事故で死亡した男性(当時34歳)の妻が国に労災認定を求めた訴訟で、労基署・一審・二審全てにおいて労災事故と認められず、最高裁で逆転して労災認定とされた判決がありました(本年7月8日最高裁第二小法廷)。この事件の様な場面は皆様の会社でも想定できるためご参考に今月号で取り上げました。

◆このような場面です(シナリオ風)
(上司)「Aさん(被災労働者)、今日は中国人研修生の歓送迎会があるので、是非参加して下さい」
(Aさん)「部長、今日はダメなんです。社長から言われている資料の締め切りが明日なので、どうしても今日中に仕上げなくてはならないので勘弁してください」
(上司)「頼むよ。中国人研修生の歓送迎会も大切な行事だ。会社から経費もでるから出席してほしい」
(Aさん)「困ったな〜」
途中から出席したAさんは飲酒もせずに歓送迎会が終わるのを待っておりました。終了後に中国人研修生を社有車で自宅に送り、会社へ戻る途中で交通事故を起こし亡くなりました。

社会人は会社行事と仕事締め切りのせめぎ合いの毎日であり、多くの企業でもこのような場面は起こりうるものと思われます。

◆最高裁の判断
本件事件が労災ではないと判断した一審・二審は「私的な会合が業務とは認められず、上司が帰社を命じたとも言えない」としておりました。 一方最高裁は本件が「会社が要請した行動の中で起きた災害」つまり業務災害であると判断しました。「資料の提出期限は延期されず、職場に戻ることを余儀なくされた」ことや、上司の呼びかけで歓送迎会が開かれ、会社経費が使われたことを挙げ「事業活動に密接に関わっている」と判断しております。今後同じような場面で同じような事故があったときには労災と判断される可能性が高くなると言えます。

◆労災認否は天国地獄
遺族が労災認否で争う相手は会社ではなく管轄労基署です。管轄労基署の労災認否は遺族に取り天国地獄のような差があります。

労災と認められると支給される金額
@年金(遺族補償年金+遺族特別年金)が支給されます。支給される日数は遺族数によって153日(遺族1名)から245名(遺族4名以上)であり、支給される日額は給付基礎日額(過去3カ月の平均賃金)の通常80%です。本事件で被災労働者の月給が30万円で給付基礎日額が1万円、遺族3名(奥さんと子供2名)とすると、遺族補償年金と遺族特別年金は178万4千円にもなります。
A更には遺族特別支給金(一時金)が300万円支給されます。
Bまた、葬儀に対する葬祭料(315,000円+給付基礎日額の30日分 上例では615,000円)も支給されます
 その一方で労災認定を受けられない場合には大黒柱である稼ぎ手を失い、今後の生計の目途が途絶します。労災認定認否はまさに天国地獄の感があります。今回の最高裁判決は本件遺族にとり光明をもたらしたと言えます。

高年齢者雇用の助成金

◆見逃しておりませんか?
 現在の我が国は労働力不足となっておりますが、働き手がいなければ企業は回りません。労働力不足を解消する方策として挙げられているものが「高年齢者の能力活用」「女性労働者の戦力化」「外国人雇用」です。この中で「高年齢者の能力活用」に対する助成金がありますので高年齢者を雇用されておられる事業主様にはお見逃しのないようお願いいたします。

◆主な高年齢者雇用に対する助成金
〇60歳以上の労働者雇用
@特定就職困難者雇用開発助成金
   60歳以上の方をあらたに雇い入れた場合
   60万円が支給されます(フルタイムの場合)。ハローワークによる雇用が条件です。
  A高年齢者活用促進コース
   60歳以上(1年以上継続勤務者)のため定年年齢を66歳以上に就業規則を改定することで、1名20万円(建設・医療・介護等は30万円)で100万円限度で支給されます。

〇50歳以上の労働者雇用
   ・高年齢者無期雇用転換コース
    50歳以上(6カ月以上継続勤務者)かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期転換することで1名50万円(10名限度)が支給されます。
     この助成金はキャリアアップ助成金(無期転換コース)と重複して受給することは出来ません。

皆様の職場で、@1年以上勤務の60歳以上の
労働者、あるいはA6カ月以上勤務の50歳以
上定年年齢未満の有期労働者に対しては上記
助成金の可能性があります。


介護支援取組助成金が面白い

◆介護支援取組助成金とは
 現在の日本では介護離職が社会問題となっております。親の介護、配偶者の介護のため、長年勤務した会社を辞めざるを得ない、これが介護離職問題であり多くの企業が直面している課題です。
これに対して、企業が介護休業法令を上回る社内制度を整備して介護離職を未然防止することにより支給される助成金が介護支援取組助成金であり、支給金額は60万円です。今年新設の面白い助成金です。

◆介護支援取組助成金の進め方
  まずは職場内で従業員の抱えている介護問題をアンケートで洗い出しします。そして介護離職を防止するために法令を上回る条件(例えば介護休業を法令では1回限り93日限度のところ4回分割可93日限度等)に就業規則を変更し、職場説明会を開催することで支給を受けることができます。
留意しなくてはならないのは、取組実施後の3カ月と前年同期3カ月を比較して、取組実施後の期間で、@有給休暇が1名につき2日以上増加していること、そして、A時間外労働が15時間以上減少していることが条件となっております。そしてこのことをタイムカード等提示して証明する必要があることです。

◆介護支援取組助成金に取り組みやすい企業
  以上ご案内の通り、この助成金では取り組みやすい企業が浮かび上がってきます。
@大企業になればなるほどアンケート実施や職場説明会の実施、そして就業規則の改定が大がかりになります。小規模企業ほどこの助成金は取り組みやすいといえます。極端な話この助成金は従業員1名から可能であり、その場合進め方も迅速にできます。
A取組実施後に有給休暇増加と時間外労働の圧縮とそれを証明するデータ提出が求められ
ます。このため、この要件を充足できない過密労働企業であるとか、労働データを記録していない企業は現実的に利用困難といえます。

事務所便り16年8月号

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