雇用保険改定情報:「65歳以上の労働者」も雇用保険対象へ変更
◆雇用保険法の改正
65歳以上の方は従来雇用保険の対象外でしたが、雇用保険法が改正され、本年1月から雇用保険の適用対象が「65歳以上の労働者」にも拡大されております。
65歳以上の労働者については、これまで高年齢継続被保険者(すこしややこしいですが、65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている被保険者)の場合を除き、雇用保険の適用除外となっていましたが、この1月からは「高年齢被保険者」として適用対象となりました。
◆会社が必要な手続きは?
1月以降、新たに65歳以上の労働者を雇用し、雇用保険の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあること)に該当する場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険 被保険者資格取得届」を提出することとなりました。
また、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し1月以降も継続して雇用している場合も同様の扱いとなりますが、この場合には提出期限の特例があり、今年3月末までに資格取得届を提出すればよいこととなっています。
なお、平成28年12月末時点ですでに高年齢継続被保険者である労働者を1月以降も継続して雇用している場合は自動的に高年齢被保険者に被保険者区分が変更されるため、ハローワークへの届出は必要ありません。
◆保険料の徴収は?
65歳以上の労働者について、雇用保険料の徴収は「平成31年度まで免除」となっています。
◆各種給付金の支給について
本年1月以降、65歳以上の労働者が雇用保険の適用対象に追加され、高年齢被保険者として離職した場合、雇用保険被保険者期間に応じて次の一時金が支給されます。
◎1年未満:所定計算式日額の30日分
◎1年以上:所定計算式日額の50日分
なお、65歳未満で離職した時に受給する基本手当は、厚生年金との併給調整(年金をカット)がありますが、一時金は年金との併給はなく両方受給可能です。
2017年は副業元年!? 「副業」に関する企業の対応
◆副業についての気運の高まり
個人による輸入ビジネス、Webメディアのライター、アフィリエイター、営業代行、民泊…。これまであまり一般的ではなかった「副業」ビジネスが、いま注目されています。
これらのノウハウを紹介する書籍が数多く出版されたり、人材サービス会社が副業斡旋ビジネスをはじめたりしています。
「週刊東洋経済」2016年10月29日号によれば、79.1%の人が「副業に関心あり」とのことですが、世の働く人にとって、副業の第一義は「収入の補助」です。特に近年は、残業削減の時流もあり、“長時間労働により残業代を稼ぐ”という働き方が難しくなってきていますので、「残業から副業へ」という流れが出てくるのも当然です。
また、近年の副業の特徴として、収入面以外にも人脈やスキル、やりがいなど、いわゆるパラレルキャリア形成も目的となってきていると「週刊東洋経済」は指摘しています。
◆政府も副業を奨励
政府も副業を後押ししています。
昨年10月、安倍首相は働き方改革会議において、副業・兼業について「ガイドライン制定も含めて検討する」といった趣旨の発言を行いました。
また、昨年末には厚生労働省が、今までモデル就業規則に記載されていた副業・兼業に関する規定を「原則禁止」から「原則容認」に転換する方針を示しました。
政府としては、いずれ訪れる労働力減少時代への備えとして、働き方の選択肢の1つとして副業を奨励したい考えのようです。
◆企業の8割は「不許可」
企業の多くは現在、自社の従業員が副業を持つことを禁じています。中小企業庁「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によれば、「副業を認めていない」企業は全体の85.3%でした。
また、日本経済新聞社が昨年実施した「社長100人アンケート」でも、経営者の8割が「副業を認めない」と回答しています。認めない理由としては「本業がおろそかになる」「情報漏洩のリスクがある」などが挙げられています。
他にも、企業にとっては、「副業を社員に奨励することで、業績への不安を煽ってしまう」「労災が発生した場合、本業と副業の判断基準が難しい」といった問題もあります。多くの企業にとって「副業を積極的に奨励するメリットは少ない」というのが本音ではないでしょうか。
一方で、ロート製薬やヤフージャパンなどは、副業を解禁したことで本業との相乗効果が出たと、数多くのメディアにて報道されています。副業と上手に付き合えば、企業にとってもメリットがあるということです。
副業が世間的に定着するのはまだ時間がかかりそうですが、自社において従業員の副業をどうすべきか、今から対応方針を検討する必要がありそうです。
事務所より一言
先月号でご紹介しました65歳超雇用推進助成金120万円の支給申請を行いました。この担当窓口は高齢・障害・求職者雇用支援機構ですが、厳格な手続きと分厚い提出資料に一汗かきました。同機構や東京都の助成金は厚労省助成金に比べてかなりの難度の高さを痛感します。
けれども、120万円を受給した時の事業主さまの笑顔を心の励みにこれからも汗をかきたいと思っております。
◆雇用保険法の改正
65歳以上の方は従来雇用保険の対象外でしたが、雇用保険法が改正され、本年1月から雇用保険の適用対象が「65歳以上の労働者」にも拡大されております。
65歳以上の労働者については、これまで高年齢継続被保険者(すこしややこしいですが、65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている被保険者)の場合を除き、雇用保険の適用除外となっていましたが、この1月からは「高年齢被保険者」として適用対象となりました。
◆会社が必要な手続きは?
1月以降、新たに65歳以上の労働者を雇用し、雇用保険の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあること)に該当する場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険 被保険者資格取得届」を提出することとなりました。
また、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し1月以降も継続して雇用している場合も同様の扱いとなりますが、この場合には提出期限の特例があり、今年3月末までに資格取得届を提出すればよいこととなっています。
なお、平成28年12月末時点ですでに高年齢継続被保険者である労働者を1月以降も継続して雇用している場合は自動的に高年齢被保険者に被保険者区分が変更されるため、ハローワークへの届出は必要ありません。
◆保険料の徴収は?
65歳以上の労働者について、雇用保険料の徴収は「平成31年度まで免除」となっています。
◆各種給付金の支給について
本年1月以降、65歳以上の労働者が雇用保険の適用対象に追加され、高年齢被保険者として離職した場合、雇用保険被保険者期間に応じて次の一時金が支給されます。
◎1年未満:所定計算式日額の30日分
◎1年以上:所定計算式日額の50日分
なお、65歳未満で離職した時に受給する基本手当は、厚生年金との併給調整(年金をカット)がありますが、一時金は年金との併給はなく両方受給可能です。
2017年は副業元年!? 「副業」に関する企業の対応
◆副業についての気運の高まり
個人による輸入ビジネス、Webメディアのライター、アフィリエイター、営業代行、民泊…。これまであまり一般的ではなかった「副業」ビジネスが、いま注目されています。
これらのノウハウを紹介する書籍が数多く出版されたり、人材サービス会社が副業斡旋ビジネスをはじめたりしています。
「週刊東洋経済」2016年10月29日号によれば、79.1%の人が「副業に関心あり」とのことですが、世の働く人にとって、副業の第一義は「収入の補助」です。特に近年は、残業削減の時流もあり、“長時間労働により残業代を稼ぐ”という働き方が難しくなってきていますので、「残業から副業へ」という流れが出てくるのも当然です。
また、近年の副業の特徴として、収入面以外にも人脈やスキル、やりがいなど、いわゆるパラレルキャリア形成も目的となってきていると「週刊東洋経済」は指摘しています。
◆政府も副業を奨励
政府も副業を後押ししています。
昨年10月、安倍首相は働き方改革会議において、副業・兼業について「ガイドライン制定も含めて検討する」といった趣旨の発言を行いました。
また、昨年末には厚生労働省が、今までモデル就業規則に記載されていた副業・兼業に関する規定を「原則禁止」から「原則容認」に転換する方針を示しました。
政府としては、いずれ訪れる労働力減少時代への備えとして、働き方の選択肢の1つとして副業を奨励したい考えのようです。
◆企業の8割は「不許可」
企業の多くは現在、自社の従業員が副業を持つことを禁じています。中小企業庁「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によれば、「副業を認めていない」企業は全体の85.3%でした。
また、日本経済新聞社が昨年実施した「社長100人アンケート」でも、経営者の8割が「副業を認めない」と回答しています。認めない理由としては「本業がおろそかになる」「情報漏洩のリスクがある」などが挙げられています。
他にも、企業にとっては、「副業を社員に奨励することで、業績への不安を煽ってしまう」「労災が発生した場合、本業と副業の判断基準が難しい」といった問題もあります。多くの企業にとって「副業を積極的に奨励するメリットは少ない」というのが本音ではないでしょうか。
一方で、ロート製薬やヤフージャパンなどは、副業を解禁したことで本業との相乗効果が出たと、数多くのメディアにて報道されています。副業と上手に付き合えば、企業にとってもメリットがあるということです。
副業が世間的に定着するのはまだ時間がかかりそうですが、自社において従業員の副業をどうすべきか、今から対応方針を検討する必要がありそうです。
事務所より一言
先月号でご紹介しました65歳超雇用推進助成金120万円の支給申請を行いました。この担当窓口は高齢・障害・求職者雇用支援機構ですが、厳格な手続きと分厚い提出資料に一汗かきました。同機構や東京都の助成金は厚労省助成金に比べてかなりの難度の高さを痛感します。
けれども、120万円を受給した時の事業主さまの笑顔を心の励みにこれからも汗をかきたいと思っております。