2017年版「過労死白書」が公表!
◆昨年の過労死は何人でしょうか?
本年版「過労死白書」によれば2016年度に過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は前年度より2人多い191人で、近年は年間200件前後で推移して高止まりが続いています。ここでご留意いただきたいのは、これは労災認定された人のみカウントされており、労災認定にいたらなくとも実質過労死である方は含まれていないことです。
◆もっとも過労死の多い業種は運輸・郵便
業種別では、運輸・郵便業41人、製造業35人、建設業23人の順に多く、運輸・郵便業では約2割が残業を週20時間以上しており、他業種より際立って多いことがわかりました。
◆自営業者の長時間労働も明らかに 自営業者の方はいわゆる労働者ではありませんが、同白書では自営業者の方の長時間労働実態も明らかにしております。
昨年、週60時間以上働いた自営業者の割合は13.6%で、全雇用者の平均(7.7%)を大きく上回りました。週60時間以上働いた自営業者のうち、80時間以上働いていた方もおられます。週80時間労働とは、週7日毎日働いても1日10時間以上の仕事をしていることになり健康に悪影響を与える水準です。さらに、労災認定でも週80時間の労働が過労死認定基準であり、それだけ過酷な労働を行っている自営業者の方がおられることを示しております。労働者は労基法に守られておりますが、自営業者には適用されません。自営業者を守るものは健康ファーストで我が身を愛おしむ自愛の精神と思います。
◆「過重労働解消キャンペーン」が11月に実施
長時間労働対策の強化が喫緊の課題となっ
ている中、厚生労働省では「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施します。11月のある日突然労基署から抜き打ち監督が入るかもしれません。監督の対象となる事業場等は過労死請求事件のあった事業所の他、労働基準監督署およびハローワークに寄せられた相談・苦情等から、離職率が極端に高いなど労働者の「使い捨て」が疑われる企業等とされております。各事業所とも普段からの労務管理が重要となります。
今どきの「社員寮・社宅」事情
◆ねらいは優秀な人材の確保
今、社員寮や社宅を復活させたり充実させたりする企業が相次いでいるようです。福利厚生の充実ぶりをアピールすることで、優秀な人材を確保したいという企業側のねらいが背景にあるようです。ハローワーク求人でも社宅や託児所の記載項目があり、これらを具備していれば福利厚生面でのアピールも可能となります。
◆今どきの社員寮・社宅
これまでも、企業は採用状況が厳しくなると社員寮の充実に力を入れる傾向がありましたが、昔のような相部屋では、今どきの若者には敬遠されてしまいます。
そのため、家賃が安く、なおかつ“プライバシーが確保されつつも、入居者同士が適度に付き合える”環境を整備した社員寮が人気のようです。
◆社員寮・社宅の効用
人材確保という面では、社員寮に入居すれば社員の親にも安心してもらえるので、採用活動にプラスになるというメリットがあります。また、食事の提供などによって社員の健康対策・メンタル対策としての役割や、災害時には社員の安全を守り、業務の早期復旧を目指すという目的もあるようです(実際、社員寮に非常食や発電機、防災井戸を備えている所もあるそうです)。
他にも、自社の社員だけでなく、複数の企業の社員が共同で暮らす社員寮も出てきており、会社の枠を超えての交流ができると人気のようです。
このように、社員寮は人材の確保・離職防止に役立つだけでなく、共同生活によって社員同士のコミュニケーションが増えることで連帯感が生まれたり、職場の活性化にもつながったりすることから、会社だけでなく社員の側からもその重要性が見直されているようです。
社員寮・社宅は、運営コストかかり業務が煩雑であるため、企業にはそれなりの負担がかかりますが、それ以上の効用が会社・従業員双方に期待できそうです。
◆社宅がある企業の割合
人事院が行った「平成28年 民間企業の勤務条件制度等調査」の結果によると、常時従業員数50人以上の全国の企業4,438社のうち、社宅を有する企業の割合は46.8%となっています。
また、保有形態別(社宅を有する企業を100とした場合)でみると、自社保有社宅を有する企業の割合は31.2%、借上げ社宅を有する企業の割合は92.2%となっています(複数回答)。
給与計算ご注意(厚生年金保険料改定)
◆厚生年金保険料の改定(引き上げ)
厚生年金保険料が今年9月から引き上げとなり、10月支給分給与から新たな保険料での引き去りとなりますので給与計算でご注意願います。
給与計算ソフトを導入されておられる事業主の方は今月までにはソフト修正が必要になります。
◆保険料改定内容
保険料率改定(事業主と社員合計):
18.182% →18.300%(0.118%アップ)
標準報酬月額30万円の場合毎月354円アップ
(事業主と社員それぞれ毎月177円の負担増)
キッズウィークとは何?
◆児童を持つ方は要チェックです。
キッズウィークとは夏休みなど学校の長期休業の一部、例えば5日分を別の時期に移して、移した期間に親子で休暇を取るよう促す制度であり、来年度の実施に向けて政府で検討中です。つまり地域毎で夏休みの期間が変わる可能性が出てくるため、児童をもつ方は他人事ではなくなります。政府はキッズウィークの導入で、長期休暇の分散や労働者の休暇取得等を促す方針です。
◆キッズウィークの会社への影響
政府の目論見とは別に、キッズウィークの導入に対して反論もでております。例えば有給取得の困難さや、子供のいない世帯への労働しわ寄せ、非正規労働者の賃金減少などなどクリアーすべき問題点もあり、今後の推移を見守りたいと思います。
◆昨年の過労死は何人でしょうか?
本年版「過労死白書」によれば2016年度に過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は前年度より2人多い191人で、近年は年間200件前後で推移して高止まりが続いています。ここでご留意いただきたいのは、これは労災認定された人のみカウントされており、労災認定にいたらなくとも実質過労死である方は含まれていないことです。
◆もっとも過労死の多い業種は運輸・郵便
業種別では、運輸・郵便業41人、製造業35人、建設業23人の順に多く、運輸・郵便業では約2割が残業を週20時間以上しており、他業種より際立って多いことがわかりました。
◆自営業者の長時間労働も明らかに 自営業者の方はいわゆる労働者ではありませんが、同白書では自営業者の方の長時間労働実態も明らかにしております。
昨年、週60時間以上働いた自営業者の割合は13.6%で、全雇用者の平均(7.7%)を大きく上回りました。週60時間以上働いた自営業者のうち、80時間以上働いていた方もおられます。週80時間労働とは、週7日毎日働いても1日10時間以上の仕事をしていることになり健康に悪影響を与える水準です。さらに、労災認定でも週80時間の労働が過労死認定基準であり、それだけ過酷な労働を行っている自営業者の方がおられることを示しております。労働者は労基法に守られておりますが、自営業者には適用されません。自営業者を守るものは健康ファーストで我が身を愛おしむ自愛の精神と思います。
◆「過重労働解消キャンペーン」が11月に実施
長時間労働対策の強化が喫緊の課題となっ
ている中、厚生労働省では「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施します。11月のある日突然労基署から抜き打ち監督が入るかもしれません。監督の対象となる事業場等は過労死請求事件のあった事業所の他、労働基準監督署およびハローワークに寄せられた相談・苦情等から、離職率が極端に高いなど労働者の「使い捨て」が疑われる企業等とされております。各事業所とも普段からの労務管理が重要となります。
今どきの「社員寮・社宅」事情
◆ねらいは優秀な人材の確保
今、社員寮や社宅を復活させたり充実させたりする企業が相次いでいるようです。福利厚生の充実ぶりをアピールすることで、優秀な人材を確保したいという企業側のねらいが背景にあるようです。ハローワーク求人でも社宅や託児所の記載項目があり、これらを具備していれば福利厚生面でのアピールも可能となります。
◆今どきの社員寮・社宅
これまでも、企業は採用状況が厳しくなると社員寮の充実に力を入れる傾向がありましたが、昔のような相部屋では、今どきの若者には敬遠されてしまいます。
そのため、家賃が安く、なおかつ“プライバシーが確保されつつも、入居者同士が適度に付き合える”環境を整備した社員寮が人気のようです。
◆社員寮・社宅の効用
人材確保という面では、社員寮に入居すれば社員の親にも安心してもらえるので、採用活動にプラスになるというメリットがあります。また、食事の提供などによって社員の健康対策・メンタル対策としての役割や、災害時には社員の安全を守り、業務の早期復旧を目指すという目的もあるようです(実際、社員寮に非常食や発電機、防災井戸を備えている所もあるそうです)。
他にも、自社の社員だけでなく、複数の企業の社員が共同で暮らす社員寮も出てきており、会社の枠を超えての交流ができると人気のようです。
このように、社員寮は人材の確保・離職防止に役立つだけでなく、共同生活によって社員同士のコミュニケーションが増えることで連帯感が生まれたり、職場の活性化にもつながったりすることから、会社だけでなく社員の側からもその重要性が見直されているようです。
社員寮・社宅は、運営コストかかり業務が煩雑であるため、企業にはそれなりの負担がかかりますが、それ以上の効用が会社・従業員双方に期待できそうです。
◆社宅がある企業の割合
人事院が行った「平成28年 民間企業の勤務条件制度等調査」の結果によると、常時従業員数50人以上の全国の企業4,438社のうち、社宅を有する企業の割合は46.8%となっています。
また、保有形態別(社宅を有する企業を100とした場合)でみると、自社保有社宅を有する企業の割合は31.2%、借上げ社宅を有する企業の割合は92.2%となっています(複数回答)。
給与計算ご注意(厚生年金保険料改定)
◆厚生年金保険料の改定(引き上げ)
厚生年金保険料が今年9月から引き上げとなり、10月支給分給与から新たな保険料での引き去りとなりますので給与計算でご注意願います。
給与計算ソフトを導入されておられる事業主の方は今月までにはソフト修正が必要になります。
◆保険料改定内容
保険料率改定(事業主と社員合計):
18.182% →18.300%(0.118%アップ)
標準報酬月額30万円の場合毎月354円アップ
(事業主と社員それぞれ毎月177円の負担増)
キッズウィークとは何?
◆児童を持つ方は要チェックです。
キッズウィークとは夏休みなど学校の長期休業の一部、例えば5日分を別の時期に移して、移した期間に親子で休暇を取るよう促す制度であり、来年度の実施に向けて政府で検討中です。つまり地域毎で夏休みの期間が変わる可能性が出てくるため、児童をもつ方は他人事ではなくなります。政府はキッズウィークの導入で、長期休暇の分散や労働者の休暇取得等を促す方針です。
◆キッズウィークの会社への影響
政府の目論見とは別に、キッズウィークの導入に対して反論もでております。例えば有給取得の困難さや、子供のいない世帯への労働しわ寄せ、非正規労働者の賃金減少などなどクリアーすべき問題点もあり、今後の推移を見守りたいと思います。