2018年11月号|新宿区の助成金申請代行・就業規則作成なら、社会保険労務士法人渡邊人事労務パートナーズにお任せください。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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「教職員」「医療」「IT」の共通点は何?

◆それは過労死の多い業種です
厚生労働省が先月30日、今後の過労死対策の議論の土台となる「平成30年版過労死等防止対策白書」を公表しました。3回目となる今回の白書では、特に過労死などが多いとされる「教職員」「医療」「IT」について労働実態などを重点的に分析しています。

◆業界特有の働き過ぎやストレスの要因が浮き彫りに
教職員の調査では、回答者3万5,640人の1日の平均勤務時間は11時間17分でした。残業の理由では、「自分が行わなければならない業務量が多い」との回答が7割弱と最多で、ストレスの要因では、「保護者・PTAへの対応」と答えた人が4割弱いました。この様な状況でも公立学校の教員に残業手当は出さなくとも違法とされず、教職調整額(給与の一律4%)が支給されるのみとなっております。

医療では、1,078の病院への調査で、月の残業時間が100時間を超える医師がいる病院が12.3%ありました。人命を預かるべき医師の自殺事件が社会問題として報道されております。

また、ITの調査では、システムトラブルへの緊急対応や厳しい納期を強いられるなど、発注者からの要望が過重労働の主因となっていることがわかりました。
それぞれ、業界特有の働き過ぎや精神的ストレスの要因が浮かび上がったものとなっており、白書では、昨年重点業種として調査した「自動車運転」「外食」を含め、業種ごとの特徴に応じた対策を講じ、過労死などの根絶につなげる必要があるとしています。

【厚生労働省「過労死等防止対策白書」ダウンロードページ】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000138529.html

「つながらない権利」

◆「つながらない権利」とは
経営者の方は四六時中仕事のことを考え、何かあれば直ぐ部下の携帯へ連絡することがあるかもしれません。今回は「つながらない権利」についてとりあげます。労働者が、勤務時間外や休暇中に、仕事上のメール等への対応を拒否できる権利のことです。アメリカ・ニューヨーク市で現在、「勤務時間外のメール等への返信を労働者に強いることを禁じる」条例案が審議されています(日本経済新聞10月29日夕刊)。

◆先行する各国、各社の例
つながらない権利の法制化で先行したのがフランスです。2017年、従業員50人以上の企業を対象に、時間外のメールの扱いを労使で協議するよう義務づけました。またイタリアでも、2017年に成立したいわゆるスマートワーカー(働く時間・場所を特定しない労働者)を保護する法律において、つながらない権利を雇用契約に明記するよう義務づけています。
また、企業の独自の施策として、ジョンソン・エンド・ジョンソン(午後10時以降のメール禁止)や、ダイムラー(長期休暇中の社内メールを受信拒否・自動削除)の例が知られています。日本企業でも、三菱ふそうトラック・バス(ダイムラーの子会社)が、同様の措置をとっています。

◆「つながらない権利」の意識が必要です
日本では現状、法令などで「つながらない権利」は定義されておりません。
とはいえ、使用者側が、明確な社内ルールや指示に基づき「つながる」ことを義務付けた場合や、過剰に「つながっている」状態を把握しながらも黙認していた場合などは、労働から離れることが保障されていない待機等の時間(いわゆる手待時間)として労働時間とみなされるおそれがあります。後々、時間外労働分の割増賃金を請求されるリスクや、労災発生時に認定基準における労働時間としてカウントされるリスク等々がありますので、「つながらない権利」を意識することは、労使トラブル予防の観点から有効です。

◆4割以上の労働者が、勤務時間外も「つながっている」
実態として、勤務時間外や休暇中にメール・電話・LINE等で「つながる」ことは珍しくありません。調査によれば、43.9%の労働者が、「勤務時間外に電話・メール等で仕事関係の連絡をとる」ことが「よくある」「ときどきある」とのことです(労働政策研究・研修機構「裁量労働制等の労働時間制度に関する時間調査」(厚労省抽出分))。
現代は、テレワークをはじめとする多様な働き方の浸透や、ICT技術の普及により、昔より「つながる」機会が増えている時代といえます。「つながる」ことを全く拒否することも現実的ではありません。良い結果を生む場合もあるでしょう。自社の実態を踏まえた「つながり方」を模索するべきではないでしょうか。


事務所より一言

京都大学の本庶佑特別教授が今年のノーベル生理学・医学賞を受賞されました。同教授はがん免疫療法の発展に貢献されたことによる受賞です。がん免疫療法が飛躍的発展を遂げてがんがなんでもない病気の一つになることを心から期待したいと思います。

いつかはこんな時代がきます
(20XX年 街角の診療所)
医師「あなたはがんですね」
患者「あら、そうなのね」
医師「心配要りません。お出しする薬を飲んでいればそのうち消滅します」
患者「はい。薬の飲み忘れに注意します」
窓口「お大事に〜」
がんという病気の恐ろしさを叩き込まれている
私たちには絵空事のようですが、いつかはこのような時代が来るとかつて死を宣告された私は確信しています。
  
我が国は古来結核が不治の病とされておりました。俳人正岡子規の闘病記のような壮絶な最期を迎えることが日常茶飯事でした。私は小学校に上がる前に小児結核になり、医師からこの子の命は保証できないと宣告されたそうです。このような状況で戦後間もなく結核の特効薬として登場したのがストレプトマイシンです。この薬を打ち続けた結果、なんと命永らえました。ところでこのストレプトマイシンは保険も聞かない超高価薬品であり、薬代を捻出するために親は都内の土地を処分したと聞きました。それを聞いた私は、こんな出来の悪い子供に薬代をかけるよりは、都内の土地をもっていたほうが良かったのではないかと親に言ったところ、とても悲しそうな顔をされました。子を持つ親になった今、とても酷いことを言ってしまったと反省しております。
 がん治療薬のあの丸山ワクチンは、結核病棟患者にはがん患者がいないというつながりから生まれたそうです。結核既往歴のある私はがんになりにくいと勝手に期待しております(勿論今は完治しております)。

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