「おまえは害虫だ」(パワハラ発言)
◆私の経験です
私が昭和48年に東京大手町に本社のある某一部上場損保に入社して直ぐのことです。
直属課長「渡邊君、明日は出勤してはダメだよ」
私「課長、あしたは祝日ですよ。なんでなんですか?」
課長「明日は館内害虫駆除があるから君はあぶないよ」
私「・・・・・(俺は害虫かよ)」
また、初めての給与支給日(当時は現金支給でした)の時に、「渡邊君、ほらいくぞ」と課長席から末席の私のところへ現金封筒が飛行物体となり、はやぶさ2の如く私の机の上にドンと見事に着陸しました。こうして私の初めての給与は空から届けられました。
その当時はパワハラという言葉もなく、部下に対しては何をやっても、なんと言っても許されるという社会的な風潮があり、このようなことも日常茶飯事でした。初めて使えたこの直属課長は、実は長くお仕えするととても面倒見のよい、心優しい方であることが分かりましたが、「何時かは俺のことを分かってくれる」という甘えは今では通用しません。パワハラ行為があった段階で即アウトになりますので、部下をもつ者には緊張感が必要となります。
◆それでは、パワハラとは?
パワハラについては、なんとなく、フィーリング的に理解しておりますが、改めて政府のパワハラ報告書で示された定義を見てみます。
1.優越的な関係に基づく
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
3.労働者の就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)
◆パワハラ発言裁判例(日研化学事件)
日研化学パワハラ事件は、医療情
報担当者(MR)」のAが、上司からひどい暴言を受けて自殺した事例です。静岡裁判所はAの自殺は上司から過重な心理的負荷を受けており、Aの自殺は業務起因性を認めるのが相当であると判断しました(つまり労災事故と認められました)
裁判で明らかになった上司の暴言
・「存在が目障りだ、いるだけでみんなが迷惑している」
・「おまえのカミさんの気が知れん。お願いだから消えてくれ」
・「車のガソリン代がもったいない」
・「お前は会社を食い物にしている、給料泥棒」
・「おまえは対人恐怖症やろ」
一般的に上司は部下を適切に指導する職責にありますが、上記発言は指導ではなく
罵倒であり、まさにパワハラ定義に合致し
ております。
◆パワハラの責任は会社全体に及びます
さいたま市の職員であったAが指導係であったBから暴行を受けうつ病を悪化させて自殺した事件(東京高裁平成29年10月)では、直接の指導者であるBには当然損害賠償責任が認められました。
そして、BだけではなくAからパワハラの相談を受けていたC(管理係長)とD(所長)にも損害賠償の支払いが命じられました。これは使用者には安全配慮義務があり、職場におけるパワハラを防止する義務があるにもかかわらず、CとDは適切な措置を講じなかったということによります。
パワハラの訴えがあったときには、その事実関係を調査し、その調査結果に基づき、加害者に対する指導、配置転換等を含む人事管理上の適切な措置を行う義務があるにもかかわらず、CとDはこの義務を行わなかったとされました。
パワハラは属人的な出来事ではなく、会社全体として発生防止に取り組まなければならないということを理解する必要があります。
役員報酬上げたら年金下がった!
役員報酬上げたら年金が下がった!
◆役員報酬の設定ではご用心
年金を受給しながら役員報酬を受けておられる方も多いと思います。良い決算が出来たので役員報酬を上げたら思わぬことに年金が下がってしまったという事業主様もおられると思います。これは在職老齢年金調整に該当したことによります。
◆在職老齢年金調整とは
簡単な言い方では、役員報酬が多い人には厚生年金をカットさせて貰いますよという制度です。年金受給者の中には、年金だけで生活している人もいれば、役員報酬等多くの収入がある人もいます。このため社会的なバランスをとるため、一定額以上の役員報酬がある方の年金はカットするという考え方なのでしょう。
◆在職老齢年金の調整方法
一定の計算方法によりますが、65歳以上の年金受給事業主では次の通りです。
@厚生年金受給月額+役員報酬月額が
46万円以下の時→調整なし
A厚生年金受給月額+役員報酬月額が
46万円超の時→46万円超過部分の二分の一をカット。これに該当する方は、役員報酬を月額10万円上げたら厚生年金月額5万円カットです。何のため役員報酬を上げたか分からなくなります。
◆私の経験です
私が昭和48年に東京大手町に本社のある某一部上場損保に入社して直ぐのことです。
直属課長「渡邊君、明日は出勤してはダメだよ」
私「課長、あしたは祝日ですよ。なんでなんですか?」
課長「明日は館内害虫駆除があるから君はあぶないよ」
私「・・・・・(俺は害虫かよ)」
また、初めての給与支給日(当時は現金支給でした)の時に、「渡邊君、ほらいくぞ」と課長席から末席の私のところへ現金封筒が飛行物体となり、はやぶさ2の如く私の机の上にドンと見事に着陸しました。こうして私の初めての給与は空から届けられました。
その当時はパワハラという言葉もなく、部下に対しては何をやっても、なんと言っても許されるという社会的な風潮があり、このようなことも日常茶飯事でした。初めて使えたこの直属課長は、実は長くお仕えするととても面倒見のよい、心優しい方であることが分かりましたが、「何時かは俺のことを分かってくれる」という甘えは今では通用しません。パワハラ行為があった段階で即アウトになりますので、部下をもつ者には緊張感が必要となります。
◆それでは、パワハラとは?
パワハラについては、なんとなく、フィーリング的に理解しておりますが、改めて政府のパワハラ報告書で示された定義を見てみます。
1.優越的な関係に基づく
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
3.労働者の就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)
◆パワハラ発言裁判例(日研化学事件)
日研化学パワハラ事件は、医療情
報担当者(MR)」のAが、上司からひどい暴言を受けて自殺した事例です。静岡裁判所はAの自殺は上司から過重な心理的負荷を受けており、Aの自殺は業務起因性を認めるのが相当であると判断しました(つまり労災事故と認められました)
裁判で明らかになった上司の暴言
・「存在が目障りだ、いるだけでみんなが迷惑している」
・「おまえのカミさんの気が知れん。お願いだから消えてくれ」
・「車のガソリン代がもったいない」
・「お前は会社を食い物にしている、給料泥棒」
・「おまえは対人恐怖症やろ」
一般的に上司は部下を適切に指導する職責にありますが、上記発言は指導ではなく
罵倒であり、まさにパワハラ定義に合致し
ております。
◆パワハラの責任は会社全体に及びます
さいたま市の職員であったAが指導係であったBから暴行を受けうつ病を悪化させて自殺した事件(東京高裁平成29年10月)では、直接の指導者であるBには当然損害賠償責任が認められました。
そして、BだけではなくAからパワハラの相談を受けていたC(管理係長)とD(所長)にも損害賠償の支払いが命じられました。これは使用者には安全配慮義務があり、職場におけるパワハラを防止する義務があるにもかかわらず、CとDは適切な措置を講じなかったということによります。
パワハラの訴えがあったときには、その事実関係を調査し、その調査結果に基づき、加害者に対する指導、配置転換等を含む人事管理上の適切な措置を行う義務があるにもかかわらず、CとDはこの義務を行わなかったとされました。
パワハラは属人的な出来事ではなく、会社全体として発生防止に取り組まなければならないということを理解する必要があります。
役員報酬上げたら年金下がった!
役員報酬上げたら年金が下がった!
◆役員報酬の設定ではご用心
年金を受給しながら役員報酬を受けておられる方も多いと思います。良い決算が出来たので役員報酬を上げたら思わぬことに年金が下がってしまったという事業主様もおられると思います。これは在職老齢年金調整に該当したことによります。
◆在職老齢年金調整とは
簡単な言い方では、役員報酬が多い人には厚生年金をカットさせて貰いますよという制度です。年金受給者の中には、年金だけで生活している人もいれば、役員報酬等多くの収入がある人もいます。このため社会的なバランスをとるため、一定額以上の役員報酬がある方の年金はカットするという考え方なのでしょう。
◆在職老齢年金の調整方法
一定の計算方法によりますが、65歳以上の年金受給事業主では次の通りです。
@厚生年金受給月額+役員報酬月額が
46万円以下の時→調整なし
A厚生年金受給月額+役員報酬月額が
46万円超の時→46万円超過部分の二分の一をカット。これに該当する方は、役員報酬を月額10万円上げたら厚生年金月額5万円カットです。何のため役員報酬を上げたか分からなくなります。