06年11月号|新宿区の助成金申請代行・就業規則作成なら、社会保険労務士法人渡邊人事労務パートナーズにお任せください。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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2024年11月号

年収の壁特集

最近の新聞報道政治欄では年収の壁問題が取り沙汰されております。自民・公明で過半数割れした衆議院運営のため、国民民主党が主張する「103万円の壁」に政府としてどう取り組むか日々報道されております。

丁度この時期は年末調整を迎えることから年収の壁について改めてご案内します。パート社員が多い会社では、「年末まであと幾らまで働ける?」と聞かることもあり、経理ご担当者にとっても年収の壁対策は重要な事項になります。

年収の壁の色々

100万円の壁
 パート・アルバイト給与収入が100万円を超えると住民税課税対象となります。これが最初の壁です。

当事務所のある顧問先の年末給与計算のこと、パート社員の年収103万円の壁を前提に計算したところ、実はご本人の意図は100万円の壁でありご迷惑をお掛けしたことがあります。この結果収入は50,775円増加しましたが、住民税年間分7,300円が掛かることになりました。差引43,475円収入増加となるからそれで良いとはなりませんでした。皆様夫々自分が守りたい年収の壁があるようです。

103万円の壁
この壁が主婦にとりとりわけ関心のある壁でしょう。今回の国会での論議
メインがこの壁です。

103万円を超えるとパートで働くご自身に所得税が掛かる壁です。たとえばパート年収が104万円になってしまった場合、超過額1万円に対する所得税500円がパート本人に課税されます。これを僅かな金額ととるか、自分が税金を取られるのは絶対嫌だと思うのか価値観の相違でしょうが、ともかく今の税制では103万円が一つの壁です。

財務省が103万円の壁に大きなこだわりを示す理由は、103万円の壁見直しの恩恵は単純にパート労働者だけでなく、給与所得者にあまねく減税メリットが出るからです。ある研究所の試算では、年収200万円の方で8.2万円、500万円の方で13.3万円手取り額が増加するとされております。年収が更に大きい方は期待が膨らみます。今後の決着を注視したいと思います。
一方、社労士として103万円の壁がとても高いと感じることがあります。多くの企業の給与規定を拝見すると、配偶者が103万円の壁を超すとご主人の家族手当に影響する(無くなる)会社が多いことです。一般的な会社の家族手当支給基準は「配偶者の収入が非課税額(つまり103万円)以下であること」と設定されております。つまり103万円の壁を超すと家族手当が支給ストップになります。例えばパート妻の年収が103万円超となり、毎月2万円支給されていた夫の給料(家族手当)が突然ゼロになれば、誰だって103万円を超して働く気にはなれません。

家族手当支給基準は会社独自の裁量と判断で決定できるものです。年収の壁対策として政府は家族手当支給基準の見直しを経済界へ提案すべきと思います。

106万円の壁
社員数50人超企業では、年収106
万円(月収8万8千円、ただし残業代・賞与・通勤費は除外します)を超える社員はパート社員でも社会保険加入義務が生じます。社会保険料は金額的負担が大きく会社と社員ともに意識する大きな壁です。

健康保険料率と厚生年金保険料率を
合算すると年収の約30%にもなります。例えばパート年収が106万円から壁を乗り越えて110万円に上がってしまったときには、社会保険料がこれまでのゼロから年額30万円になります。会社と本人それぞれ15万円の保険料負担が発生します。

 厚労省は今このどさくさに紛れ「社員数50人超企業」の条件を削除する悪乗りをしようとしております。つまり社員の月収が8万8千円以上であれば、どのような小規模企業でも社会保険義務付けを検討中と報道されました。これが現実化すると、中小企業と本人に大きな負担増加となります。

130万円の壁
企業規模に関わらず年収が130万円を超えると世帯主の被扶養者から外れ自分が国民健康保険と国民年金制度の加入者となる義務が生じます。自分で保険料負担をする130万円の壁もプレッシャーの大きな壁です。

ただし、130万円の壁に関しては、130万円超過が一時的なものであるという事業主様の証明書を日本年金機構へ提出することにより2年間限度で加入猶予が認められます。

報道によれば、立憲民主党は130万円の壁にウェイトを置いた政策を掲げるそうです。つまり、130万円の壁のため収入減となる労働者に給付金制度を構築する方針とのことです。

150万円の壁
最後は150万円の壁です。これはパート社員収入に直接影響するものではなく、その世帯主が配偶者特別控除を得られなくなる壁です。パート社員年収が150万円までは世帯主は配偶者特別控除満額38万円を受けられます。

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