2022年11月号

中小事業主も月60時間超えの時間外労働割増率が5割以上になります(来年4月1日以降)

◆猶予措置が廃止されます
令和5年4月1日から、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を「5割以上の率」とする規定が、中小事業主にも適用されることになりました。

もともと、使用者が時間外または休日労働させた場合には、2割5分以上5割以下の率で計算した割増賃金を支払わなければなりませんでしたが、2010年4月1日施行の改正により、月60時間を超えた場合は、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとされていました。

これまでは、この改正は中小事業主(労働者の数が300人(小売業については50人、卸売業またはサービス業については100人)以下)である事業主には適用が猶予されていたのですが、令和5年4月1日からは中小企業の猶予が廃止になります。中小企業の労務管理に影響を及ぼす改定であり早めのご対応をお勧めします。

◆代替休暇の規定も適用
中小事業主にも月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を5割以上の率とする規定が適用されることに伴い、「代替休暇」の規定も適用されることになります。

代替休暇とは、1カ月に60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を与えることができるものです。

労使で協定すべき事項としては、月60時間を超えて労働させた時間数に対して、何時間の代替休暇を与えるかという計算方法や、代替休暇の単位(1日または半日)などがあります。

そのほか、制度の導入に際しては、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によること、労使協定の締結により代替休暇を実施する場合には、代替休暇に関する事項を「休暇」として就業規則に記載する必要があることにも留意する必要があります。

雇用調整助成金の特例措置が終了します

◆厚労省が特例措置終了を発表
コロナ禍に対応するため長期間実施されていた雇用調整助成金の特例措置を終了することが厚労省から発表されました。雇用調整助成金をご利用される事業主様には大きな影響がありますので今回取り上げさせて頂きます。12月以降は通常制度による支給となります。

 コロナ禍により経営苦境となった事業主様のために、これまで多くの特例措置が取られてきました。具体的には(1)雇用調整助成金の支給上限額引上げ、(2)助成率引上げ、(3)提出書類の簡素化等です。

有効求人倍率の回復等を理由に終了し、令和4年12月以降、通常制度による支給となります。そのため、1日あたり支給上限額は一律8,355円となります。実際には雇用保険財政のひっ迫が背景にあったものと思われます。

◆特に業績が厳しい事業主に対する経過措置が設けられます
 ただし、特に業績が厳しい事業主については、令和5年1月31日まで1日あたり支給上限額を9,000円とする経過措置が設けられます。助成率も、令和3年1月8日以降解雇等を行っていない場合は10分の9(大企業は3分の2)となります。

◆令和5年2月以降はどうなる?
 原則どおりの雇用調整助成金取り扱いとなりますが、これまでに雇用調整助成金を利用した事業主様の場合には簡素化された書類による申請が令和4年12月から令和5年3月の間講じられます。
 
◆令和4年12月以降新規申請の取り扱い
これまで新型コロナ特例を利用せず、令和4
年12月以降新規に雇用調整助成金を利用する事業主は、経過措置ではなく通常制度による申請を行うため申請は複雑になります。
その場合でも、令和4年12月1日から令和5年3月31日までの間、支給要件が一部緩和されます。具体的には、計画届の提出が不要とされたり、休業や教育訓練の延べ日数から時間外労働の日数を差し引く残業相殺が行われなかったりするほか、一部の労働者を対象とした短時間休業も助成対象となります。

雇用調整助成金に関する厚労省のリーフレット
【厚生労働省「令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置(コロナ特例)の経過措置について(予定)」PDF】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001008098.pdf
【厚生労働省「令和4年12月から新たにコロナを理由として雇用調整助成金等を申請する事業主のみなさまへ」PDF】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001007940.pdf

募集しても人が採れない? 中小企業の採用活動の現況

◆企業の採用活動は活発化している
人手不足の中で企業の採用活動が活発化しています。株式会社マイナビが実施した最近の調査結果でも、9月に中途採用活動を実施した企業は全体で39.8%、従業員規模別に見ると「51〜300名」「301名以上」で約5割となり、ほぼすべての業種で採用活動実施率が前年同月比で増加しています。

◆人が採れない企業が2割
採用活動の活発化により、中小企業の新卒採用も厳しい状況となっているようです。日本商工会議所ならびに東京商工会議所が中小企業6,007社に実施した調査によれば、2021年度の新卒採用の状況について、募集した企業は51.0%で、そのうち「予定人数を採用できた」と回答した企業は45.6%にとどまり、約2割の企業が「募集したが、全く採用できなかった」(19.9%)と回答しています。

◆採用活動にも工夫が必要に
コロナによる影響でオンライン面接が普及するなど、採用を取り巻く状況も大きく変化しました。学生の採用活動における質問事項としてよく使われる「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)なども、コロナ禍でエピソードが少ない学生を困らせているという話も聞かれます。これまでの手法が必ずしもマッチしない状況の中で人材を獲得するためには、自社の採用手法に工夫を凝らし、他社と差別化していく取組みが必要になってくるでしょう。

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