2022年9月号
10月1日から変更する諸制度等
早いもので、令和4年度も10月1日で折り返し時期となりました。
この10月1日から人事労務関係で変更となる諸制度等を今月号でご案内いたします。
1. 雇用保険料率の引き上げ
久しく変更のなかった雇用保険料率ですが、今回のコロナ経済対策で雇用保険財源が払底したことから、今年4月1日と10月1日の二段階引き上げとなります。
10月1日改定後の雇用保険料率
A被保険者負担:5/1000 (6/1000)
B会社負担:8.5/1000(10.5/1000)
合計A+B:13.5/1000(16.5/1000)
( )内は建設業に対する雇用保険料率
10月1日以降最初に到来する給与締切分から上記雇用保険料が適用となります。
2.社会保険料の見直し
社会保険料も10月控除分から見直しとなります。日本年金機構から会社へ被保険者標準報酬決定通知書が届いていると思いますが、ここに記載された新たな標準報酬月額により保険料が決定されます。
標準報酬月額の改定時期は毎年9月であり、9月分改定保険料を10月支給賃金から引去控除することになります。算定基礎届で今年4月から6月までの算定賃金が増加すれば標準報酬月額が上がり、社会保険料も増加します。反対に同時期の算定賃金が減少すれば標準報酬月額が下がり、社会保険料は減少となります。日本年金機構からの被保険者標準報酬決定通知書をご確認願います。
3.最低賃金の引き上げ
先月号で速報の通り、10月1日労働分から最低賃金が大幅引き上げとなります。こんなに引き上げられたら到底やっていけないという事業主様の悲痛な声が当事務所に寄せられておりますが、これは強行法規であり、守らない訳にはいかないところが実に辛いところです。
東京 :1,072円(+31円)
神奈川:1,071円(+31円)
千葉 :984円(+31円)
埼玉 :987円(+31円)
北海道:920円(+31円)
4.キャリアアップ助成金の厳格化
キャリアアップ助成金申請で、10月1日以降正社員転換を行う場合には、助成金受給条件が厳格化されますので、ご注意が必要です。
(従来)賃金アップ条件
正社員転換後の賃金(賞与を除く)が、転換前賃金から3%以上アップしていること。
(10月1日以降の正社員転換)
@ 賃金アップ条件は従来通り
A 就業規則に下記規定がある事
・昇給
・賞与または退職金
厳格化された条件の、昇給と賞与または退職金は自社では到底無理だと心配される事業主様もおられると思いますが、対応方法があります。まずは、就業規則に「原則として支給する」としておいて、「ただし、会社の経営状況等によっては支給しないこともある」と定めておけば、実際に何も支給しなくとも条件に適合します。キャリアアップ助成金は1名転換で57万円(生産性要件ありでは72万円)であり、これからも積極的に取り組まれることをお勧めします。
5.育児介護休業法の改定
頻繁に拡大改定される育児介護休業法ですが、10月1日よりまた次の通りの改定があります。当然就業規則の見直しも必要ですが、厚生労働省推奨のスタンダード就業規則によれば育児介護休業規定だけでA4判で全14ページにもなり一般的な会社の就業規則本体を遥かに上回るボリュームです。育児介護休業法は労働者保護規程が多岐に亘り、同時に数多くの例外規定・除外規定が併存し、複雑な就業規則構成になります。
10月1日より以下の改定があります
1.産後パパ育休(出生時育児休業)の新設:子の出生後8週間以内に4週間まで育児休業が取得できるように改定されます。
2.育児介護の分割取得可能化:育児休業の分割取得を可能にして、夫婦が円滑に育休をリレーできるように改定されます。
6.社会保険適用事業所の拡大
中小企業ではパートアルバイト等短時間労働者は社会保険加入不要ですが、労働者数500名超企業では加入を義務付けられる対象労働者がおります。この基準が500名超から100人超へ適用事業所が拡大します。現在労働者数100人超事業主様はご留意ください。
短時間労働者でも社保加入が必要となる事業所と対象労働者(10月1日より)
1. 労働者数100人超の事業所
2. 1週間の労働時間20時間以上
3. 月額賃金8.8万円以上
4. 継続して2か月以上雇用される見込
なお、令和6年10月には労働者数
50人超対象事業所へ社保適用が更に拡大されるため、該当企業は社会保険料対策が必要になります。
事務所から一言
皆様の会社では、有期雇用期間5年を経過し無期転換権を有する労働者に対して、何らかのコメントを出されておりますでしょうか。新聞報道によれば、厚労省は企業に無期転換権行使の通知義務を検討している模様です。益々抜かりのない無期雇用転換対策が必要となりそうです。
この10月1日から人事労務関係で変更となる諸制度等を今月号でご案内いたします。
1. 雇用保険料率の引き上げ
久しく変更のなかった雇用保険料率ですが、今回のコロナ経済対策で雇用保険財源が払底したことから、今年4月1日と10月1日の二段階引き上げとなります。
10月1日改定後の雇用保険料率
A被保険者負担:5/1000 (6/1000)
B会社負担:8.5/1000(10.5/1000)
合計A+B:13.5/1000(16.5/1000)
( )内は建設業に対する雇用保険料率
10月1日以降最初に到来する給与締切分から上記雇用保険料が適用となります。
2.社会保険料の見直し
社会保険料も10月控除分から見直しとなります。日本年金機構から会社へ被保険者標準報酬決定通知書が届いていると思いますが、ここに記載された新たな標準報酬月額により保険料が決定されます。
標準報酬月額の改定時期は毎年9月であり、9月分改定保険料を10月支給賃金から引去控除することになります。算定基礎届で今年4月から6月までの算定賃金が増加すれば標準報酬月額が上がり、社会保険料も増加します。反対に同時期の算定賃金が減少すれば標準報酬月額が下がり、社会保険料は減少となります。日本年金機構からの被保険者標準報酬決定通知書をご確認願います。
3.最低賃金の引き上げ
先月号で速報の通り、10月1日労働分から最低賃金が大幅引き上げとなります。こんなに引き上げられたら到底やっていけないという事業主様の悲痛な声が当事務所に寄せられておりますが、これは強行法規であり、守らない訳にはいかないところが実に辛いところです。
東京 :1,072円(+31円)
神奈川:1,071円(+31円)
千葉 :984円(+31円)
埼玉 :987円(+31円)
北海道:920円(+31円)
4.キャリアアップ助成金の厳格化
キャリアアップ助成金申請で、10月1日以降正社員転換を行う場合には、助成金受給条件が厳格化されますので、ご注意が必要です。
(従来)賃金アップ条件
正社員転換後の賃金(賞与を除く)が、転換前賃金から3%以上アップしていること。
(10月1日以降の正社員転換)
@ 賃金アップ条件は従来通り
A 就業規則に下記規定がある事
・昇給
・賞与または退職金
厳格化された条件の、昇給と賞与または退職金は自社では到底無理だと心配される事業主様もおられると思いますが、対応方法があります。まずは、就業規則に「原則として支給する」としておいて、「ただし、会社の経営状況等によっては支給しないこともある」と定めておけば、実際に何も支給しなくとも条件に適合します。キャリアアップ助成金は1名転換で57万円(生産性要件ありでは72万円)であり、これからも積極的に取り組まれることをお勧めします。
5.育児介護休業法の改定
頻繁に拡大改定される育児介護休業法ですが、10月1日よりまた次の通りの改定があります。当然就業規則の見直しも必要ですが、厚生労働省推奨のスタンダード就業規則によれば育児介護休業規定だけでA4判で全14ページにもなり一般的な会社の就業規則本体を遥かに上回るボリュームです。育児介護休業法は労働者保護規程が多岐に亘り、同時に数多くの例外規定・除外規定が併存し、複雑な就業規則構成になります。
10月1日より以下の改定があります
1.産後パパ育休(出生時育児休業)の新設:子の出生後8週間以内に4週間まで育児休業が取得できるように改定されます。
2.育児介護の分割取得可能化:育児休業の分割取得を可能にして、夫婦が円滑に育休をリレーできるように改定されます。
6.社会保険適用事業所の拡大
中小企業ではパートアルバイト等短時間労働者は社会保険加入不要ですが、労働者数500名超企業では加入を義務付けられる対象労働者がおります。この基準が500名超から100人超へ適用事業所が拡大します。現在労働者数100人超事業主様はご留意ください。
短時間労働者でも社保加入が必要となる事業所と対象労働者(10月1日より)
1. 労働者数100人超の事業所
2. 1週間の労働時間20時間以上
3. 月額賃金8.8万円以上
4. 継続して2か月以上雇用される見込
なお、令和6年10月には労働者数
50人超対象事業所へ社保適用が更に拡大されるため、該当企業は社会保険料対策が必要になります。
事務所から一言
皆様の会社では、有期雇用期間5年を経過し無期転換権を有する労働者に対して、何らかのコメントを出されておりますでしょうか。新聞報道によれば、厚労省は企業に無期転換権行使の通知義務を検討している模様です。益々抜かりのない無期雇用転換対策が必要となりそうです。