2024年04月号
黒猫のタンゴ(♪後で泣いても知らないよ)
昔「黒猫のタンゴ」という歌が大ヒットしました。ご記憶の皆様も多いと思いますが、
その歌の中で、我が愛しい黒猫に対して「♪美味しいエサにいかれちゃって後で泣いてもしらないよ」と呼びかけるフレーズがあります。美味しそうな誘いをかけるドラ猫はダメだよと諭しております。
助成金や社会保険料節約の勧誘電話やDMの話を聞くたびにこのフレーズを思い出します。美味しい話にいかれちゃって後で泣かない様にその実態をご披露します。
◆悪質DM例その1「助成金500万円が貰えますよ!」
先日1枚のDMを持ってお客様が私の事務所へご相談で来られました。DMを拝見すると「貴社では500万円の助成金が可能です。直ぐにお電話下さい」と助成金の宣伝がされておりました。お客様からみれば簡単に500万円が頂ける夢のような話です。
この手のDMに共通するのは実現可能性もない助成金を積み上げ見せかけの大きな金額があたかも直ぐに受給できるような案内文書です。素直にこれを見た人は興味をそそられ電話をしてしまいます。
しかしながら、国の助成金はそれほど簡単に受給できるものではありません。
事業主様の業種や対象労働者詳細を始めとして就労条件、就業規則の定め、解雇の有無等々多くのチェックを行った上で初めて個別の助成金可否の判定ができるものなのです。相手の事情を全く知らずDMで500万円が受給できるなどは無責任極まりありません。運悪くこれに興味を抱いた事業主様は前払い着手金など多くの名目で金銭を召し上げられた挙句、うやむやな対応で時間稼ぎをされるか、そのままドロンされるのが落ちです。
◆悪質DM例その2「社会保険料節約秘策を伝授しますよ!」
次は社会保険料が節約できるというDMを見てご相談頂きました件です。DMを見ると、例えば年収1200万円の事業主様の社会保険料が147万円から
64万円に軽減できる秘策がありますとか、或いは役員報酬が高いために在職老齢年金調整でカットされている年金
193万円が復活できますという夢のような内容が記載されておりました。この秘策にかかるセミナーを開催するので本来は5千円の所、今なら3千円で参加出来ますとありました。
このようなことが出来ないことは始めから分かっていそうですが、やはり軽減される金額が大きいと事業主様はついついそそられてしまいます。いかにももっともらしい書き方をして参加を募っています。しかも社労士の参加はお断りとなっております(社労士が参加するとエセセミナーであることが露見してしまいます)。この内容は看過できないので警告をすべく私からセミナー事務局と書いてある電話番号に連絡のところ、昼間から留守電でした。今は様々なセミナーのDMが皆様へ入ると思いますが、鵜吞みにするとこのようなエセセミナーに遭遇し時間と費用を無駄にしますのでくれぐれもご注意願います。
◆弁護士事務所所属社労士の不作為
別なお客様からのご相談では、弁護士事務所所属社労士と契約し、助成金見込み400万円を期待し着手金24万円を前払いしたのに1年間何も動いてくれないと苦情相談を受けました。調べたところ、本当に何もしておりませんでした。お客様は弁護士事務所所属社労士だから安心して着手金を支払ったとのことです。しかし、そもそも弁護士は助成金申請を行えない筈ですし、また、社労士が弁護士事務所の下請けで助成金申請を行えば重大な社労士法違反です。このため私から先方弁護士事務所へ強く返還請求した結果全額返還を受けました。私が乗り出さなければ、そのまま放置されていたでしょう。
◆社労士資格をご確認願います
助成金業務は社労士以外の者は手掛けられません。しかしながらこのような助成金商法は社労士資格のない者により行われていると言ってほぼ間違いありません。無責任にでっち上げた助成金を掲げて多くの事業主様を惑わし利益を上げようとしております。厚労省でも社労士資格がないものには助成金は手がけられないという広報を強く行っておりますが不正勧誘が後を絶たないのが現状です。助成金は様々な受給条件をクリアーした上で、数多くの書類を作成して初めて受給に至るプロのビジネスです。社労士の資格を確認の上悪質な助成金の誘いを断ち切ることをお勧めします(名義だけ社労士から借りる者もおりますのでご注意下さい)。
事務所より一言(在職老齢年金)
我が国の高齢者雇用制度では、高齢者を働かせる推進力と働かせない抑止力が同時に作用しており、マッチポンプとなっております。
○働かせる推進力:高齢者雇用安定法(70歳までの雇用の努力義務)
○働かせない抑止力:在職老齢年金制度
(働くと労働者の年金カット)
簡単な言い方では、70歳まで頑張って働きなさいと言っておきながら、働くならば年金をカットしますよと言っております。
具体例:
65歳までの正社員賃金:60万円
65歳後の嘱託転換後の賃金:48万円
65歳後の年金受給月額:18万円
65歳後の月収は66万円(=48万円+18万円)ではなく、在職老齢年金制度で年金が8万円カットされ58万円に低下します。
私は以前から働き損になる在職老齢年金
の弊害を唱えておりますが、5年に一度の
年金制度改革で在職老齢年金制度廃止
論議がこれからされるとの報道がありまし
た。大いに期待したいと思います。
その歌の中で、我が愛しい黒猫に対して「♪美味しいエサにいかれちゃって後で泣いてもしらないよ」と呼びかけるフレーズがあります。美味しそうな誘いをかけるドラ猫はダメだよと諭しております。
助成金や社会保険料節約の勧誘電話やDMの話を聞くたびにこのフレーズを思い出します。美味しい話にいかれちゃって後で泣かない様にその実態をご披露します。
◆悪質DM例その1「助成金500万円が貰えますよ!」
先日1枚のDMを持ってお客様が私の事務所へご相談で来られました。DMを拝見すると「貴社では500万円の助成金が可能です。直ぐにお電話下さい」と助成金の宣伝がされておりました。お客様からみれば簡単に500万円が頂ける夢のような話です。
この手のDMに共通するのは実現可能性もない助成金を積み上げ見せかけの大きな金額があたかも直ぐに受給できるような案内文書です。素直にこれを見た人は興味をそそられ電話をしてしまいます。
しかしながら、国の助成金はそれほど簡単に受給できるものではありません。
事業主様の業種や対象労働者詳細を始めとして就労条件、就業規則の定め、解雇の有無等々多くのチェックを行った上で初めて個別の助成金可否の判定ができるものなのです。相手の事情を全く知らずDMで500万円が受給できるなどは無責任極まりありません。運悪くこれに興味を抱いた事業主様は前払い着手金など多くの名目で金銭を召し上げられた挙句、うやむやな対応で時間稼ぎをされるか、そのままドロンされるのが落ちです。
◆悪質DM例その2「社会保険料節約秘策を伝授しますよ!」
次は社会保険料が節約できるというDMを見てご相談頂きました件です。DMを見ると、例えば年収1200万円の事業主様の社会保険料が147万円から
64万円に軽減できる秘策がありますとか、或いは役員報酬が高いために在職老齢年金調整でカットされている年金
193万円が復活できますという夢のような内容が記載されておりました。この秘策にかかるセミナーを開催するので本来は5千円の所、今なら3千円で参加出来ますとありました。
このようなことが出来ないことは始めから分かっていそうですが、やはり軽減される金額が大きいと事業主様はついついそそられてしまいます。いかにももっともらしい書き方をして参加を募っています。しかも社労士の参加はお断りとなっております(社労士が参加するとエセセミナーであることが露見してしまいます)。この内容は看過できないので警告をすべく私からセミナー事務局と書いてある電話番号に連絡のところ、昼間から留守電でした。今は様々なセミナーのDMが皆様へ入ると思いますが、鵜吞みにするとこのようなエセセミナーに遭遇し時間と費用を無駄にしますのでくれぐれもご注意願います。
◆弁護士事務所所属社労士の不作為
別なお客様からのご相談では、弁護士事務所所属社労士と契約し、助成金見込み400万円を期待し着手金24万円を前払いしたのに1年間何も動いてくれないと苦情相談を受けました。調べたところ、本当に何もしておりませんでした。お客様は弁護士事務所所属社労士だから安心して着手金を支払ったとのことです。しかし、そもそも弁護士は助成金申請を行えない筈ですし、また、社労士が弁護士事務所の下請けで助成金申請を行えば重大な社労士法違反です。このため私から先方弁護士事務所へ強く返還請求した結果全額返還を受けました。私が乗り出さなければ、そのまま放置されていたでしょう。
◆社労士資格をご確認願います
助成金業務は社労士以外の者は手掛けられません。しかしながらこのような助成金商法は社労士資格のない者により行われていると言ってほぼ間違いありません。無責任にでっち上げた助成金を掲げて多くの事業主様を惑わし利益を上げようとしております。厚労省でも社労士資格がないものには助成金は手がけられないという広報を強く行っておりますが不正勧誘が後を絶たないのが現状です。助成金は様々な受給条件をクリアーした上で、数多くの書類を作成して初めて受給に至るプロのビジネスです。社労士の資格を確認の上悪質な助成金の誘いを断ち切ることをお勧めします(名義だけ社労士から借りる者もおりますのでご注意下さい)。
事務所より一言(在職老齢年金)
我が国の高齢者雇用制度では、高齢者を働かせる推進力と働かせない抑止力が同時に作用しており、マッチポンプとなっております。
○働かせる推進力:高齢者雇用安定法(70歳までの雇用の努力義務)
○働かせない抑止力:在職老齢年金制度
(働くと労働者の年金カット)
簡単な言い方では、70歳まで頑張って働きなさいと言っておきながら、働くならば年金をカットしますよと言っております。
具体例:
65歳までの正社員賃金:60万円
65歳後の嘱託転換後の賃金:48万円
65歳後の年金受給月額:18万円
65歳後の月収は66万円(=48万円+18万円)ではなく、在職老齢年金制度で年金が8万円カットされ58万円に低下します。
私は以前から働き損になる在職老齢年金
の弊害を唱えておりますが、5年に一度の
年金制度改革で在職老齢年金制度廃止
論議がこれからされるとの報道がありまし
た。大いに期待したいと思います。