2020年3月号

新型コロナウイルス対策助成金できました(雇用調整助成金)

◆雇用調整助成金とは
助成金を長く手がけております当事務所として雇用調整助成金は久し振りの名前です。そもそもこの助成金は2008年のリーマンショックの世界恐慌で日本の中小企業経営が苦境に陥り、多くの企業が従業員をやむなく解雇した結果、世の中に失業者が溢れかえった世情を背景として出来ております。

これに対して今回の新型コロナウイルス対策として政府が創設した助成金が新バージョンの雇用調整助成金です。簡単な言い方をすれば、「新型コロナウイルスの影響で経営は苦しいでしょうけれども従業員を解雇しないで下さい。従業員を解雇せず休業させればその分の休業手当を助成金で補助しますよ」というものです。

◆従業員を休業させたときの休業手当額
従業員が自分の都合で会社を休んだときは勿論無給で問題ありません。しかし、今回の新型コロナウイルス事件の様に、経済環境の急激な悪化により売上高や生産高が落ち込むことにより会社の都合で従業員を休ませるときは休業手当(平均賃金の60%以上)を従業員に支払うことが労基法第26条で定められております。

例えば平均賃金で1日12,000円の従業員を会社の都合で休ませるときには、1日当たりその60%の7,200円を休業手当として支給することになります。休業手当1日7,200円の社員を1月延べ50人休業させると月間360,000円の休業手当が事業主負担となります。

◆雇用調整助成金による助成額
上記事例で月間360,000円の休業手当を補償するときに、一定要件を充足すれば休業手当の三分の二240,000円がこの雇用調整助成金として支給されます(中小企業の場合)。なお、緊急特定地域に指定された北海道は五分の四288,000円が支給されます。
なお、1日一人当たりの助成金上限額は現在8,330円、計画期間の対象労働者一人当たり休業日数は100日限度となっておりますのでご留意が必要です。

◆雇用調整助成金の受給条件
雇用調整助成金の受給条件の主なこととして次のことがあります。
(1)雇用保険の適用事業所であること
(2)新型コロナウイルスにより経済的な打撃を受けていること。具体的には本年3月計画申請の場合には直前月である本年2月と昨年2月の経済指標(売上高、生産高等)が10%以上落ち込んでいること。この証明のために昨年と当年の月次決算書が求められます。なお、北海道はこの条件はありません。
(3)休業が所定労働日の全1日を通して行われること。半日単位で休業させると助成金対象外となるので1日単位をお勧めします。
◆実際の助成金額の出し方
それでは、具体的な助成金額の出し方をご案
内します。土日週休二日で従業員数10名の会社が新型コロナウイルスの影響を受け、月間で従業員一人あたり平日5日間休業させたとします。月間合計延べ休業日数は50日となりますので事前計画届を申請することで次の計算による助成金が支給されます。

50日×8,330円(上限額とします)×2/3=277,667円

その他の新型コロナウイルス対策助成金

今回の新型コロナウルス対策で最も求められる休業手当補償では、やはり雇用調整助成金が本筋になります。しかしながら、新型コロナウイルス緊急対策として、本年度は一旦受付終了になった時間外労働改善助成金が復活しました。また、小学校の臨時休校に対応する助成金も急遽登場しましたのでここにご紹介します。

◆時間外労働等改善助成金〔テレワークコース〕
ウイルス感染防止対策として自宅で勤務できるテレワーク制度を導入することに対する助成金です。就業規則等を作成・変更し、2月17日から5月31日までの間にテレワーク制度を新規で導入し、実施した労働者が1人以上いれば対象となります。
助成額は対象経費合計額の2分の1(上限100万円)で、対象経費には、テレワーク用通信機器・装置等の購入費、委託費があります(パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外です。web会議用機器、社内のパソコンを遠隔操作するための機器等が対象です)。また、テレワーク制度を就業規則に織り込むための所要費用等も対象になります。5月29日までに必要書類をテレワーク相談センターに提出して取組みを実施したのち、7月15日までに支給申請書等を提出します。


◆時間外労働等改善助成金〔職場環境改善コース〕
ワークライフバランスを実現するための助成金です。この助成金は労務管理用機器、労務管理用ソフトウェアー、デジタル式運行機器、労働能率増進設備・機器等に係る費用が対象です。補助率は、4分の3(30名以下かつ対象ソフト・機器等の購入経費が30万円を超える場合は5分の4)または50万円のいずれか低いほうとなります。
来年度新設予定の「働き方改革推進支援助成金」で5月31日までの同様の取組みを助成予定ですが、現段階では詳細未詳です。

◆小学校休業等対応助成金
小学校等(放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認可外保育施設等を含む)の臨時休校等により、3月31日までの間に子の世話を行うため労働者(祖父母や里親等含む)に、年次有給休暇とは別に休暇(半休、時間休を含む)を、年次有給と同様に、有給で取得させると、対象となります。
助成額は、支払った賃金相当額(日額上限8,330円)です。
本日時点で申請期間や手続きは未定で、詳細が固まり次第厚労省ホームページ等にて公表される予定です。なお、雇用調整助成金と併せて受給することはできません。

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