「既卒者育成支援奨励金」の新設

◆続々生まれる既卒者雇用対策奨励金
昨年12月号の当事務所便りで、既卒者の就職難を救済する雇用対策として大規模な2種類の奨励金がスタートしたという情報をお知らせいたしました(ご参考のため、2種類の奨励金の内容を再度ご案内いたします)。この2種類の奨励金に加え、既卒者雇用対策として更に大きな金額の奨励金が新設されましたので、今月号で情報ご提供いたします。

2種類の新設奨励金(先月号で既報)
 1.「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」
(1)大学・高校等を卒業して未内定の者を対象とする。
(2)原則3カ月の有期雇用を経て、対象者を正規雇用した時に支給される。
(3)支給金額:3ヶ月間毎月10万円。正規雇用となり3カ月経過後に50万円が支給される(合計80万円)

.「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」
(1)大学・大学院等を卒業後安定した就労経験のない者を対象とする。
(2)当初から正規雇用として受け入れる(有期雇用期間なし)。
(3)支給金額:6か月経過後に100万円


◆「既卒者育成支援奨励金」(新設)
(1)奨励金の対象者は先行2種類の奨励金と同じく3年以内既卒者を対象
(2)奨励金の対象企業は、今後人材需要が見込める成長分野の中小企業に限る(例:製造・運輸・建設・情報通信・建設・医療・福祉・スポーツ施設等)
(3)支給金額:原則6カ月の有期雇用契約で、育成計画書に基づいた座学等により育成し、6カ月後に正社員採用した企業に対最大125万円を支給する
(内訳:有期労働契約期間中10万円×6月、教育訓練費最大15万円、正社員採用の時50万円)
 

上記いずれの奨励金の場合も、本奨励金対象者を募集することを、ハローワークに事前に申し出て紹介を受けることが助成金の受給条件のため留意が必要です。

高額療養費制度はとても有難い制度です

◆高額療養費制度とは
 私達は、現在は健康でも何時病気になり多額の医療費を請求されないとも限りません。 特に国民の半分が生涯において罹患するともいわれるがんの治療費が最近ではとても高額化しております。この様な事態のときにどうやって医療費を支払えばよいのでしょうか。この時にとても役立つのが高額療養費制度です。

高額療養費制度では、入院・手術等で一時に多額となる医療費や、家族が同時に病気になったときの家族合算医療費に対し、支払い金額頭打ちが出来ることから、国民にとりとても有難い制度といえます(ただし差額ベッド代や保険外治療は適用外となります)。

高額療養費制度は、健康保険法第115条に規定されており、組合健保・協会けんぽ・国民健康保険等の全ての保険制度を通して適用できることから、加入者がもれなく救済されるものです。

◆高額ながん治療「分子標的薬」の例
がんの治療費が高額化しているようです。医療技術の高度化に伴い、ここ数年増え始めた「分子標的薬(抗がん剤)」は、分子生物学を駆使して開発された薬であり、2000年代に登場した当初は、がん細胞だけを攻撃し副作用がない「夢の薬」などと呼ばれました。
その後、一部の薬で副作用事故が起き、期待感は薄れましたが、今や医療現場で普通に使われています。しかし、1錠や注射1回あたり何千円〜何万円もするものが相次いでおり、1カ月当たりの薬代が100万円を超すケースもあります。

◆高額療養費制度の活用
高額療養費制度の活用によって1カ月に支払う負担上限額が抑えられることとなります(被保険者の年齢が70歳以上か未満か、そしてその所得水準により支払い上限額が次の通りに設定されております。

(70歳未満の方の1カ月負担上限額)
1.上位所得者(月収53万円以上等)):
  150,000円+(医療費―500,00円)×1%
2.一般の所得水準の方
  80,100円+(医療費―267,000円)×1%
3.低所得者(住民税非課税)
  35,400円
この計算によれば、一般の所得の方で1か月の医療費請求が200万円でも支払い金額は97,430円で済むことになります。

また、直近1年間で高額療養費の支払月が3カ月以上になれば、その後は一般の方の場合で、支払額は44,400円に引き下げられます。

◆「限度額認定証」の活用
万一入院・手術となる場合は、入院・手術前に自分が加入している健康保険や国民健康保険の窓口で「限度額認定証」を発行してもらい、それを病院に提出することにより、窓口支払いでは限度額の支払いだけで済みます(「限度額認定証」を提示せず、後日保険者へ請求する場合、窓口3割負担計算で一時的に大きな金額を支払うことが必要であり、また、上限額を超えて支払った分は還付に3カ月ほど後となります)。

  当事務所より一言

平成23年年頭にあたり、今年1年の皆様の益々のご多幸をお祈り申し上げます。政治の安定と経済の復調が何より望まれる所でございます。
今月の事務所便りでは、既卒者の就職支援奨励金と高額療養費制度を取り上げましたが、ご不明な点は何なりとご照会をお願いいたします。    


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