自民党安倍政権の下で株価の堅調と円安傾向が世間の関心を集めている昨今ですが、政府が新たにいかなる中小企業支援政策を行うのかは注視の必要があります。
今月号では、中小企業にお勧めの新たな奨励金と、税額控除額が倍増となった税制改定をご案内いたします。まず、奨励金では、若年者正規雇用化政策としてこの4月から1年限りとされる若者チャレンジ奨励金であり、税制改定では雇用者数増加政策として税額控除金額が倍増する雇用促進税制です。いずれも中小企業にとり有効活用できるものです。詳細のご案内は当事務所までご照会ください。

若者チャレンジ奨励金

◆訓練期間1月で15万円、正社員化で50万円
 (1年経過後)、さらに50万円(2年経過後)

 この奨励金は非正規社員に対し正社員となるための所要教育を実施し正社員採用した場合に、次の奨励金が支給されます。
◎訓練期間1ヵ月につき一人15万円の支給(3ヵ月以上の訓練期間が前提です)
◎正社員採用1年後に50万円、2年後に50万円が支給されます。

◆奨励金対象者とは
この奨励金の対象者となる若者は35歳未満のものであり、過去5年以内に訓練実施分野で3年以上正社員として雇用されたことのない非正規社員を示します。
例えば営業職では、これまで他の企業で営業職として過去5年以内で3年以上正社員として勤務したものは対象になりません。また、すでに自社で正社員となっているものも対象外です。

◆訓練の内容
 この奨励金を利用する場合には、非正規社員を訓練し正社員とすることが必要です。訓練は自社内実習(OJT)と座学(OffJT)を組み合わせて行う必要があります(全体の訓練時間におけるOJTの割合は1割以上9割以下と定められております)。
 例えば営業の場合、自社内実習(OJT)である営業・販売実務、接客業務と、座学(OffJT)であるビジネスマナー、営業技法、OA機器によるデータ作成等を組み合わせた研修計画に従い教育訓練を行います。

◆奨励金を受けるための手続き
 この奨励金をうけるためには、まず会社が当該対象者に対する訓練計画(カリキュラム)を作成し、都道府県労働局長への届出と確認を受けることが最初のステップです。どの様な研修計画を策定するかはそれぞれの会社や業種により異なりますが、業種毎のモデルカリキュラムは厚労省下記ホームページからとれますので参考になります。ご要請により当事務所でもお手伝いさせて頂きます。
(厚労省業種毎モデルカリキュラム)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/job_card01/jobcard05.html
 次に社内で訓練対象者を選定し(ハローワークでの新規募集でも、あるいは紹介予定派遣で受け入れる派遣労働者でも対象となります)、訓練対象者にジョブカードセンター(商工会議所内に設置されております)でキャリアコンサルティングを受けさせジョブカードを発行してもらいます。
 そして、計画したカリキュラムの8割以上を実施したことにより支給要件が充足されることとなります。

◆トライアル雇用との違い
 これまでにも未経験者を職場にうけいれる奨励金として、「トライアル雇用奨励金」があります。事業主の皆様が人材募集を行う時に経験者を採用したいと思われるのは当然です。その気持ちを暫く押さえて下さい、未経験者を採用願いますと促す奨励金が、「トライアル雇用奨励金」です。これは3ヵ月の試採用期間で1月4万円、合計12万円です。ジョブカードを介在させる手間暇はあるものの、若者チャレンジ奨励金が1月で15万円であり、支給金額が大きく異なります。

雇用促進税制が拡充されます(社員1名増加で税額控除40万円

従業員の雇用増をお考えの企業はご活用下さい。

雇用促進税制は平成23年度の「税制改正法」により同年6月30日に公布・施行されております。厳しい経済環境下でも雇用増に取り組む企業のため、「雇用促進税制」改定による税制優遇制度が生まれました。従来は1名雇用増加で20万円の税額控除でしたが、安倍内閣の下、平成25年4月1日に事業年度が開始する法人に対しては税額控除が20万円から40万円の倍増に改定となりました。

厚労省による労働市場活性化政策は主に助成金を通して行われておりますが、雇用促進税制は雇用増を税額控除に結び付けるという新手法です。お客様によっては税理士の方が本改定を承知していなかったとの話を承ったことがございます。雇用増加計画がある会社は節税効果の観点からお忘れ無くご活用をお勧めします。
(概要)
 1.税制優遇が受けられる企業
従業員を1年間で10%以上かつ5人以上(中小企業は2人以上)増やすなどの所定の要件を満たした事業主に対し納付法人税額から税額控除が行われます

2.税額控除の計算方法
   本年4月以降事業開始で法人税額が400万円の企業が雇用を2名増加させた場合
 
軽減税額控除額:40万円×2名=80万円
今年度法人税額:320万円(=400万円−80万円)
ただし、税額控除額は法人税額の20%限度となります(上例では400万円×20%の限度内)

3.申請手続き
  この優遇措置を受けるためには、目標の雇用増加数などを記した「雇用促進計画」を、事業年度開始後2カ月以内に管轄のハローワークに提出する必要があります。ご要請により当事務所が代行いたします。
 

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