10月から健保被扶養者の範囲が拡大
この改定で救われるのはどのケース?


◆被扶養者の範囲は複雑です
 サラリーマンにとり専業主婦の妻や未就学の子供あるいは年老いた親が自分の健康保険の被扶養者になることは当然と受け止めます。しかし、これが自分の兄弟姉妹、叔父叔母、甥姪となるとだんだん難しくなります。さらには、妻の親族や連れ子になると更に分からなくなります。

 健康保険の被扶養者の範囲は法令により肌理細かく定められており、複雑な規定となっております。健康保険の被扶養者となることはやはり大きなメリットがあるからといえます。今年の10月から被扶養者の範囲が拡大されますが、具体的な事例で言うとどの設例にあたるでしょうか、お考え頂ければ幸いです。なお、全ての設例で被扶養者に対する生計維持関係があるといたします。

◆被扶養者になれますか?
設例A.家で同居している36歳の娘から、「お父さん、私会社が嫌になったので明日会社を辞めます。お父さんの健康保険の被扶養者にして下さい。良いでしょう?」。父親「!?・・・」娘は被扶養者になれるのでしょうか?

設例B.妻には前夫との間に子供がおり、その子はアルバイト生活でまだまだ所得も少ないので生計は我が家で面倒を見てあげております。一緒に住もうと言っておりますが、遠慮があるのか別居住まいを続けております。できれば被扶養者にしてあげたいのですが。

設例C.私の姉は夫を亡くした後自分も病気になり、私を頼って参りましたので、近所の空き家を探して生活の面倒を見てあげることになりました。できれば姉を被扶養者にしてあげたいのですが。

設例D.私の姪が夫婦離婚をして子供を連れて相談に参りました。姪の両親はすでに亡くなっており、不憫に思い偶々空いていた隣家に住まわせ、当面の間面倒をみることにしました。できれば姪を被扶養者にしてあげたいのですが。

設例E.私の父母が揃って60歳を超える高齢になり、年金収入170万円だけとなりましたので、私の自宅を建て増しして迎え入れることになりました。現在の私の年収は160万円ですが、父母の収入と合わせればなんとか生活できると思っております。できれば父母を被扶養者にしてあげたいのですが。

◆回答です。
設例A.被扶養者になれます。退職後の娘の生計を維持することが前提です。

設例B.被扶養者にはなれません。設例の場合同居すれば被扶養者になれます。

設例C.被扶養者になれます。これが今回改定となった部分です。従来弟・妹は同居の条件はありませんが、兄・姉は生計の面倒を見ていても同居が被扶養者となる条件でした。本年10月以降はこの同居条件が外れましたので、設例の場合でも被扶養者となることができるようになりました。

設例D.被扶養者になれません。設例の場合には同居が条件となります。「隣家」ではなく、「自宅」であれば、被扶養者となれます。

設例E.被扶養者になれません。被扶養者(この場合は父母)の年収は、被保険者(本人)の二分の一未満という条件がありますが、本件では被扶養者の方が被保険者よりも年収が高額であり、対象となりません。

10月から最低賃金が引き上げられます

◆最低賃金が全国的に大幅アップ
 今年の最低賃金は全国的に大幅アップとなりました。関東各都県も軒並み25円アップとなっております。

東京 :932円(+25円)10月1日より適用
神奈川:930円(+25円)10月1日より適用
埼玉 :845円(+25円)10月1日より適用
千葉 :842円(+25円)10月1日より適用

◆最低賃金違反にご注意下さい
最低賃金額に近い額で雇用契約を結んでいる従業員が多い事業場では、引上げ後の最低賃金額を上回る額が支払われているかご確認下さい。
時間給を計算してみると最低賃金額を割り込んでしまっているケースが、アルバイト・パートタイマーはもちろん、正社員の場合であっても散見されます。
時給制の場合にはわかりやすいのですが、月給制や日給制の場合は、賃金額を労働時間数で割り戻して時間給を算出し、最低賃金額と比較してみてください。例えば東京都の月給者(月間労働時間160時間)の場合、改正後の月給が149,120円(932円×160時間)未満であれば最低賃金違反となります。
賃金額が最低賃金額を下回る場合には刑事罰が定められており(最低賃金法40条、50万円以下の罰金)、悪質な場合には書類送検の可能性もあります。「引上げにきちんと対応できていなかった」という“うっかりミス”が多い部分ですので、10月の引上げ前に、再度、最低賃金額関連の管理について見直しすることをお勧めします。

事務所より一言

この台風の時期になると、人間とは自分勝手なものであることを思い知らされます。台風の進路が私の住まいの方角に向いていると、できれば進路がそれて欲しいと願いますが、よく考えてみるとそれた方向にも多くの方々が住んでおり台風の被害に遭う訳であり、まさに自己中心的な願いです。そして台風の惨状がマスコミ等で報道されると、悲惨な情景に胸を打たれますが、心のどこかで自分の所でなくて良かったという思いがあります。皆様は如何でしょうか。それだけ、台風の恐ろしさが身に染みているともいえます。

台風や秋雨が降り続く日の徒然に今月連載が終了した「こちら葛飾区亀有公園前派出所(通称こち亀)」最終巻200を買い求めに書店に行きました。17日に発売開始で翌18日にはすでに売り切れといわれガッカリしましたが、それだけ日本中に親しまれた名作だったと改めて感じました。こち亀の愛読者である私は、両さん(主人公である両津勘吉)の破天荒な行動に腹を抱えて笑い、純情な心根にほろりとし、私の故郷である東京下町の風情が巧みに描かれ懐かしんでおりましたのでとても残念でした。
ところで、書店で売り切れと言われたとき隣のご婦人の何か曰くありげな笑いが気になりましたが、それはおそらく私の情報不足のことであったろうと思い当たりました。なんとアマゾンではすでにプレミアム付きで販売されており、それでも読みたい一心で早速オーダーいたしました。最終巻を読めることを今からワクワクして待っております。

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