皆様明けましておめでとうございます。新年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
この新たな年が皆様にとり更なる飛躍の年となるよう祈念申し上げます。
毎月皆様にお届けの事務所便りも引き続きご愛読賜りますようお願い申し上げます。

「ジタハラ」って何でしょうか

◆一方的な残業禁止が「ジタハラ」です
現在多くのハラスメント(嫌がらせ、いじめ)が社会的に指摘されております。よく知られているセクハラを初めとして、パワハラ、モラハラ、アカハラ、リスハラ、テクハラ・・・およそ30以上のハラスメントがあるそうです。この中で最近問題とされるものが「ジタハラ」です。電通社員の過労死自殺を契機として、多くの会社が社員に早帰りを督励するようになりましたが、仕事自体の効率化や省力化は行わず、ただ残業禁止を命じることが「ジタンハラスメント」となります。

◆「早く帰れ」だけでは無責任
私が損害保険会社の営業管理職の時に、会社はノー残業デイを設けたことがあります。ノー残業デイの主眼は社員の健康管理というよりは残業代の節約という意味合いがあり、毎週水曜日は午後6時に一斉消灯するという強烈な方法でした。しかしながら仕事量は見直しされないため、処理しきれない残余業務はどうしても持ち帰りの風呂敷残業となりました。私の部下は水曜当日の締め切り業務のために消灯後なんとパソコンの光を頼りに仕事をしておりました。
ジタハラは往々にして「隠れ残業」(持ち帰り残業など)の温床となります。隠れ残業は、会社にとっては残業代抑制につながりますが、従業員にとっては疲労感が増加し、しかも労働の正当な対価も得られないために、労働意欲を低下させ、様々な不正やトラブルに繋がります。「早く帰れ」だけでは無責任な会社施策といえます。

◆不要不急な業務の削り取りが必要
 会社の業務を点検すると、案外不要不急な業務が出てきます。見もしない大量のアウトプットデータを毎月閉じているだけのものもあります。
その一方で、手作業で対応しているものは出来るだけ機械に任せて割り切りを行うことも必要です。また、経営上層部の希望で肌理細かい報告書を月に何度も作成しなくてはならない文書もあります。経営上層部が仕事切りを覚悟しなければ「ジタハラ」は解消しないことになります。同じ上司が「早く帰れという上司」と「仕事をせよという上司」であると職場が混乱してしまいます。
 早く帰ることは仕事の効率化・合理化と表裏一体となり進めることが必要です。

「残業規制」の法的ルール

◆「残業」に対して厳しい目が向けられます。
前記の通り残業を規制することが社会的な潮流となっております。政府が取り組んでいる「働き方改革」において長時間労働の是正が重要な柱とされており、さらに電通事件の社会問題化、過労死等防止対策推進法の施行、「過労死白書」発行などもあり、「残業」には特に厳しい目を向けられる時節となりました。電通の石井前社長は社員高橋まつりさんの過労死自殺に対して全面的に責任を取るとして辞任いたしました。とうとう社員の労務管理問題が経営トップの辞職に及ぶ時代となりました。

◆現行法における残業時間の上限は?
法律上、認められている労働時間・残業時間をここで確認しておきます。なお、本年3月28日に公表された「働き方改革実行計画」の中で、労働時間の上限規制に関する具体的な方向性が示され、2019年4月頃を目途として法改正が予定されております。実施時期等詳細については改めてご案内いたします。
まず、労働基準法において労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められていますが、労使間でいわゆる「三六協定」を締結し、労働基準監督署に届け出ることで、「月45時間、年360時間」までの時間外労働が認められます。
さらに三六協定に「特別条項」を付けることで、繁忙期や納期直前といった臨時の場合に1年の半分まで現在は「上限なし」の時間外労働が可能となります。
時間外労働を従業員に行わせる場合には本来三六協定が必須ですが、中小企業等では三六協定なしの時間外労働が多く労基法違反の実態が見受けられます。

◆特別条項付三六協定だけでは対応不足
今のご時勢、「特別条項付三六協定」を締結しているからといって安心できません。
前述の電通でも「月間70時間まで」とする特別条項付三六協定を締結していましたが、協定と労働実態が乖離して事件を未然に防ぐことができませんでした。政府は2019年の法改正で「残業時間の上限規制強化」や「違反企業への罰則の厳罰化」を導入予定です。
企業にとっては、法律遵守は当然として、さらに自社での抜本的な残業削減の取組みが必要です。なお、過労死防止のため、厚労省は、労働安全衛生法施行規則を改正し、従業員の労働時間を適切に把握すること(つまり勤怠管理を正しく行うこと)を「義務化する」方針を固めました。法改正後は出勤簿捺印による労務管理は法令違反に問われる可能性も想定されます。

◆残業削減のカギは経営者自身にあり
長時間労働を減らすうえでの課題としては、前記の通り経営上層部や管理職の意識改革にあることは言うまでもありません。これからの経営層は労働時間量より時間当たりの生産性改善を重視する必要があります。

事務所より一言

 今年のお正月は沖縄那覇で迎えました。飛行機に乗ったのは本当に久し振りでしたので窓にへばりついて空路の景色を楽しみました。沖縄のこの時期の平均気温は20度とのことでしたが、寒い東京から沖縄に到着して彼我の温度差に驚きました。なんと往来を行き交う人はほとんどが長袖のシャツ、中には半袖の方もおりました。沖縄育ちで東京に転勤になった方が生まれて初めてコートというものを買ったと聞いたことがありますがなるほどと肯けました。
話は変わりますが、昨年末も年末ジャンボ宝くじを買いました。事務所近くの新宿大ガード西にあるチャンスセンターへ買いに行きましたが、あの6車線ある青梅街道を渡っているときに、チャンスセンターの窓口のお姉さんは遠方の私に向かってすでに微笑んでおりました。おそらく宝くじを買う人は皆鼻を膨らませ歩幅大きくあたかも軍艦マーチをならす如く窓口に突進するので長い経験でお客が分かるのでしょう。
結果は毎年のことですが残念でした。それでも暫しは楽しい夢を見られることが宝くじを止められない所以です。それにしても10億円の当選者は今年も必ず出ております。その当選者はあたった10億円の宝くじを換金日までどこに保管されるのでしょうか。聞いてみたくなります。

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