企業のソーシャルリスク対策(バイトテロ)

◆従業員の不適切動画投稿問題で改めて問われる企業の対策
飲食店やコンビニの従業員が投稿した不適切動画問題が、企業の評判に悪影響を及ぼしかねない事件が、立て続けに起こりました。動画を見ると呆れ果てますが、一度リリースされると日本全国を駆け巡る怖さがあります。
対応については、従業員に損害賠償請求訴訟を起こす決定をした企業、全店休業して社員研修を行う決定をした企業と様々ですが、SNSを活用する企業も個人も増えている中では、いつ問題に巻き込まれても不思議はありません。
まだ社会人としての自覚に乏しい新入社員の入社も近づくこの時期は、自社の対策を確認しておくべき時期とも言えるでしょう。

◆多くの企業が何らかの対策を講じております
ウェブサイトやアプリのユーザーサポート等を行う会社が、2018年12月に行った調査によれば、ソーシャルリスク対策について「未実施。今後も実施なし」と回答したのは5.2%のみで、多くの企業が対策を行っています。
具体的な内容を実施率で見ると、「研修の実施」39.1%、「ガイドライン作成」37.2%、「マニュアル作成」30.9%が上位に入っています。

しかしながら、従業員数別に見ると100人以上300人未満の研修の実施率が50%であるのに対し、100人未満では19.1%と、十分な対策が取られていない可能性があります。自分のところは大丈夫と安心せず対策をとることをお勧めします。

◆未実施の場合は早急に対策を検討しましょう
不適切動画を投稿した本人による「せいぜいクビになるだけ」という趣旨の発言が報道にもありましたが、不適切動画の投稿はスマートフォン1台あれば簡単にできますし、投稿する従業員自身も社会問題に発展しかねないリスクを自覚していない可能性があります。
新入社員だけでなく、既存の従業員も対象に、一度研修の実施を検討してはいかがでしょうか。あるいは研修ではなくとも、朝礼などの機会があれば、このような不祥事は絶対許さないという会社の強い意志を表明することも有効です。

◆雇入れ時に自筆の誓約書を書かせる方法もあります 研修の実施や朝礼時の啓発を継続的に行うとともに、雇入れ時に、自筆で、バイトテロを起こした場合の損害賠償を約束させる誓約書を取り交わすことも有効です。例えば、店舗復旧に必要な清掃や消毒、商品の廃棄や交換、休業補償などを当事者負担で行うことを明文化しておきます。これにより従業員がバイトテロを起こすことに対する抑止力を構築します。転ばぬ先の杖を用意しましょう。

貴社は副業OKですか?

◆調査の概要
副業を解禁するべきかの判断材料になる情報や、副業のメリットを享受したい企業がとるべきアクションを明らかにするため、ある会社がインターネット調査を通じて、副業に対する企業と個人の意識調査の結果を公表しました。
今回は、その調査結果から注目すべき内容を取り上げてまとめます。

◆調査結果
・副業の許可と禁止割合
10人以上の従業員が勤務する企業の人事担当者(1,641人)の回答によると、「全面的に許可している」が13.9%、「禁止していない(希望者がいれば条件付で許可)」が36.1%、「全面的に禁止している」が50%という結果になっています。

副業許可企業
・副業許可の開始時期
副業許可企業に、許可を開始した時期を尋ねると、「1年以内」が22.8%、「2〜3年前」が29.2%、「4〜6年前」が22.8%と、働き方改革が叫ばれるようになったこの3年以内に許可を開始した企業が半数以上に上っていることがわかります。
・副業許可の効果
副業許可の効果を尋ねると、「従業員の社外人脈の拡大」52.2%、「モチベーションの向上」50.3%、「スキル向上」49.7%と、メリットを実感している割合が高く、一方で効果を感じていないとの回答は18%未満と少ないことがわかりました。

副業禁止企業
・企業規模別
副業禁止割合を企業規模別に見ると、10〜100人未満の企業は43%台、100〜500人未満企業で50%前後、1,000〜1万人未満企業は60%近くあります。
・設立年数別
10年未満企業の副業禁止割合は36.3%と最も少なく、50年以上企業は62.1%と最も高く、歴史のある企業ほど「全面的に禁止」の割合が高くなっていることがわかります。
・禁止理由
副業禁止の理由を尋ねると、「従業員の過重労働につながるから」が49.2%と最も多く、「自社の業務に専念してもらいたいから」が47%、「疲労による業務効率の低下が懸念されるから」43.6%となっています。

◆厚労省も副業・兼業を推進
 働き方改革の一環で厚労省も副業・兼業を推進する政策に舵を切りました。厚労省モデル就業規則でも副業・兼業を会社が承認するバージョンも新設されました。
副業禁止が何となく染みついている時代ですが、この調査によると、半数が副業を認めている(条件付許可も含む)実態がわかります。しかも、全面的に副業を許可している企業のほうが、社員のスキル向上やモチベーションのアップといったプラスの効果を感じているという結果も出ています。今後は、コンプライアンスやリスク回避もしっかり踏まえつつ今後ますます広がる“多様な働き方”を検討していく必要があるでしょう。

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